顧客の悩みをもとにオリジナル商品を開発!「藤田ファム」さんの信頼の掴み方
フリーランス美容師「藤田ファムさん」は、「NEHAN」「Lond」「Joemi by Un ami」の3サロンで活動しているクセ毛のスペシャリスト。前編では、美容師としてキャリアを重ねる方法に迫りました。「やるべきこと×やりたいこと」という発想が、その他大勢の美容師との差別化を生む大きなポイントでした。
後編では、2021年8月に販売をスタートした「クルリ ナイトケア クリーム」にフォーカス。また、顧客を掴む接客術についても伺いました。後編も役に立つ情報が満載です!
今回お話を伺ったのは…
藤田ファムさん
FU株式会社代表取締役CEO、クセ毛のスペシャリスト
日本美容専門学校卒業後、2006年に「GARDEN」グループに入社。美容師として店舗出店や自社商品開発を経て「joemibyUnami」店長、「Joemi by Un ami」代表に就任。2020年3月に独立後、美容師、youtuberとして活動しながら独自ブランドの商品開発プロジェクトを開始。2020年12月「FU株式会社」を設立し、代表取締役に就任。現在は「NEHAN」「Lond」「Joemi by Un ami」の3サロンでフリーランス美容師としても活動中。
Instagram:@fam_unami
「自分の髪をもっと自由に楽しく」。オリジナルのナイトケア クリームを開発
――2021年8月に販売をスタートした「クルリ ナイトケア クリーム」は、どのようなプロダクトでしょうか?
「自分らしく、クセを楽しむ」をコンセプトに開発したナイトケアクリームです。このプロダクトには、心地よくクセをまとめてキープする力があり、自分の髪質をチャームポイントとして生かしたいと思っている方々からとても好評です。ダメージの改善にも効果がありますよ。
――そもそも、なぜプロダクトを開発したのでしょうか?
大きく2つ理由があり、1つ目にクセ毛の方々が良質なケア剤を求めていたことがあげられます。施術中にお話を聞いていると、多くのお客さまが「クセ毛用の商品はベタベタする」や「自分のクセ毛に馴染むアイテムがない」などの不満を抱えていました。実は一般的に普及している、クセ毛用商品には「油分量が多く含まれていて、重い」という特徴があり、これがお客さまの不快感を生んでいるもとです。
――なぜ、クセ毛ケア商品は「油分量を多く含んでいて、重い」のでしょうか?
広がりを抑えるためです。業界には「クセ毛の人は、長めで重くするときれい」という偏った考え方があり、それが「クセ毛用の商品=うねりを抑えてまっすぐにするモノ」という流れを生んでいます。
しかし、私のお客さまのように「自分のクセ毛を生かしたい」と思っている方もいて、この想いは従来の商品が持つコンセプトと反対の願望です。そのため、ベタベタする、扱いづらいなどのストレスが湧いてしまいます。
全国から届く喜びの声! クセ毛スタイルを1ランク上へ導く、オリジナル商品
――なるほど。それでは2つ目の理由を教えてください。
2つ目は私自身が一般に流通している商品に違和感を抱いていたからです。街の美容コーナーを眺めていると、ビフォーアフターの写真とともに「まっすぐになる!」と宣伝している商品を時々見かけますが、クセ毛はそんな簡単にまっすぐになりません。
おそらく使った直後は効果を感じても、すぐにうねりがでてくるでしょう。どう考えても、これはよい状況であると思えません。そこで無理矢理まっすぐにしなくても、魅力的にできることを伝えるために開発しました。
――実際の反響は、いかがでしょうか。
岩手、静岡、大阪、広島、沖縄など、全国から嬉しいコメントが届いているので、確かな手応えを感じています。当たり前ではありますが、サロンでは目の前の方しか喜ばせることができません。一方、プロダクトは離れている方の気持ちも明るくすることができるので、大きな可能性を感じていますね。
あえて単価を下げる⁉驚きの接客術とは
――ここからは次のテーマに移りたいと思います。明日から実践できる、リピート率を高める方法を教えてください。
結論から言えば、お客さまの期待をよい意味で裏切ることが重要です。たとえば、新規のお客さまの場合、「オーダーされたメニューをあえて断りなさい」と後輩によく伝えています。営業中のヘアサロンを見ていると、メニューを追加して単価のアップを目指している美容師が時々いますが、これはあまりよい方法とはいえません。
確かにその日の売上を伸ばすことはできますが、お客さまは退店時にどのような気持ちになっているでしょうか。おそらく「予想以上にお金を使ってしまった…」という気持ちが湧いていると思います。たとえ雰囲気がガラッと変わってスタイルに満足していても、出費のモヤモヤが残っているので気分はプラスマイナスがゼロです。そこで私は新規のお客さまの施術時に、あえてメニューを断って価格を落としていました。
――具体的にどのように接客をしていたのでしょうか?
たとえばカットのメニューが入っていても「切る必要がない」と感じたときは、「伸ばしてもよい雰囲気になるので、今日は前髪だけ切りましょうか」と勧めていました。そして、退店時に「1ヵ月後はカットしましょうね」とお伝えする。
お客さまはカット代を得した気分になるので、「値段を抑えてきれいにしてくれた素敵な美容師さんだ」というプラスの印象が残り、再び足を運んでくださいます。ようするに短期ではなく長期で売上を残す考え方ですね。
――確かに凄く得をした気分になります。それでは最後に、若手美容師にメッセージがあればお願いします。
自分で考えてトライ&エラーを重ねることが大切だと思います。ちなみに私自身は、「今日から2ヵ月間は新規の方のメニューを断ってみよう」など、接客の実験をよく行っていました。このテストは、その行動が引き起こす再来率もしくは失客率がよく分かるので、売上アップにとても効果的です。よかったら試してみてください。
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お客さまの信頼を掴む3POINT
「藤田ファム」さんのお客さまの信頼を掴むポイントをまとめると以下の3つでした。
1.サロンで聞いた不満をもとに、お客さまと一緒にオリジナル商品を開発
2.新規の方の場合は、あえて単価を下げて来店回数を増やす
3.トライ&エラーを重ねて本質を探る
これからは、サロンワークだけでないキャッシュポイントを増やすことが大切とのこと。「小さくてもよいので、自分の事業を持つことが安定感に繋がりますね」と語ってくださいました。収入アップに悩んでいる美容師の方、オリジナル商品の開発に興味のある方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。