自分を救ってくれたヨガをひたむきに探究し、インストラクターの道へ 京乃ともみさん

ヨガインストラクターとして、本の出版をしたりテレビなどのメディア出演したりと大活躍中の京乃ともみさん。前編では仕事に取り組む姿勢についてお話を伺いました。「仕事は一回一回がオーディション」と話す京乃さん。スポーツ選手にヨガレッスンを提供する際はかならずその競技を繰り返し観戦することで、相手のニーズに合わせたレッスンを組み立てるといいます。相手が求めるものを提供できて初めて、次の仕事につながっていくと考えているそうです。

後編では、京乃さんがどのようにしてヨガインストラクターになったのか、その転機を伺います。今はとても明るくはつらつとした印象の京乃さんですが、過去にはストレスをためこみ、メンタルに不調をきたしたこともあったそう。そんなときに出会い、京乃さんを救ってくれたのがヨガだったといいます。

今回お話を伺ったのは…

京乃ともみさん


19歳のときにLAでヨガに出会い、24歳で渡印、アシュラムで生活しながらヨガ漬けの日々を過ごす。その後もボランティアを続けながら、メキシコ、ノルウェー、サンディエゴなど色々な国でトレーニングを受ける。今も学ぶことを絶やさず、指導者としてもクラスや企業セミナー、福祉の健康増進事業を通し、その人にあった健康を、様々な角度から提案し続けている。著書に「働くみんなの1分すぐ楽ヨガ いつでもどこでも瞬間リフレッシュ!(学研プラス)」、「心と体が軽くなる SNOOPYといっしょにヨガ(学研プラス)」(監修)がある。

Instagram:tomomi_kyono

自信のなかった自分を変えてくれたヨガに出会って

アメリカでヨガに出会った京乃さん。その後も世界各地を周りヨガに対する理解を深めていったという

──京乃さんがヨガに出会ったきっかけは?

19歳のときでした。私は16歳のときから芸能活動をやっていたのですが、このころは何をやってもうまくいかず、ひどいときは過呼吸を起こしてしまうほどストレスをためていたんです。そんなときにアメリカ・LAに住む友人から遊びに来ない?と誘われて。その当時LAでは健康ブームの火がつきはじめたところで、そこでヨガに出会いました。

2週間ヨガを楽しみ、飲み物や食べ物にも気をつけていたら、体だけでなく心もすごく楽になったんです。体の痛みや辛さにアプローチできるものはたくさんありますが、心の痛み、辛さに直接アプローチできるものはほとんどないので、ヨガのすごさを感じて。そこからヨガにはまっていきました

──それでインストラクターを目指されたんですね?

そのころは芸能の仕事をしていたこともありましたし、もっとヨガを学びたいという思いが強くてすぐに仕事にしようとは思いませんでした。日本でお金をため、たまったら世界各地でヨガを学んだり、ヨガの資格をとったりする生活を続けていたんです。

転機となったのは東日本大震災でした。自分にも何かできることはないかなと考えたとき、岩手県の大槌町でヨガレッスンをするボランティアをやらないかと声をかけられたんです。そこで初めてヨガインストラクターをやったんですけど、せっかくヨガをやっていただく機会なのに、自分たちがトライアルだと思われたらいやだなと思って。ものすごく入念に準備しましたし、初めてだとは思われないよう、堂々とするように心がけました。

そのおかげもあってか、レッスンのあと「先生いつもどこで教えてるんですか?」、「東京に行ったら習いに行きたい」とみなさんが声をかけてくれたのがとてもうれしくて。そこからインストラクターになりたい、ヨガの良さを広めたいという思いが強くなりました。

ボランティアで経験を重ね、企業アンバサダーに大抜擢!

NPO法人で数多くの経験を積んだあと、京乃さんはスポーツウェアのアンバサダーとしてキャリアをスタートさせた

──そこからプロのインストラクターに?

その後は西千葉にあった精神疾患や知的障害をお持ちの方の社会復帰を目指すNPO法人で、ボランティアとしてヨガのレッスンを3年ほど続けていました。往復4時間くらいかかる場所だったんですけど、それが苦にならないくらいとてもやりがいを感じていたんです。過去の私のように過呼吸の方がたくさんいらしたのですが、そういう方は背中がガチガチに固まっていることがよくあるんです。ヨガによって背中をほぐすと、呼吸が整い深くなって、笑顔になる方が増えていくのがたまらなくうれしくて。

私は今でも、ヨガが好きな人に教えることより、企業ヨガなどで今までヨガにふれてこなかった方に教えることがとても多いんですが、その基盤もここで作られたかなと思っています。

──企業のアンバサダーをやられていたとお聞きしましたが、それはどんなきっかけでやることになったのですか?

ボランティアをしていたときに、その企業の方から声をかけられたんです。周りのアンバサダーの方もすごいキャリアの方ばかりだったので、受けていいのか本当に悩みました。でもそのときに担当の方が「良い先生はたくさんいるけど、ハートが良い先生はあんまりいないから、自信を持って大丈夫」と言ってくださったんです。ヨガに出会ったとき、自分に自信がないところからスタートしているので、ハートをほめてくださったのが本当にうれしくて。やるからには本気でやろうと思い、芸能の仕事も全部やめてインストラクターとして本格的にキャリアをスタートさせました。

自分を救ってくれたヨガを、教育の一環として提供していきたい

世界のさまざまな地域を周ったことで教育の重要性について気付いた京乃さんは、今後は教育にも携わっていきたいとも考えているという

──今年はお子さんも出産されたそうですね。今後のキャリアについてはどのようにお考えですか?

自分の体と心を整えるためにヨガは一生やっていくと思うんですが、仕事としては割と柔軟に考えていて。求めてもらえるうちはもちろんやりたいですが、世界各地を周ったこともあって、どこでも、どんな形でも生活できる自信があるんです。今回の出産もそうですが、とくに女性の場合ライフステージによってやれることは変わってくると思うので、そのときやれることを柔軟に考えていきたいなと思っています。ただ最終的には大学でヨガを教えるという目標があるので、その実現のためには力を尽くしていきたいですね。

──なぜ大学で教えたいんですか?

世界各地を周って教育の大切さというものを実感したんです。日本では当たり前の道徳などの心の教育も、一般的ではない国もあるんだと気付き、そこから自分も何か教育に携われないかという思いを持っています。

また、自分自身も大学生のときにすごく人生に悩んで、そのときにヨガを通して心も体も楽になる体験ができたので、大学生くらいの大きく人生を切り開いていかなくてはならないときにヨガが助けになればいいなと思っています。私自身ヨガによって大きく人生が変わったので、そんな体験を少しでも提供していけたらうれしいです。
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京乃さんをヨガインストラクターにした3つの転機

京乃さんをヨガインストラクターにした3つの転機は以下の通りでした。

1.ストレスが軽減され、メンタルまで楽になるヨガに出会い、夢中で学んだ

2.ボランティアを各地で行い、ヨガに触れたことのない人へのインストラクター経験を積んだ

3.アンバサダーに任命されたときは、自分を信じて一歩を踏み出した

ヨガについて熱心に、そして心から楽しんでいる様子で語ってくださった京乃さん。その根底には、過去の自分と同じように自信を失ったり、生きづらさを感じる人が、ヨガによって一歩を踏み出せたらという熱い思いがあると感じられました。ヨガインストラクターとして活躍したい人はぜひ参考にしてみてくださいね。

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