周りから反対されることこそうまくいく 夜間営業で地方サロンでも急成長 「BelleWing」代表・池田翔さん
静岡県・浜松市で美容室「BelleWing」を経営する池田翔さん。オープンから4年が経った今でも人気を集め、名古屋や岐阜など県外から訪れる人も多く、1日に14人ものお客さまをひとりで担当することもあるそうです。前編はその「BelleWing」の特徴、夜間営業をしていることについて詳しく伺います。ほかのサロンとの差別化、そして経営理念にも掲げている徹底的なお客さまファーストを追求した結果、行き着いた営業スタイルだといいます。
今回、お話を伺ったのは…
池田翔さん
「BelleWing」代表/LUCHENTOPREMIUM認定アンバサダー講師
静岡県西部理容美容専門学校を経て、浜松市のサロンで経験を積む。25歳でフリーランスとなり、その後、浜松市に夜間営業のサロンとして、「BelleWing」をオープン。徹底的なお客さまファーストを掲げ、県外からも多くのお客さまが訪れる人気のサロンとなっている。
池田翔さんのInstagram:@i.tsubaking
行きたい時間に開いてこそのお客さまファースト。夜間営業スタイルでサロンをオープン
――夜間営業のお店を経営しているとのことですが、きっかけは?
いくつかあるのですが、これまでの美容師人生のなかで抱えてきた疑問がきっかけのひとつでした。営業時間をこちらが決めて、その時間にお客さまに来ていただくというのが、僕には違和感があって。独立したときに経営理念として掲げた究極のお客さまファーストを実現するためにも、お客さまが本当に行きたいと思ったときに開いている状態にしようと思ったんです。
元々フリーランスとして働いていたときに、夜のお店で働いている方や、看護師さん、飲食業の方など、夜の時間帯にやってくれれば絶対に行くのに、と仰ってくれる方が多かったので、需要はあるという思いもありました。
――なるほど。ほかにはどんなきっかけがあったのですか?
僕の考え方の軸に、人と同じことをしていても勝てないという思いがあって。美容室として勝ち残っていくことを考えたら、これまでにはないものを作らなければと思ったんです。昼間にサロンに行きたい人と、夜に行きたい人の割合を考えたら、99%と1%くらいかもしれませんが、99%に合わせれば、競合も多い。であれば1%が確実にきてくれるお店を打ち出したほうが勝算があると思ったんです。競合がいなければ、ホームページの検索でも自然と上位にあがってきますしね。
夜間営業とはいっても、リピーターのお客さまには何時の予約でもOKにしていて、最近は朝の9時、などと指定をいただくことも多いんですが(笑)。ほぼプライベートがないですが、35歳まではできるところまでやると決めているので、あと2年このままやっていこうと思っています。
カットカラーが4時間から2時間に。マンツーマン施術でも時間を半分にすることに成功
――アシスタントをつければ、池田さんがそこまで働かなくてもお客さまを増やすことができるのではないでしょうか?
アシスタントをつけるのは、僕の考えるお客さまファーストに反するのでやりたくないと思っていて。せっかく僕を指名してきてくれたのに、カットだけ僕が担当してあとはアシスタントが担当するのは、お客さまの求めていることじゃないと思ったんです。だから僕が施術することにこだわりたかった。でもお客さまが増えるとどうしても、僕が担当できる時間は短くなってしまいます。
そこで考えたのが、施術時間を短くすることです。オープン当初はカットとカラーで4時間かかっていたのが、今では2時間に縮めることができるようになりました。
――4時間が2時間!?どのようにして短縮することができたのでしょうか?
練習を繰り返していることと、たくさんのお客さまを担当させていただくなかで日々経験を積んで手際が良くなり、可能になりました。
あとはカラーの技術を徹底的に研究しましたね。たとえばお客さまが9レベルの明るさにしたいなら、13レベルの薬剤を塗って放置時間を早める。見極めがかなり難しいですが、この方法でかなりの時間短縮になりました。これまでのやり方にとらわれず、お客さまが喜んでくれる方法を常に模索しています。
反対されることこそ、うまくいく。自分の感覚を信じて
――夜間営業のお店ということ以外にも、お店のコンセプトはありますか?
本当にいいお店はお客さまの口コミで広がっていくという思いから、開業から一度も看板を出したことはありません。集客サイトも使ったことがありませんが、フリーランス時代のお客さまが来てくれたのと、オープン時にキャンペーンを打ち出したことによって、「BelleWing」がオープンしてから4年間一度も赤字はないです。
そのキャンペーンというのが、社長や個人事業主の方を初回無料にするというものでした。こういう方たちは、従業員の方を抱えていたり、横のつながりが強く顔も広かったりと、たくさんの方に拡散していただくことぎができたんです。ちなみに、このときつながった社長さんや個人事業主の方とは今でも月に1回集まって、異業種交流会をするなどお世話になっています。
――夜間営業をする、お客さまが増えてもアシスタントをつけない、集客サイトを利用しないなど、これまでの常識にとらわれないサロン経営をされていますが、成功するかどうか不安はありませんでしたか。
なかったですね。僕の構想を話しても多くの人が「それはできない」とか「無理だよ」と言ってくるのですが、僕としては、逆に反対されているぐらいがちょうどいいなと思っていたので。よく成功者の話を聞いたり、本を読んで感じていたのは、うまくいく人は、最初は反対されることが多いということ。ほかの人が誰もやっていないことをやるから、普通の感覚の人からするとうまくいかないという判断になるのではないかと思います。だから反対されているくらいのことのほうが勝算がある。
自分の原動力のひとつとして、地方でも、マンツーマンでも、がんばればここまでできるということを示したいという思いがあるので、着々と結果が出てきている今がとても幸せですね。
「BelleWing」が人気となった3つの理由
1.夜間営業の形をとり、お客さまが行きたい時間に行けるサロンを作った
2.徹底的なお客さまファーストを掲げ、マンツーマンでも施術時間を短くした
3.美容室経営の常識にとらわれず、自分の道を貫いた
お話を伺っていると、「努力の人」という印象しかない池田さん。しかし意外にも、アシスタント時代は練習が嫌で、さぼっていたことも多かったのだとか。後編ではその転機となった、フリーランス時代に集客がうまくいかなかったという挫折について伺います。苦難の日々が続いたそうですが、お客さまが来てくれるためにはどうしたらいいかを考えた結果、練習がまったく苦にならなくなったのだとか。また、どんなに遅い時間まで営業していても次の日のお客さまの準備を怠らないという池田さん。その姿勢で多くのお客さまの信頼を勝ち取っているそうです。後編もお楽しみに!