孤独が挫折を招く。だから、どんな悩みも積極的に先輩へ相談するべき「M.SLASH 表参道」美容師・紫藤大貴さん
表参道のヘアサロン「M.SLASH表参道」の代表を務めながら、プレイヤーとしても活躍する紫藤大貴さん。前編では、入社1年目動き方やいち早くステップアップするためにデザインの良し悪しを見抜く目を鍛えることの大切さなどについてを伺いました。
後編では、新人時代に挫折しやすい要因やその乗り越える方法、アシスタントからスタイリストデビューまでの道のり、入社前にやっておくべきことを伺い、入社したての新人さんに向けてメッセージをいただきました。
今回、お話を伺ったのは…
「M.SLASH表参道」紫藤大貴さん
静岡県浜松市出身。実家がヘアサロンを経営していることから高校時代に美容師を志し、「名古屋中部美容専門学校 名古屋校」に入学。卒業後、2013年にM.SLASHへ就職している。美容師11年目となる現在、スタイリストとして活躍しながら「M.SLASH表参道」の代表。2023年JHA優秀新人賞を受賞する実力の持ち主である。
孤独になりやすい美容師。挫折しないためにどんな小さな悩みも相談を
――1〜3年目の美容師が挫折しやすい要因はどんなことですか。
「孤独」だと思います。美容師の仕事は、技術、接客などにおいてすぐに結果が出ることはほとんどないので、下積み期間が長くなる傾向にあります。ですが、どんなに上手くいかなくても、一緒に頑張ってくれる同期や先輩がいたら心が折れにくいと思うんです。新人時代にひとりで学ぶというのが一番つまずきやすいポイントではないでしょうか。
――なぜ孤独になりやすいのでしょうか。
関東を中心に数店舗展開している規模のサロンでも、新卒入社は1〜3人程度なので同期の少なさから、同じ立場の人への悩みの相談や共有ができず、精神的に孤独になりやすいんです。
――新人さんが孤独になることで挫折しないためには、何をするべきですか。
どんな時も1人で頑張りすぎる前に、周りの人に相談するのが良いと思います。昔は、まず自分である程度やってから相談するべきという風潮がありましたが、そのやり方だと孤独になりやすいんです。1人で頑張り続けてしまうと、悩みが蓄積していき、相談相手もおらず孤独になり、挫折につながります。そのため、同期がいないのであれば先輩にどんな小さな悩みでも相談しつつ、助けが欲しいときは素直に頼ることを意識して新人時代を過ごせば挫折しづらくなるのでおすすめです。
スタイリストデビューに向けて重点的に取り組んだウィッグトレーニング
――デビューはどのように決まるのでしょうか。
M.SLASHの場合は、シャンプーなどの試験もありますが、主にウィッグ試験、モデル試験を経て、デビューが決まるんです。試験自体は通年行われています。
――試験を受けるには何か必要なことはあるのでしょうか。
基本的にはどこのサロンも立候補したり、他薦があれば1年目、2年目でも試験を受けられると思います。もちろん、お客さまを1人で相手にできる資格を手にする試験なのでしっかりと技術を磨いて準備はするべきです。
――紫藤さんはデビューまでどのように取り組んでいましたか。
僕は、デビューしたのが入社してから3年のタイミングでした。当時は、入社後すぐにモデルトレーニングに取り組み、数をこなすべきという業界内での風潮があったのですが、僕はウィッグトレーニングで基礎を磨くことに力を注いでいました。
――その理由は?
僕が、ヘアスタイルを作るには何をするべきかが頭で理解できていないと上手く仕上げられないタイプだからです。18歳まで坊主で、感覚的に何がかわいいか、かっこいいかが分かりませんでした。そのため、何をどうするべきか、技術のいろはを明確に知らない状態でお客さまの髪の毛を切ることが怖かったんです。
入社前にやるべきは夢と目標を立てること
――入社前にやっておくべきことは何ですか。
夢と目標を持つことです。夢と目標の叶え方を教えてくれる先輩はサロンに入ってからたくさんいますが、それを掲げられるのは自分しかいません。事前に決めておくことで入社後の原動力にもなりますし、夢や目標を持っていることで生まれる出会いやチャンスが非常に多いです。サロン内にとどまらず活躍するためにも、入社前に持っておいたほうがいいと思います。
――新人時代を振り返って学んだことは何ですか。
自分が思っているより、先輩たちも失敗しているということは学びになりました。新人時代は採用してもらったのだから期待に応えようと特に必死で、失敗はしてはいけないと考えていました。ですが、先輩とコミュニケーションを取るなかで、いま大活躍の先輩方もたくさん失敗してきていることが分かり、肩の力が抜けたんです。失敗を重ねることは成長につながると考えるようになり、失敗に怯えず全力で取り組むことができるようになりました。
――入社したばかりの新人さんへアドバイスをお願いします。
何事にも本気で取り組んで、納得のいく失敗をたくさん経験してほしいです。中途半端な努力では、学びは得られません。成長したいのであれば、すべてのことに全力で取り組んでくださいね。
紫藤さんが考える新人時代を順調に過ごすための3つのポイント
1.挫折しないためにどんな悩みも周りに相談
2.デビュー試験を突破できるよう基礎を丁寧に磨く
3.サロン入社前に夢と目標を持っておく
これまで自分の意思を大切に努力を重ねてきたからこそ、現在の卓越な技術を手にすることができた紫藤さん。美容師の新人時代がどんなものなのかが伝わる取材となりました。入社を控える方、現在進行形で新人時代を過ごしている方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
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