表参道にあっても気取らずあたたかいお店でありたい 「Velvet on the Beach」桜井章生さん

表参道の人気サロン「Velvet on the Beach」の代表、桜井章生さん。前編では、多数の芸能人のヘアカットを担当した大人気サロン「HAIR DIMENSION」からの独立秘話とサロンの成長の秘密を伺いました。
後編では、長く愛されるサロンを運営する秘訣を伺います。店舗拡大に大事なのは、スタッフの教育。 グループでは、カリキュラム式と見て学ぶ方式のいいとこ取りで教育を行い、サロンの肝となる基礎技術を徹底的に学ぶそうです。また、失客の一番の理由は「マンネリ」だと語る桜井さん。どんなに長く通ってくださる顧客に対しても、常に新しいエッセンスを加えた提案をマストにしているそうです。

今回、お話を伺ったのは…

桜井章生さん

「Velvet on the Beach」代表。青山の「hair lounge BEACH」、千葉県柏市の「hair lounge beach Soup’e」、神奈川県・橋本の「fha-na hair lounge 」の経営も手掛ける。美容師歴は30年。カミカリスマを2022・2023年と連続受賞。女性誌のヘアページ、美容メーカーの商品開発、美容師向けのWebトーク番組の司会などマルチに活動中。

インスタグラム:@beach_saku69

「カリキュラム+見て覚える」方式で、サロンの雰囲気を守る基礎技術を徹底的に指導

「教わる本人が考えないと、技術は身につかない」と話す桜井さん

――お店を拡大していくにあたり、後進の教育は非常に大事だと思います。指導をする際にどんなことを意識されてきましたか?

僕の実体験上、教える側がどんなに熱意を持って指導をしても、教わる本人が考えながら技術を習っていないと身にならないように思うんですよね
僕は美容師になった当初、京都のサロンで勤務をしていました。その時いろいろな方法で学んでもどうしてもうまくいかない技術があり、悩んだ結果、東京に修行にやってきました。東京のサロンで先輩たちの施術を見て、「僕がうまくできなかった理由は、こういうことだったのか!」と、京都で試行錯誤した時間の答え合わせができたんです。それを機に、技術力が向上し、一皮むけた実感があったんですよね。
自分でやってみて、うまくできずにもがいてから答えを見ると、正解をしっくり受け入れることができ、ようやく身になるんだと思います。なにかを習得するときは、自分なりの事前の準備が必要なんだということは、肝に銘じて指導をしていますね

――お店全体の教育制度について教えてください。

うちのサロンでは基礎技術のカリキュラムをしっかり用意しています。お店が「ナチュラル、フェミニン」の雰囲気を大事にしているので、その雰囲気を作るための大事な基礎技術は徹底的に指導しますよ。とくにブローの施術については、他店よりもきっと厳しいですね。
そこから先の「お客さまへの似合わせ」や、「提案力」などはカリキュラムには収まらないので、自分で考えて習得していくというやり方を取っています。
カリキュラム式と、「見て学ぶ」方法のよいところを取り入れた形で指導をしています

失客の一番の理由は「マンネリ」。新しい提案が継続的な来店の秘訣

わざわざ足を運んでくださるお客さまに対して、提案をしないのは失礼だと考えているそう

――2店舗目の「Velvet on the Beach」も、開業から8年と長い間お客さまに愛されていますね。お客さまと接するうえで気をつけていることはありますか?

技術的なことで言うと、長く来店してくださるお客さまに対しても、馴れ合いにならないように意識しています。具体的には「前回と同じ髪型」はせずに、必ず自分から新しい提案をするようにしています。

うちのお客さまの多くは自分の最寄り駅から、おそらく60軒くらいの美容室をスルーして、うちのサロンに来てくれます。わざわざ表参道まで足を運んでくださるお客さまに自分でスタイルを決めさせるのは、もってのほかだと思うんですよね。お客さまの要望を聞き出すのはとても大事ですが、提案はマストであるとスタッフにも指導しています。

僕は、失客の一番の理由は「マンネリ」だと思っています。たとえお客さまが「前回と同じで」とオーダーしてきたとしても、流行のエッセンスを加えて提案し続けないとお客さまは別のお店に行ってしまいますからね。いつもと同じ、を続けないということが大事だと思っています

――その他、接客面で意識されていることはありますか?

