思いは口に出してこそ。誰かがチャンスをつないでくれる「シセイドウ パサージュ ボーテ」金澤史花さん
大手化粧品ブランド「資生堂」が100%出資する、「資生堂美容室」。そのなかでもラグジュアリーな空間と卓越した技術力で人気を集めているのが「シセイドウ パサージュ ボーテ」です。
「資生堂美容室」に入社して2年目(2024年3月時点)となるのが、金澤史花さん。前編では金澤さんが美容師を目指すようになったきっかけや資生堂美容室に入社した理由などについて伺いました。
後編では金澤さんに実際の採用試験を振り返っていただきます。履歴書の書き方や、技術試験の練習など、専門学校の先生のアドバイスがとても役立ったという金澤さん。面接では準備していたような形で進めることができず、終了後は落ち込んだそうですが、無事に合格を勝ち取ることができたそうです。そんな金澤さんが大事だと思っているのが、やりたいことを口に出すことだと言います。
今回、お話を伺ったのは…
金澤史花さん
「シセイドウ パサージュ ボーテ」アシスタント
大阪府内の美容専門学校を経て、2022年4月に資生堂美容室へ入社。1店舗を経て、「シセイドウ パサージュ ボーテ」に異動。入社2年目ながら、メイクもできる美容師という明確なビジョンを持ち、日々努力を重ねている。
先生からのアドバイスを活かし、何度も書き直した履歴書
――選考はどのような流れでしたか?
履歴書を送ったあとに、面接がありました。履歴書に選考はなく、履歴書を送ると全員が面接と技術試験を受けて、採用が決まる形でしたね。
――履歴書を書くときにはどんなことに気をつけましたか?
実際の履歴書を書く前に先生に添削してもらう機会があったので、そのアドバイスを元に何度も何度も書き直し、自分の熱意が伝わる履歴書になるよう心がけました。先生に直してもらったポイントとしては、日本語として正しいか、自分がやりたいこと、思いがきちんと伝わる文章になっているかというところだったと思います。
自分の熱意のある部分について書こうとすると文章が長くなってしまいがちですが、それだと逆に伝わりづらくなってしまうこともあるというアドバイスを受け、ポイントをしぼって書くことや、回りくどい文章にならないように気をつけました。
――履歴書には具体的にどんなことを書いたのですか?
志望動機には美容師としてだけでなくヘアメイクの技術も身につけたいという思いと、資生堂であればそれが可能になると思うので入社したいという思いを書きました。ほかには自己PR欄に、臨機応変に対応できるということを書きましたね。
履歴書は手書きで書く形だったので、まず別の紙に書いてから清書して、一文字ずつ丁寧に書くことも心がけました。
しっかり準備をして挑むも、手応えを感じられなかった面接試験
――面接ではどんな質問を受けましたか?
志望動機、希望のお店、あとはストレス発散方法、悩み事があるときにだれに相談しているかなども聞かれましたね。ストレス発散方法では、泣くことだと答えたことを覚えています。
――面接ではどんなことを心がけていましたか?
基本的なことだと思うのですが、相手の目をしっかり見ること、相手が話しているときにはしっかりとうなずくことを意識していました。あとはマスクとフェイスシールドをつけての面接だったので、口元が見えない状態だったんです。そこで目だけが見えていても怖い表情にならないようには気をつけていました。ほかにもマスクをしていても聞こえやすいようにハキハキしゃべったり、声を少し高めにするようにしました。
――技術試験も同じ日に?
そうです。私のときの試験はワインディングで、20分以内で全部巻ききるという内容でした。ワインディングは学校では1年以上前に習っただけになっていたので、取り組むのは久しぶりだったのですが、ここでしっかりやりきらなければ道が途絶えてしまうと思い、事前にみっちり練習をしていました。授業のあとの教室を借りて自己練習をして、先生からのアドバイスが欲しいときは見てもらったりもしていました。スピード感ときれいに巻くことをとにかく意識して、練習をしていましたね。
――試験の手応え的にはいかがでしたか?
あんまりなくて、すごく落ち込んで新幹線に乗って帰ったことを覚えています。技術試験はやりきった思いが強かったのですが、面接はうまくいかなかったなと。
――どんな点がうまくいかなかったと感じたのですか?
