都内よりも仲間の成長が速いことが、独立して一番うれしいこと【MINX plus 花渕慶太さん #2】

美容業界で働く上で「独立」という目標を持つ人は多いはず。そんな方へ先輩オーナーの経験談をお届けする本企画。

前回に続き、千葉県流山市にオープンした『MINX plus 流山おおたかの森美容室』CEOの花渕慶太さんにお話をお聞きします。MINXに入社して16年目となる昨年、セカンドブランドとして独立した花渕さん。サロンを1から作るチャレンジをしつつ、大好きなMINXブランドをより大きくするための新たな展開を広げています。

後編となる今回は、業績アップの工夫や独立してよかったこと、今後の展望をお聞きします。

お話を伺ったのは…

『MINX plus 流山おおたかの森美容室』 花渕慶太さん

2006年『MINX』入社。2019年『MINX銀座五丁目』立ち上げ、代表就任。撮影、ヘアショー、国内外セミナー等を展開。サロンワークでは、年間3000人以上を担当。経験とキャリア、親しみやすさを活かした親身なカウンセリングを得意とし、今まで解決できなかった悩み、コンプレックスを解決する。2021年7月『MINX plus 流山おおたかの森美容室』、11月に美容室店舗内に『MINX plusネイル 流山おおたかの森』をオープン。
Instagram @minx_hanabuchi

重要なのはターゲットに合わせた価格設定

千葉県「流山おおたかの森」駅前にオープンした『MINX plus 流山おおたかの森美容室』。
店内は広々としながら、ファミリーで座れるやや独立したシートも。

――独立にあたり、業績アップのために取り入れたことはありますか?

お店を出した「流山おおたかの森」は、駅前エリアに住んでいる方は僕と同世代でお子さんのいる方が多いんです。また駅から離れたところには、少し上の世代の方がたくさんいらっしゃいます。だからサロンのコンセプトとして、お子さんのいる女性、大人の女性が毎月通ってくれるようなサロンにしたいなと考えました。

そのコンセプトに合わせて、サロンの内観や広さ、HPのデザインなどを決定。やはりネットでの集客は絶対に必要なので、SNSやネットニュースなど、いろんなところに種をまきました。

とくにこだわったのは、ターゲットに合わせた価格設定です。カットのみだとエリア内では高めなんですが、他のメニューとセットにすることでリーズナブルになるなど、MINX本店ではなかった設定を取り入れています。

ただ高いだけで一定層の人しか来られないのではなく、この街の人全般に来ていただきたい。でも僕たち自身の技術の価値を高めるモチベーションとして低価格にはしない。今の僕たちが提供できる価値と、お客様が求める価格帯、そのバランスはすごく考えました

キッズチェアやおもちゃも。ベビー&キッズの需要の高さを感じ、
花渕さんのお子さんのお下がりを持ち込んだそう

――実際にオープンして、いかがですか?

はい。狙っていた層だけでなく、お子さんを含め家族でいらしてくださったりもしています。お子様と一緒の来店もイメージはしていたんですが、いざいらっしゃると都内とはサロンの雰囲気が全然違ってくるなと感じます。

あと都内と違いを感じたのは、紹介のお客様がめちゃくちゃ多いこと。ご家族やご友人など、ご来店いただいた方のヘアスタイルを見て、周りの方がすぐに来てくださいます。コミュニティのつながりを、すごく感じますね。そこの広がりが早いのは、郊外に出店してよかったことのひとつです。

独立から半年で感じる仲間の成長スピードのアップ

スタイリスト佐々木さん(左)とアシスタント石橋さん(右)は
MINX銀座五丁目店から一緒に独立した仲間

――独立してよかったなと思うことを教えてください。

まだ半年なので経営面は何とも言えないんですが(笑)。今一番よかったなと思うのは、前のサロンから一緒に来てくれた仲間をはじめ、スタッフみんなの成長を感じられることです。とくに銀座で一緒に働いていた2人は、そのころよりも成長スピードが速くなったと感じます。

地方に出店した理由のひとつに、MINX本体として約200名の美容師が在籍しているなかで、技術はあるのに披露できる場が限られてしまうということがありました。実際にお客様に施術する経験を積めないと、スキルアップはできません。だけど、SNSでの「個の集客」が強い今は、せっかくつけた技術を発揮できる場がどうしても減ってしまう。そこを作るために、個に頼りすぎず店全体で集客できるサロンを、都内から離れて作りたかったんです。

――では、成長スピードが速くなったのは、お客様に接する機会が増えたから?