スタッフに伝えるのは「等身大で接客しろ」ということですかね。とりつくろって背伸びして接客したところで、お客さまは今の自分にしかつかない。だからわからないことをわかると言ったり、過剰によく見せようしたりしなくていいよと伝えます。僕自身も、ありのままの自分で接客することを心がけています。とりつくろってかっこよく見せる必要はないと思うんです。

表参道にありながらアットホームな雰囲気を感じてくださっているのか、親子2世代で通ってくれるお客さまも多いんですよ。先日は、ブリーチをしたい高校生の娘さんが、「桜井さんが『ブリーチしよう!』って提案したことにして、私の親のことを説得してよ!」と言ってきました(笑)。表参道や青山の美容室だからといって気取る必要はまったくないと思っていて、むしろあったかい雰囲気で接客できたらいいなと思っています

心が通いあったスタッフと一生一緒に働きたい

「今でもスタッフと一緒にふざけるので、うちのサロンは騒がしいですよ!」と頬を緩める桜井さん

―― 会社理念が「一生付き合える仲間をつくる」ということですが、そのイズムを継承するためにしていることはありますか?

経営者だからといって、若いスタッフと距離を取らないようにしていますね。一緒に騒ぐし(笑)。そういうところで、「なんでも相談できる関係性」ができていたらいいなとは思います。

あとは、「自分だけよかったらいいという考えはやめよう」と、ブレずに伝え続けていますね。一人勝ちではなくて、みんなで協力してみんなでよくなっていくチームワークも大切にしています。そういうところから、仲間の絆が強くなっているのかもしれないですね。

――今後の抱負を教えてください。

今後も引き続き、長く在籍してがんばってくれているスタッフのために、会社として活躍できるステージを作っていきたいと思っていますね。「hair lounge BEACH」の代表を務める長谷川、「hair lounge beach Soup’e」の代表・松嶋、「fha-na hair lounge」の代表・原というように店舗の代表を任せている3名は、全員オープニングスタッフなんです。長く在籍するメンバーが躍進できる場を設けられたということは、僕とTOSHIが経営者として達成できて良かったと思っていることのひとつ。これからも「目の前にいるお客さまを大事にしていれば報われる」環境を作っていきたいと思っています。
そして会社理念のとおり、心が通いあったスタッフたちと一生付き合っていけたらうれしいですね。いつも雰囲気のいい会社であり続けたいですし、美容業界で「あそこの会社いいよね!」と言ってもらえるようになりたいです。今後も、人を大切にするという理念はブラさずに進んでいきたいと思います。


桜井章生さんのサロンが躍進を続ける3つの理由

1.お店のテーマである「ナチュラル・フェミニン」を守るための基礎技術を徹底的に指導している

2.どんなに長く通ってくれるお客さまにも慢心せず、常に新しいエッセンスを加えたスタイルを提案し続ける

3.スタッフとフラットに付き合うことで「なんでも相談できる関係性」を築き、個々の将来像をサポートする体制を築いている

取材中、たびたび「ブレない」という言葉を使われていた桜井さん。「一生付き合える仲間をつくる」という理念をブラさなかったからこそ、多くのスタッフの方が自分らしく輝き、サロンが大躍進してきたのだと感じました。今後、サロンを手掛けていきたい方やお店の経営をがんばっていきたい方は参考にされてみてはいかがでしょうか。

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Salon Data

Velvet on the Beach

住所:東京都渋谷区神宮前5-5-3 メゾン・ダルブル1F
電話:03-3486-5620
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