気軽に立ち寄れる雰囲気と技術力が共存したデザインサロン『THE DERBY』
今年オープン6年目を迎える『THE DERBY』。新宿にはめずらしいデザインサロンとして、美容感度の高い層の人気を集めています。代表の荻堂譲二さんは表参道の有名店で腕を磨いたのち、仲間たちとサロンを立ち上げ、美容室という枠にとらわれずさまざまな試みを行っています。前編ではそのこだわりについて伺いました。
「もっと豊かに仕事をしていきたい」と独立を決意
――このサロンをオープンさせた経緯を教えてください。
「表参道のお店で働いていたときの仲間と以前にも美容室を作ったことがありまして、美容室をオープンさせたのはここが3店舗目になります。以前のお店は出資するだけの形だったのですが、今回は初めて僕個人のお店を持つことになりまして、2012年10月にオープンさせたのがこの店です。元々は独立願望があったわけではないのですが、仲間とお店を作るという経験を通して、一から作っていくことの楽しさを知りました。大きいサロンの一員として働いていたので、お金や時間の面からなんとなく人生設計が見えてしまうところがあって。もっと豊かな仕事ができないか、自分の力で挑戦してみたいという思いもありました」
――大手サロンで働いていたときと、今の働き方、やはり違う部分がありますか?
「会社のなかで仕事をしているといろいろと気にしなければいけないところがありますが、今は自分のお客さまに集中できているかなと思います。もちろん腕を磨かせてもらうという貴重な体験をさせてもらったからこそ今があるんですが、走り方を知っているので、いくらでもゆるめることもできるのかなと。ただそこまでゆるい感じのサロンにはしたくないので、そのなかで自分のできることやりたいことをやっている感じでしょうか」
――以前働かれていた表参道と新宿ではエリアのイメージが大きく違う印象がありますが、新宿に出店した理由はなんでしょうか?
「表参道、青山で働いていたので、そこから離れたエリアでやりたいという思いがありました。表参道、青山ってイメージが定着していると思うのですが、新宿は決まったイメージがないというか。それが面白いと思ったんです」
――サロンのコンセプトを教えてください。
「そんなに大それたものは掲げていないのですが、表参道のサロンにいた頃は雑誌などを読みながらトレンドを追っているところがあったんです。おしゃれな美容室に行けば、おしゃれになれるというような時代でしたよね。でも今はSNSなどを使ってお客さま自身が発信していく時代になりました。お客さまのレベルがあがり、ああしたい、こうしたいという思いがあるので、その思いに寄り添い引き出せるような形でやっていきたいと考えています」
展示会開催も!人が集まる場としての可能性を探る
――内装のコンセプトについて教えてください。
「以前働いていたサロンはコンセプトが女性向けだったので、このサロンはそういった雰囲気とはまた違う、あまり力が入っていないスタイルにしたいと思ったんです。子どもでも気軽に来られるような。見ていただくとわかるように、ここは店内が正方形になっています。僕が外部でファッション関係の仕事をしていることもあって、その関係者の方に知り合いが多いので、展示会などでこのお店を使っていただくこともあります。美容室という形にこだわらず、この場所を箱にしたいと思っています」
――具体的にファッション関係の外部の仕事とは何をされているんですか?
「独立前からいろいろやっていたんですが、ファッション雑誌やセレクトショップの撮影にヘアメイクとして参加させてもらうことが多いんです。そこから発展して、あるブランドの洋服のデザインからヘアメイクまでを任せてもらうようになりました。デザインの学校は出ていなかったので、デザインについて勉強し、パターンなどがわかるようにして。他にもこのサロンのグッズのデザインなども手掛けています。僕がこういう形で仕事をしているので他のスタッフも、フリーで外部の仕事をいろいろとやっていますね」
オープンから6年経っても、ひとりの退職者を出すこともなく、経営的にも安定しているという荻堂さん。しかしスタッフに目標を課したり、管理をすることはないそうです。後編ではその工夫について伺います。
6年間で退職者ゼロ!管理をしなくても意欲や売上を引き出せる秘密とは『THE DERBY』>>