レッスンはすべて営業中に!『kauti』の教育術に迫る
2007年にオープンした美容室『kauti』。池袋に1号店をオープン後、現在は板橋に2店を展開しており着実に成長を続けています。ちなみに、「池袋」という立地の理由は、オーナーの前田さんがたまたま住んでいたからだそうです。そんな『kauti』が安定して成果を残している背景には、コンセプトを設定したサロン経営や100%練習に集中できる環境作りがありました。
今回は、代表の前田浩明さんにインタビュー。前編では若手が育つ教育方法に迫ります。
お客さまがくつろぐために、大切なこととは?
————まず、なぜ『kauti』は安定した成果を残しているのでしょうか?
「『笑っていようよ』というコンセプトに沿ったサロン経営ができているからですね。サロンでは、お客さまが気楽に自分時間を過ごせる環境を目指しており、店名にもこの想いが込められています。店名の『kauti』は、『カウチポテト』から着想を得た造語で、『カウチポテト』とはカウチソファーでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見ている様子を表しており、『くつろぎ』や『だらける』を意味しています。つまり『お客さまが椅子に座り、まったり過ごせる環境を作ること』が、私たちの目標です。この環境を作るためには、組織作りが大切だと思っています」
————それでは、こだわりの『組織作り』について教えてください。
「組織作りで意識していることは、いくつかあり、まずは『高い技術力を共有すること』です。いくら接客がよくても理想の髪型を作れなければ、お客さまに満足していただけないですからね。そこで、『kauti』ではショート、ボブ、レザーカットを前面に打ち出してスタッフ全員で練習をしています。ちなみに、レッスンはすべて営業中に行っているので残業はありません。上下関係なく若手のスタッフも20時30分ごろには帰宅しています。この練習スタイルを導入した理由は大きく2つあって、1つ目が圧倒的に効率がよいからです」
他サロンを通りかかった時に、若手の姿を見て感じたこと
————なぜ効率がよいのでしょうか?
「練習に100%集中できるからです。私が若手の頃は営業後の深夜練習が当たり前で、終電で帰ってから3時間ほどの睡眠で出社する毎日を過ごしていました。そのため、常に疲れていてサロンワークで一杯一杯になり、練習になかなか身が入りませんでした。同じ内容のレッスンでも体力がある状態で行ったほうが、覚えがよいに決まっています。
業界を見ていると、営業中に時間ができたらスタイリストの後ろにアシスタントを立たせて見学をさせるサロンもあり、確かに見て覚えることは大切かもしれませんが、実際に手を動かさなければ技術は身に付きません。
ちなみに先日、家の近所にある美容室を通りかかった時に、窓越しに若手スタッフの姿が目に入りました。おそらく先輩の見学をしていた彼女は、壁に寄りかかって体で隠してスマホをいじっている最中で、それを見た時に『時代や教育のせいではなくて、こうなるのは仕方がないな』と。立って見ているだけは本当にきついと思いますからね。その時間にレッスンを進めたほうが確実にうまくなるはずです。他にも、若手にプレッシャーがかかることも効率を高めている理由の1つですね」
営業中の練習だからこそ、若手は言いわけができない
————「若手にプレッシャーがかかる」について、具体的に教えてください。
「『言いわけができない環境である』ということです。当たり前ですが、レッスンをしている時にスタイリストはサロンワークをしているので、『君たちが練習をしている間に、先輩がお金を稼いでいることを忘れてないで』としっかりと伝えています。また、ダラダラしないために時間を2時間と決めていることもポイントです。
ちなみに練習は土日以外、毎日行っています。『練習時間を確保して、ほぼ毎日練習をする』と聞くと、デビューは早いと思われますが、合格のレベルを高く設定しているのでそれほどではありません。だいたい3年ほどかかりますね。現在活躍しているスタイリストは、良質な練習をたくさんしているので、きちんとしたスキルが身に付いています」
若手が育つ教育の極意
内装にはアンティークの家具を使っているという『kauti』。若手が育つ教育の極意をまとめると、下記の3つでした。
1.コンセプトに沿ったサロン作りをする
2.100%集中できるように営業中に練習をする
3.若手が言いわけをできない環境を用意して、成長を促す
後編では、チーム作りの方法に迫ります。
▽後編はこちら▽
ルールを作ると自由が増える!『kauti』のチーム作りに迫る>>