モテたいは永久に不滅!「シータ王子」さんの生涯顧客を掴むブランディング術
「シータ王子さん」は、「恋愛&モテ」をコンセプトに掲げている人気美容師。21歳~24歳の3年間ホストとして働いた経験を持つ、異色のキャリアの持ち主です。
「ブームに左右されないコンセプトを掲げることが大切」と語るシータさん。その言葉の背景には、冷静な分析力と確かな行動力がありました。前編では、独自路線を行くユニークなブランディング方法に迫ります。
今回お話を伺ったのは…
シータ王子さん
美容学校を卒業後、大阪のサロンに入社。1年ほど働いた後、ホストに転身し3年ほど働く。24歳で再び美容師の世界へカムバック。大阪のサロンで腕を磨き、スタイリストデビューを果たした後、PEACEグループの総代表「モテ髪師 大悟」をテレビで観たことをきっかけに2016年に「PEACE NAMBA」に所属。ホスト時代に身に付けた接客術を武器に「モテ髪王子 シータ」として活動を開始。現在は店長として活躍中。得意な施術は、韓国風&ショート。「カットしてもらうとなぜか恋愛運がUPする」と、SNSなどで話題に。
Instagram:@prince_takapi
いつの時代もニーズがある!最強のコンセプト「恋愛&モテ」
――プロフィールを見たところ、シータさんは「恋愛やモテ」を前面に打ち出していますが、なぜこのコンセプトを掲げているのでしょうか?
とにかく、お客さまを楽しませたいからですね。「寄り添う美容師」や「良質な技術を提供するスタイリスト」など、さまざまなスタイルがあるなかで、私自身は「お客さまを徹底的によろこばせる美容師でありたい」と思っています。
実は美容師になったときからこのコンセプトを掲げていたわけではなく、8年ほど前では自分でもこの気持ちに気が付いていませんでした。しかし、PEACEグループの総代表「モテ髪師 大悟」を偶然テレビで見たときに、「自分がやりたいのは、これだ!」と強く思いました。美容師をエンターテインメント化している姿が、本当に衝撃的でしたね。そこでセミナーに行き、現地で「雇ってください!」とお願いをして現在に至ります(笑)。
――「シータさんが美容師として活躍を続けている」ということは、おそらくこのコンセプトに効果があるからだと思います。具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?
「恋愛&モテ」というコンセプトには大きく2つの魅力があり、1つ目は流行に左右されないことです。業界では髪質改善、ダブルカラー、ハイライトなど注目を集めるスタイルが毎年生まれており、それは時代の流れに沿って移り変わっています。
しかし、お客さまをじっくり観察していると、美容を求める心にはほとんど変化がありません。どの時代も「周りから大切に扱われたい」「好きな人に褒められたい」「モテたい」という気持ちは常にあります。ようするに「恋愛&モテ」は、流行にかかわらずいつの時代もニーズがあるコンセプトです。
流行には乗れ!エリアを絞った発信で、お客さまをキャッチ
――「髪質改善、ダブルカラー、ハイライト」などの流行のお話が出ましたが、このような人気スタイルには、どのような考えを持っていますか?
積極的に取り入れたほうがよいと考えています。最近は韓国風やショートが流行っているので、去年あたりから「韓国ヘア 恋愛とショートの達人」として打ち出し始めましたね。ちなみに、流行が全国に広まるまでには、思いのほか時間差があります。
たとえば「韓国風」というスタイルは、大阪の大都市や東京ではすでに発信され尽くしています。しかし私が働いている難波では、数ヵ月前まで「難波 韓国風」で検索をかけてもほとんど見当たりませんでした。そこで「チャンス!」と思い、このワードを使って発信をしたところ集客に成功しました。
業界には「やり尽くされているから」と流行に手を出さない美容師がいますが、それは本当にもったいないことです。自分が働いているエリアに絞ってみたら、席がぽっかり空いていることが意外とありますよ。
目標はキワモノ芸人。コアな層をターゲットにして生涯顧客をゲット
――なるほど。それでは「恋愛&モテ」というコンセプトが持つ、2つ目の魅力を教えてください。
2つ目は熱狂的なファンを掴めることです。より分かりやすくするために、芸能人でたとえて説明をしてみます。私は、美容業界を見渡したときに、人気俳優や有名モデルのように大多数から好かれることを狙う美容師が多いと感じています。このなかで戦うことは、とても大変でしょう。
そこで、私は芸人のポジションを目指すことにしました。そのなかでもアインシュタインの稲田さんやアンガールズの田中さんのような、いわゆるキワモノを狙っています。
確かに万人受けはしないでしょう。しかし、熱烈に好きになってくれる方が一定数確実にいます。そしてその方々の気持ちは、年を重ねてもほとんど変わりません。ようするに私のもとに、ずっと通い続けてくださいます。
――とても興味深いブランディング方法ですね。ちなみにシータさんのもとには、どんなお客さまがいらっしゃるのでしょうか?
幅広い世代の方が足を運んでくださっていて、特に多い年代は30~40代です。なかには関東や九州など、遠方からのお客さまもいらっしゃいますね。ちなみに最近は、SNSで告知後に東京と福岡の「PEACE」を訪れてお客さまを担当する、出張サービスも始めました。
現在は、偶数月は東京・奇数月は福岡に3日間ほど滞在し、お客さまを担当しています。「私のためにわざわざ大阪から来てくれるのがうれしい」とかなり好評のサービスですね。また、東京のメディアに露出できるなど私自身にも大きなメリットがあります。
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美容師のブランディング方法3POINT
「シータ王子」さんから聞いた、美容師のブランディング方法をまとめると以下の3つが鍵でした。
1.ブームに左右されないコンセプトを掲げる
2.流行のスタイルを積極的に取り入れて、エリアを絞って発信
3.ニッチな層をターゲットにして、生涯顧客を掴む
後編では、リピート率を高める接客術にフォーカス。「性格を見抜いて、アプローチ方法を変える」という気になる言葉が飛び出してきました。後編もぜひチェックしてください!