全体的に面接官の心がつかめていないと感じていたんです。とくに最後に「何か質問はありますか?」と聞かれると思っていたので、その質問も用意していたのですが、緊張しすぎていて、その前の質問に答える際に、用意していた質問を先に聞いてしまっていて。
最後に自分から質問するのは意欲的に見てもらうためには必要なことだと思っていたので、それができなかったことに対してとても落ち込みましたね。落ちたかもしれないと思っていました。
――そんななか採用の連絡が来たのは、とてもうれしかったでしょうね。
はい。友達が遊びにきているときに、ちょうど郵送で結果が届いたのですが、その友達に「やったー!」と飛びついたのを覚えています。
――入社前にやったことは?
内定者の事前研修として、オンラインでのシャンプー練習が月に1回くらいの頻度でありました。コロナ禍でなければ、お店に月に1、2回足を運んでアルバイト代をもらいながらシャンプー練習ができるという制度なのですが、コロナ禍だったためシャンプーを会社から送ってもらって、シャンプーをしている様子を動画に撮り、ビデオ通話を通してフィードバックを受ける形でした。この研修があったおかげで、入社後にシャンプーに入るのはスムーズだったと思います。
自分がやりたいことを口に出していけば、夢の実現に近づく
――入社後はどんなことを感じましたか?
最初のころは、お店の流れをつかむのに苦労をしましたね。アシスタントの仕事は今お客さまがどんな状態かを見極め、それに対してどんな準備が必要か先を見ることが求められます。そうしないとお客さまが遅れてきたときや、何かメニューが追加になったときなど、予想外の事態が起きたときに、どんどん全体の流れが崩れてしまうので。入社したてのころは、まさにそういう先を見る力を備えるための準備期間だったと思います。
大変なことももちろんありましたが、先輩達が本当に優しく指導してくれたのと、やりたかったメイクの勉強にもすぐに入れたので、ここに入社して本当によかったと感じました。
――就活は金澤さんにとってどんな体験でしたか?
自分のことを改めて知ることができたと思います。自分の長所や短所、自分の将来は何をしたいんだろう、自分はこれまでどんなことをやってきたんだろうと振り返る時間になったのかなと。
――自分のことを振り返るのは難しいと思いますが、具体的にやっていたことはありますか?
美容学校時代の授業でクラス全員の長所を書くという授業があって、その紙を見ることで、自分のことがよく分かった気がします。私はクラスのリーダーをやっていたので、「統率力がある」、「真面目」、「第三者の立場に立ってクラスをまとめてくれる」など、うれしい言葉が書かれていました。この客観的な意見が就活の準備にとても役に立ちましたね。
――美容師として活躍するために、学生時代にやっていたほうがいいことは。
いろんな人と意識的にコミュニケーションを取ることだと思います。美容師の仕事の基礎の部分は、やはりコミュニケーションだと思うんです。お客さまもいろんな方がいらっしゃるので、ある程度時間が自由になる学生時代に、いろんな人と出会い、コミュニケーションを取って自分の幅も広げておくといいと思います。
――最後に美容師を目指す人に、アドバイスをお願いします。
チャンスがどこに転がっているか分からないので、自分がやりたいと思っていることを、だれかに伝えることがすごく大事だと思っています。その伝えた人がチャンスをつないでくれたり、貴重な経験をすることにつながっているのかなと。
私も実際、先生やこのサロンに来た際に「資生堂美容室」に入りたいこと伝えて、たくさんのアドバイスをもらい、資生堂美容室で働くチャンスをつかむことができました。やりたいことを口に出していくことが、チャンスをつかむ一歩だと思っています。
美容師は本当に奥深い仕事です。お客さまから「ありがとう」と感謝をしていただけたり、広い世界を教えてもらったり。お客さまの人生のイベントに携わることで、その方の人生の一部に自分が参加させていただいているような気持ちになることもあります。そんなやりがいのある仕事なので、興味があるという方はぜひ挑戦してみてほしいなと思います。
金澤さんが就活を乗り越えた3つのポイント
1.採用試験に関わることは、事前準備を怠らないようにした
2.履歴書は何度も書き直す、面接では目を見て話すなど、自分の思いがきちんと相手に伝わるよう心がけた
3.自分がやりたいと思っていることを口にし、周囲の人のアドバイスを大切にした
金澤さんのいきいきとした表情から、憧れのサロンに入り、充実した日々を過ごしていることが伺えました。就活を控えている人はぜひ参考にしてみてくださいね。