自身が経験した睡眠障害をきっかけに転職【ドライヘッドスパリスト 角知美さん】#1
ストレス社会と言われているこの時代で癒しを求める人々は現在増えています。
その中で、リラックス効果やマッサージだけではなく、自律神経や美容にまでも効果が高いと言われ注目を集めているヘッドスパ。そんな時代と共に歩まれてきた「快眠ドライヘッドスパ専門店 myu(ミュー)」の店長として働くドライヘッドスパリストの角知美さん。美容師時代、自身が睡眠障害に悩まされた経験があったことをきっかけに、現在のヘッドスパリストへと転身。
前編では、前職の美容師を目指したきっかけから、「快眠ドライヘッドスパ専門店 myu」で店長として働くことになったいきさつなどをお伺いしました。
SUMI’S PROFILE
- お名前
- 角知美(すみともみ)
- 出身地
- 福岡県
- 趣味
- 食べること、絵を描くこと
- 特技
- ヘッドスパコンテスト全国大会ベスト8、フードスペシャリスト
栄養士、ブライダル、さまざまな経験を経て一番好きな美容の世界へ
――美容の仕事に興味を持ち始めたきっかけを教えてください
福岡にある実家が魚屋さんなのですが、その一帯が商店街になっていて隣が美容室だったんです。それで小さい頃にその美容室へお手伝いをしに行っていて…というよりはよく遊びに行っていまして、それをきっかけに美容の仕事へ最初は憧れを持ち始めました。
――小さい頃から美容に触れられる環境があったんですね
そうですね。そこからメイク本なども買うようになり「メイクでこんなにも印象が変わるんだ!」という衝撃を受けて、私も将来はメイクさんになりたいなと思うようになったんです。
ただ、もともと食べることも好きだったので、その時に進路で飲食系に行くか美容系に行くかで悩んでしまい両親に相談したところ「あなたは食べる事が好きだから、そっちの方がいいんじゃない?」と言われ、それで飲食系の短大へ進み栄養士になりました。
――なるほど。そこからどのような経緯で美容の道へ?
短大へ通っている中でやっぱりどうしても美容の道へ進みたいなと途中から思うようになり、短大を卒業してからメイクのスクールに通い始めたんです。その時にブライダルのお仕事もしたりしていました。
ある日、そのスクールに東京からヘアメイクのプロの方が講師でいらっしゃる機会があったんです。その時の授業で「料理とメイクは似ている」というお話を聞いて、それがすごく面白くて。その先生のヘアメイクも作品も凄く綺麗で好きになり、“この先生のもとで働きたい”と手紙を書いたんです。
――すごい行動力ですね。それでお返事は貰えたんですか?
はい。「きっと東京の美容学校に行くのがいいですよ」とお返事を下さって、
それで26歳くらいの時に東京にある夜間の美容学校へ行き始めたんです。昼間にアルバイトをして学費を稼ぎながら、美容室でもお手伝いをさせてもらって夜に学校へ通うという生活をしていました。
――自分で学費を稼ぎながら学校へ通うというのはなかなか大変なことですよね?
大変でしたが色々やっていましたね。私は絵を描くことも好きなのですが、当時デッサンの教室にも時々行っていたんです。そこで出会った美容師さんがいたのですが、その人が前職の美容室のスタッフだったんです。
美容師からヘッドスパリストへ
――色々とご縁が巡ってますね。それがきっかけでそのサロンで働き始めたんですか?
その子が、サロンスタッフの方達とBBQをやるからと誘ってくれたんです。その時に社長が声をかけてくださって、後日改めてお話をさせて頂き「ぜひお願いします」という形で、そこからその美容室(fika 恵比寿)で働かせて頂くことになりました。そこから2年ほど美容師として働いていていたんですが、段々と朝起きれない事が増えていきまして。
――それは目覚ましをかけていても、朝体調が悪くてなかなか起きれないという事ですか?
というよりは、目覚ましをかけているのに気づかないという感じです。自分でも「なんでこんなに起きれないんだろうな」というくらいで最初はあまり気にしていなかったんですが、何度も遅刻を繰り返すようになってしまって、勤務中にも立ちながら寝てしまったり、しまいには1対1のMTG中でも寝てしまうようなこともあったりと、、普通ではあり得ないことですよね。
それで仕事にも支障が出てきてしまい、私がスタッフ皆とチームワークで働くという事が難しくなってきてしまったんです。
――その状況は苦しいですね。その時に病院には行かれたんですか?
はい、それで睡眠障害が原因だったと言うことがわかりました。
それから、1度この仕事を辞めるかそれとも週1でアルバイトに戻るか、MTGが行われたんです。悩む状況でしたが、シャンプーとヘッドスパだけは本当にお客様に喜んでいただけていたと評価を頂き、週1のアルバイトという形で残ることになりました。
ただ、やはり週1では食べていく事ができず、そこから私も改めて仕事を探し始めたんです。その時に自分が唯一できる技術といえばやはりシャンプーとヘッドスパだと言うことに気づき、それを活かせる仕事を探していたタイミングでドライヘッドスパに出会いました。そこからは美容室とドライヘッドスパの専門店を掛け持ちしていた感じです。
――そこからどのようにして「快眠ドライヘッドスパ専門店 myu」を始めることになったんですか?
ある日、美容室の社長に「うちでも角のヘッドスパが好きと言ってくれているお客様に、ドライの方でやってみたら?」と言われ、それをきっかけに少しづつ始めてみたんです。そしたら実際に喜んでくれるお客様も多くて。
それからお店の事務所として借りていたマンションの部屋の一部をドライヘッドスパのお客様専用として貸していただけることになり、最初はfikaの既存のお客様へ施術させて頂く形で始まりました。そこでもありがたいことに喜んでくれるお客様が沢山いてやりがいを感じられるようになりましたね。
――徐々に顧客が増えていった感じですか?
そうですね。そのタイミングでまた美容室で働く時間を週1から増やしていきました。最終的には専属のヘッドスパリストとして働くようになり、ドライからシャンプーまで全てのヘッドスパを行っていました。
その後、社長とも話をし“角が一人で何かできるように始めてみよう”と言って頂けたんです。そこからのれん分けと言う形でmyuをスタートさせて頂き、そこからは予約もどんどん増えていきました。
ヘッドスパリストとして働くようになり、自身の睡眠障害も解消へ
――社長さんのその見抜く力も素晴らしいと言いますか、角さんのことをずっと信じてくれていたんですね。
本当に感謝です。ありがたいことにそこからものすごく忙しくなっていきまして、お店に立つのも一人だったので、本当に全て一人でこなしていくという感じで凄くバタバタだったと思います。
――お一人で全て回していくのはかなり大変だったと思うんですが、そこから睡眠障害の方も改善されていったんですか?
そうなんです。自分のやりがいとなるヘッドスパの仕事に専念するようになってから、徐々に改善されていきましたね。今ではもうほとんど治りました。
自分の苦しい経験から、本当にやりがいのある仕事に出会えたという角さん。その笑顔が本当に素敵だなという印象を受けていたのですが、その人柄だったり角さんの真摯な思いというのが社長にはもちろん、しっかりとお客様にも伝わっていて今に繋がっているのではないでしょうか。
後編では、myuを始めてから経験したことや今後の展望などをお伺いしていきます。
取材・文/笠原由布子
撮影/SHOHEI