地方と東京の利点を生かして店舗展開を実現。サブスクの導入で安定した売上を叶える 「uruu」オーナー・狩生志保さん

20、30代の働く女性をターゲットにシャンプーセットの専門店「uruu」を経営する狩生志保さん。前編では技術を絞るメリットやシャンプーだけで3種類のメニューを用意し、リピーターを増やしてきたお話をお伺いしました。

後編では九州と東京に店舗を構える理由や、売上向上のための「uruu」のメニューの仕組み、さらには狩生さんが経営者として大切にしているご自身の思いと世の中の需要を感じる力についてお話していただきます。

今回、お話を伺ったのは…

狩生志保さん

大分県出身。明星国際ビューティカレッジ卒業後、美容室に勤務。幼いころから起業を目指していたため、美容師としての技術に加え、店舗展開や資金繰りなど経営面についても学ぶ。2015年1月に独立し株式会社Lecture(リクレ)を設立。同年4⽉には⼤分県内初のヘアセット専⾨店とシャンプーブロー専⾨店「uruu」を出店。現在は都内に3店舗、大分と福岡に合計7店舗を展開。

インスタグラム:@uruu_tokyo

九州での需要を満たしつつ、東京での出店の資金を集める

シャンプーと同時にヘアセットができるのも魅力

――前編では「uruu」のサービスの魅力を伺いました。メニュー以外のこだわりはありますか?

店舗を出す場所にもこだわりました。都内の店舗はすべて最寄り駅から5分以内、銀座に至っては駅から30秒で到着します。狙いはお客さまの日常に溶け込むこと。たとえば美容院に行く時は少しおしゃれをしたり、きちんとメイクをしたり気合いを入れて行く方が多いのではないでしょうか。逆に「uruu」はスイッチのオンオフを切り替える場所でありたいと思っていて

たとえば朝出勤前に来てもらって、髪を整えて出社する、夜はお風呂のシャンプー代わりに「uruu」にくるなど、家と外のつなぎのような役割をしたいんです。そうなったときに通勤前後に気軽に通える場所であることは必須でした。汗をかいたジム帰りやすっぴんで来てくださる方も多く、お客さまからも通いやすいという声をいただいています。

また恵比寿、自由が丘、銀座とどこも少し高級感のある街に出店することにもこだわりました。「uruu」のターゲットが多く訪れそうな土地を選んでいます。20代、30代のいわゆるミレニアム世代と言われている、仕事もプライベートも家庭も大切にしたいと願う忙しい女性に来ていただきたいんです。

――利便性の高い東京の地にサロンを置く一方で大分に本社を構え、福岡にも出店をされているのはなぜですか?

私の出身が大分ということもあるのですが、スタートアップの支援に力を入れている県を調べたところ偶然にも大分県が上位だったんです。ターゲット的に東京での展開が一番需要があるとは思っていたのですが、最初は資金調達も厳しかったため、大分で資金の基盤を作り、それを元に東京で出店することを目標としました

創業当初から現在も引き続き、大分はシャンプーブローよりヘアセットのメニューのほうが人気です。地方はヘアセット専門の店舗が少ないにも関わらず結婚式やイベントなどで必ず需要はあるんです。そうするとお客さまが一手にうちに来ていただけるので独占企業になりすぐに売上が上げられました。東京出店の資金を溜めながら地元のニーズにも応えられていると思います

サブスクリプション制度の導入で時間単価がアップ

空間や小物もターゲットを意識して検討している

――今後は東京以外にも出店される予定ですか?

はい、将来的には全国の都道府県に最低でも1店舗「uruu」があり、世の中の人にとってシャンプーをするだけのサロンが当たり前になってほしいと考えています。しかし、まずは東京で多くの方に知ってもらうのが最優先だと思うので、現在は都内で数を増やすことを目標としています。次は六本木周辺で出店できるように検討中です。

――シャンプーのみのメニューだと単価が低いという課題はありませんか?

たしかに、シャンプーブロー、セットだけでは単価は高くありません。しかし「uruu」ではマッサージやトリートメントなど500円からオプションメニューがあるんです。そのため時間単価にすると1万円を超えます。時間もオプションをつけなければお一人30分で終わるので、1日あたりのコストと売上を考えると一般的な美容院に比べて効率が良いかもしれません。

また、サブスクリプションも導入しており、銀座店の場合シャンプーブローのメニューが1カ月通い放題で2万8,500円なんです。こちらの契約をしているお客さまも定期的にオプションをつけてくださるので合計すると月のお支払いが5、6万円となる方も少なくありません。恵比寿店と一番最近オープンした銀座店はキャンセル待ちの状況。サブスクリプション制度は来客数によって売上が左右されないのでお店としても助かっています。

創業当初の思いと 世の中の需要の移り変わりをつねに感じることが経営者として大切

これからも「uruu」を通じて多くの女性を幸せにしたいと狩生さんは語る

――大分が本社で東京に多数出店されているとのこと。どのような働き方をされているのでしょうか。

今は東京に住んでおり、2、3カ月に一回、本社のある大分や福岡に足を運んでいます。独立当初、まだ大分にしか店舗がなかったときは大分に、福岡に店舗を出した際は福岡に家族で住んでいました。私は子どもが3人いるのですが、夫が主夫で家のことを任せています。もちろん家族との時間も大切にしていますが、このように仕事に合わせて居住地を変えたり、大事な時に仕事に専念できたりするのは家族のおかげです

――最後に経営者として狩生さんが大切にしていることを教えてください。

需要と供給のバランスをきちんととることです。私は好きなことは全部やりたいと考えるタイプで、仕事も子育ても全部諦めたくないと思っていままで計画的に生きて来ました。しかしビジネスにおいては好きなことをやるだけでは成り立ちません。求められていないことを自己満で突き進むことだけはしないように心掛けています。

「初志貫徹」と祖母に教えらえてきたのですが、起業をするときに決めた「世の中の女性が求めているものを提供する」ことをつねに意識して仕事をしていますね。そのためには時代の流れを読み取ることも大切。自分の届けたい思いは変えませんが、そのほかは頑固にならず柔軟に対応することを心掛けています

とくに会社の企業理念である“「非日常を日常に」をテーマに新しい市場を作り、人に新しい日常を作る”という思いはいつも忘れないようにしています。シャンプーブローだけをするためにサロンに行くことは、まだまだ非日常で少し贅沢なことかもしれません。しかしこれからさらに通いやすいサービスを提供し、多くの方が日常的に癒される場所を作っていきたいです。


狩生さんが九州と東京で複数の店舗展開を叶えられた3つの理由

1.九州と東京、それぞれの需要を考えた店舗づくりを行った

2.メニューを工夫し、時間単価を上げた

3.自身のやりたいことと世の中の需要のバランスを見ながら事業をすすめた

需要と供給のバランスというお話を聞きましたが、狩生さんのやりたいこと自体が、世の中の人の求めることなのではないかと取材をしながら感じました。これからも複数店舗を増やしていきたいとのことで全国にシャンプー専門店が定着する日が楽しみです。

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Salon Data

uruu銀座店
住所:東京都中央区銀座5丁目4番5号与板屋ビル4階
TEL: 03-6264-6516
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