入社後すぐ花形店舗へ配属に。多忙でも心がけた広い視野「LANCÔME」BA岩瀬瑞希さん
1935年にフランスで生まれ、コスメブランドとして世界中で長く愛されてきた歴史を持つ、「LANCÔME」。その美容部員として活躍し、今年7年目を迎えるのが岩瀬瑞希さんです。
高校生のころからBAになるのが夢だったという岩瀬さん。第一志望だった「LANCÔME」に入社し、新人研修終了後の岩瀬さんが配属されたのが、多くのBAが憧れる伊勢丹新宿店。新人がいきなり配属されることは珍しく、周囲が驚く大抜擢だったといいます。
今回、お話を伺ったのは…
岩瀬瑞希さん
「LANCÔME 伊勢丹新宿店」BA
大学卒業後「LANCÔME」に新卒採用で入社。新人時代から伊勢丹新宿店に配属となり、現在は入社7年目。メイク技術の高さ、お客さまへの提案力などで信頼を集め、店舗を牽引する存在として活躍している。
中学時代に知ったメイクの可能性。大学進学を経て美容部員を目指す
――美容部員になろうと思ったきっかけはありますか?
中学3年生の文化祭で演劇をしたのですが、そのとき友達に初めてメイクをしてもらったのがきっかけです。メイクをするだけで人の顔というのはこんなに変わるんだと衝撃を受けて、メイクに携わる仕事がしたいと思うようになりました。高校生のときに美容部員の仕事を知り、それ以来目指すようになっていったんです。
――高校卒業後は、どのような進路に進まれたのですか?
親には美容専門学校に行きたいと言ったのですが、大学までエスカレーターであがれる私立の学校に通っていたので、専門学校への進学を反対されてしまいました。その後、大卒でも新卒採用で美容部員になれるということが分かったので、まずは大学に進学し、その後美容部員の仕事を目指すことにしました。
――「LANCÔME」を就職先に選んだ理由は?
「LANCÔME」の世界観に惹かれたのと、スキンケアとメイクのどちらも力を入れていてトータルビューティーを提供できるブランドだと知ったからです。
「LANCÔME」が入っているロレアルジャパングループでは、書類選考を通過した人だけが入社説明会に行くことができ、グループすべてのブランドの説明を聞いてから応募先を決める形になっていました。私は「LANCÔME」のことをしっかり知らなかったので、説明会のときにブランドについて知って、応募しようと思ったんです。
私にとって魅力的だったのが、「LANCÔME」の社員の方が気さくな方ばかりだったことです。とくに面接を担当してくれた方が、私のことを知ろうという姿勢でいろいろと質問してくれたことが強く印象に残っていました。ほかにも何社か美容部員の仕事に応募しましたが、そういう会社はほかにはなかったので、とてもいい会社だと思い、自然と第一志望の会社になっていきました。その後、無事に面接を通過し、採用していただくことができました。
2週間の研修でみっちりテクニックを学び、配属は伊勢丹新宿店に
――入社後、まずはどのような仕事から覚えましたか?
新入研修が2週間ほどありました。そこで学んだのは、ブランドストーリーや歴史、製品の情報、メイクとスキンケアの理論やテクニックなどです。スキンケアの正しい順番、方法などすべてを一から学んでいきました。あとは接客の方法です。お席にご案内して、お悩みを伺い、お顔にお化粧していく一連の流れを研修で覚えていきました。
――研修で苦労をしたことはありますか?
自分に対してメイクをしたことはありましたが、人に対してメイクをする経験はほとんどなかったので、力加減が分からず、最初は恐る恐るメイクをしていました。慣れるまで、苦労をしましたね。
――2週間の研修が終わったあとは、お店に配属になるのですか?
そうです。研修の最終日に配属先の発表があって、伊勢丹新宿店に決まりました。とくに希望が出せるわけではなく、住んでいるところから何時間以内の店舗という形で割り振られているということでしたね。
――伊勢丹新宿店といえば、来店するお客様も多く美容部員の花形店舗というイメージですが、発表を聞いてどのように思われましたか?
それが、私は名古屋出身なので、東京のお店のことをほとんど知らず、伊勢丹新宿店がどんなお店かを分かっていませんでした(笑)。ただ都会で働きたい気持ちは強かったので、新宿のお店だと聞いて普通に喜んでいたら、周りからお客さまの数も多くとても忙しいお店だということを聞き、驚きましたね。
――伊勢丹新宿店に配属されるということは、会社から優秀だと判断されたのではないかと思うのですが、研修中に何かアピールをされたりしたのですか?
いえ、とくにアピールしたということはありません(笑)。メイクエキスパートになりたかったので、毎日夢中で取り組んでいたという感じです。
精神的余裕がないなかでも大切にした、「できることを見つけてやる」精神
――実際に、配属になってからはどのような仕事を担当するのでしょうか?
店舗への配属後はすぐにお客さまに入るわけではなく、最初は教育してくださる先輩について、いろいろなことを学んでいきました。美容部員としても新人ですが、社会に出て働くのも初めてなので、社会人として必要なことも教えていただきました。
――社会人として必要なことというのは、具体的にはどのようなことですか?
本当に基礎的な部分ですが、言葉遣いや敬語については集中的に学びました。先輩の言葉遣いを近くで聞きながら、だんだんと覚えていきました。あとはお客さま対応の細かい部分ですね。先輩や、ときにはお客さまに教えていただくこともありました。
――お客さまから教えていただくことも、あったんですね。
今考えると本当にだめなことだったのですが、私が落としたサンプルをお客さまにそのままお渡ししたことがあって、「こういうことは本当はだめなんだよ」と教えていただいたことがありました(笑)。お客さまにも見守っていただきながら、段々と成長することができたと思います。
――お客さまへのタッチアップ(BAが直接お客さまにメイクを施すこと)は、配属後どれくらいから行っていたのですか?
伊勢丹新宿店でタッチアップに入るまでの期間は、配属から1ヶ月後くらいからでした。タッチアップができない間は、お買い上げのお客さまに袋を用意するなどの先輩のお手伝いや、商品をお客さまに配送したり、補充するなど、業務面を主に行っていました。
――タッチアップの練習はどのような形で進めていたのですか?
閉店後に行うときもありましたし、営業時間中に先輩から口頭で少し教えていただいたりしながら覚えていきました。その後、実際にお客さまにタッチアップをしていくなかで経験を積み、覚えていくことも多々ありました。力加減はお客さまによって感じ方が違うので、反応を見ながら徐々に感覚をつかんでいくことができたと思います。
――配属されたばかりのころ、心がけていたことはどんなことでしたか?
とにかく覚えることが多く精神的な余裕は本当になかったのですが、自分にできることはやろうと思い、できるだけ周りを見るように意識はしていました。またお客さまの人数が多く、常に店内にお客さまがいるような状況なので、業務に対応をしているときは素早く動き、お客さまの前では急いでいる空気感が伝わらないように心がけていましたね。
岩瀬さんが新人時代に心がけていた、3つのポイント
1.メイクエキスパートになりたいという思いを胸に、教えられたことを吸収し続けた
2.自分ができることはやると決め、視野を広く持つようにした
3.業務への対応は素早く、お客さまには落ち着いた空気を持って接するようにした
後編では新人時代の岩瀬さんが、接客のなかで心がけてきたことをお聞きします。美容部員の仕事は売上をあげることも大切ですが、岩瀬さんが意識していたのはお客さまが気になっている商品にプラス1品のご紹介を加えることだったそうです。そのプラス1品がなかなか購入につながらず悩んだ際、どのように乗り越えたかも伺いました。後編もお楽しみに!