それに加えて、当事者感覚になってお客様に接するようになったことが大きいと思います。スタッフが多いなかで、さらに個の集客に偏ると、役割分担も細かくなり「個人のお客様」という感覚になりやすい。そこを「お店のお客様」として他人事にならず自分事に置きかえながらやっていけたら、きちんと考えて仕事ができるようになるんです。

役割を細かく分担せず、サロン全体で1人のお客様にあたる。そこを強めることでお店全体の雰囲気も良くなり、お客様にも「誰かの予約が取れなくても別の人にお願いしよう」と思ってもらえるようになる。そして多くのスタッフに成長する機会が増え、スタッフにも当事者意識が芽生える

成長するのもしないのも、本人の意識次第です。100人の髪を切ったら全員が上手くなるかというとそうじゃない。当事者意識を持てば、もっとこうしようと考えられる。その意気込みを持ちながら100人の髪を切れば、本当に成長できる。

そういう場が作れているなと、スタッフの成長を通して感じています。

仲間とお客様の未来を考えた経営のため、今は土台を作る時期

MINX在籍16年目、独立というかたちで後進の未来を作り、
自分の「一からサロンを作りたい」という夢も叶える

――今後の目標や展望を教えてください。

今回この場所に、この広さでサロンを作ったのは、一緒に来てくれたメンバーみんなで接客ができるようにするためです。僕1人で都内にオープンするのであれば、もっと小さなお店だったと思います。でも今サロンの営業状態として、すでに月の空席率が1%以下で、この広さがなかったら次の店舗がないと間に合わないぐらいになっています。

だけど、ここですぐに新しいスタッフを入れて目の前の売り上げを取りに行くより、今は丁寧に土台から作っていかないといけないと思っているんです。僕がしている仕事や佐々木の仕事を、さらに下のスタッフが見て、仕事に対する価値観や未来のこと、今が楽しいかまで意思疎通ができるような関係を作りながら、お客様と長くお付き合いしていける技術と空間を提供する。その過程の中で、スタッフのステップアップのひとつの道として、新しい店舗をはどんどん出していきたいと思っています。

――経営者として大切にしていきたいことは?

絶対に大切なのは、お客様とスタッフです。お客様がいてもスタッフがいなければ営業は成り立たないし、スタッフだけいてお客様がいなくてもダメ。そのバランスが合っていないと経営は難しいと思います。

あと、今より未来が大事だなと思います。たくさんのお客様とできるだけ長く付き合っていきたいので、お客様の未来を考えた技術を提供すること。そして、スタッフの未来。お給料も増えていかないといけないし、そのためにはスキルアップもしてもらわないといけない。美容師という仕事をきちんと稼ぎながらやっていける環境を作っていきたいです。

――独立を目指す人にアドバイスをお願いします。

まずはコンセプトをしっかり固めること。そして、それに合わせたデータを集めて必要なサービスを考え、打ち出し方を考えること。開業前の下準備は、できる限りしておいた方がいいと思います。
経営面の手続きや書類作りなどは、やるしかないし、やっていけばわかるので(笑)。

独立を目指すあなたへ


経営者というのは一つの役割に過ぎず、人生の中のタイミングで責任を全うしているだけなんだと思います。だから一番大切なのは、何のためにやるのか。経営者としてその仕事をする意味、それをすることで未来がどうなるのかという基盤がないと、迷ってしまうと思うんです。未来は誰にもわからないし、自分の気持ち次第で変わるもの。だからブレないイメージだけは持って、スタートしたらいいと思います。(MINX plus 花渕慶太さん)

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取材・文:山本二季
撮影:片岡 祥

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Salon Data

MINX plus 流山おおたかの森美容室

住所:千葉県流山市おおたかの森西1-2-2 サクラテラス4F
TEL:04-7197-4124

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