積極的な姿勢でチャンスをつかむ。「理想」があったから駆け抜けられた新人時代「KILLA annex」MIKUさん
東京・明治神宮前に店舗を構える「KILLA annex」。トレンドをつかんだデザインが支持され、モデルやタレントなどからも人気を博しています。同店で活躍中なのが、スタイリストのMIKUさんです。
小さな頃から美容系の仕事に興味があったというMIKUさん。都内の美容専門学校に進学後は、学生団体に所属してショーに参加したり、学内イベントに参加したりして、積極的に技術を磨いてきました。
理想の美容師像を叶えるため、新卒で入社したサロンを退職し「KILLA annex」に入社。デビューまでのカリキュラムをこなしながらも、意識を高く持って働いてきたといいます。
今回、お話を伺ったのは…
「KILLA annex」スタイリスト
MIKUさん
美容師歴5年目。中途社員として2020年に「KILLA annex」に入社し、2022年にスタイリストデビュー。ストレートでも可愛いプツッとしたカットラインを施す施術や、ピンクやベージュなどのハイトーンカラーを得意とする。
チャンスをつかむために、学内外を問わずさまざまなことにチャレンジ
――MIKUさんが美容師を目指したきっかけを教えてください。
小さな頃から髪を触るのが好きで、いずれは美容系の仕事に就きたいなと思っていました。母方の祖母が美容師で、仕事内容がなんとなくイメージしやすかったのも、もしかしたら影響しているかもしれません。
実は、中学生の頃はネイリストになりたいと思ったこともありました。しかし現実的に進路を考え始めたタイミングで「国家資格があったほうがいいかな」と思い、美容師になることを決めました。
――専門学校はどのように選びましたか?
当初は地元・栃木県の美容専門学校への進学も検討していましたが、都内の学校に通うことにしました。どこの学校に通うにしても、就職のタイミングで最先端のトレンドを体感でき、一流の技術を学べるチャンスが多い東京へ出るつもりだったので、それが早まってもいいのかなと思ったんです。
設備やカリキュラムが整っていること、たくさんのことが経験できることを軸に学校を選定しました。実際のヘアメイクの現場を経験する授業などもあり、カリキュラムがとても充実していたので、通ってよかったと思っています。
――専門学校時代に力を入れていたことはありますか?
学生団体に所属してヘアショーに参加したり、スタイルブックを作るための撮影を友人と頑張ったりしたことが印象深いですね。学校行事でみんなの前でスタイルを作るような役割の募集があったときには、自ら立候補したこともありました。さまざまなシチュエーションで場数を踏んで、積極的に経験値をためることを意識していたのかもしれないですね。
就職してからも、あまり怖がらずにお客様の髪に触ることができたのは、授業以外にも意識的に髪に触れる機会を作っていたからだと思っています。
――ほかにも思い出深いことがあれば教えてください。
着付けに力を入れている学校だったので、「せっかくなら」と着付けの技術習得も頑張りました。
学校で勝ち抜くと学校外のコンテストに出場できるシステムがあったので、代表を目指して、毎日、朝も放課後も練習していました。大会が近づいてきたときには、アルバイトの回数を減らして集中して練習したこともありましたね。成果が実って、学校代表になれたのはよい思い出です。
「理想の美容師像」があったから、ハードな練習も乗り越えられた
――学生時代は栃木から東京に通っていたというMIKUさん。アルバイトもしながらですと、国家資格取得のための練習も大変だったのではないですか?
そうですね。私はとくにオールウェーブが苦手で、本番一発勝負というのが本当に不安だったので、よく友達と放課後に学校に残って、繰り返し練習しました。
――ハードな練習のモチベーションはどんなところにありましたか?
理想の美容師像を叶えるために頑張っていました。カット、カラー、パーマなどすべての技術水準が高い上に、何か一つ特化した技術を持っているスタイリストに憧れがあったんです。
また、スタイリスト自身が魅力的で、ファンがつくような集客のスタイルができたらいいなと思っていましつけようと頑張っていましたね。
――MIKUさんは中途社員として「KILLA」に入社されています。1社目の就職先はどのように決めましたか?
専門学校の就職活動をサポートしてくれる先生の紹介で就職先を決めました。実は志望していたサロンから内定が出ず、就職活動が長引いて、「国家試験までには就活を終えていなければ」と焦っていたんです。
そこに先生がとあるサロンをおすすめしてくださったので、面接を受けることに。採用試験を受けて内定をもらったのが、前職のサロンでした。
――就職してみて、ギャップは感じましたか?
元々、渋谷・原宿付近のサロンを志望していて、ハイトーンなどの施術を押し出した美容師になりたいと思っていました。しかし実際には大学生から20代後半のお客様が多い、落ち着いた雰囲気の自由が丘のサロンに就職したので、私のイメージする美容師像とのギャップはあったように思います。
どんな美容室でもハイトーンの施術は必ずあるはずなので、貪欲に学ぼうと決めていました。しかしハイトーンなど、私が身につけたい技術の施術を希望するお客様が、想像よりも少なかったんです。自分が身につけたい技術を心置きなく学びたいと思ったので、客層が理想に近く、カリキュラムも整っている「KILLA」に転職することを決めました。
新人時代からお客様にあわせた接客を意識
――入社後すぐのタイミングで、技術習得に関して苦労したことはありましたか?
シャンプーやヘッドスパには少し苦労しました。カットやカラーなどのよし悪しは自分の目で確かめることができますが、シャンプーやヘッドスパは、自分の施術を自分の体で確かめることができません。だから、性別や頭の大きさが違う方にモデルになってもらって、たくさん練習を重ねました。
ときには自分がモデルとなりほかの人のシャンプーを受けて、よいと思ったところをマネしてみることもありましたね。「KILLA」はシャンプーを受けた人と、シャンプーしている姿を見ている人の2名からフィードバックをもらうことができる仕組みだったので、改善点がわかりやすくとてもありがたかったです。
――アシスタント時代に心掛けていたことはありますか?
スタイリストが働きやすい環境を作ることを心掛けていました。スタイリストごとの好みの施術スタイルやくせを学び、どんなスタイリストにも気持ちよく働いてもらうことを意識していましたね。
スピード感を合わせて行動したり、ブローは邪魔にならないよう対角線上で行なったりと、細かな配慮をしていました。些細な工夫にきづいてくれたスタイリストが、バックルームで「あのときの動き、すごく助かった!ありがとう!」と声を掛けてくれることがモチベーションになっていました。
――周りのスタッフとの信頼を築くために意識していたことはありますか?
当たり前のことなのですが、出勤したら必ずひとりひとりのスタッフのところに行って、目を見て挨拶するということを心掛けていました。アシスタント業務中に指示をもらうときは、ハキハキと返事をすることも意識していましたね。当たり前のことを徹底することが大切だと思ったので、礼節などについてはとても気を付けていました。
――新人時代、接客の面で意識していたことがあれば教えてください。
お客様に合わせた接客をすることを意識していました。お客様の雰囲気やテンションって、指名するスタイリストに似ている気がするんですよね。よく話すスタイリストにはお話が好きなお客様がつくし、スタイリッシュな接客をするスタイリストにはそういう接客を望むお客様がつくように感じたので、アシスタント時代はスタイリストごとに接客を変えていました。
スタイリストのファンで、スタイリストに会いに来ているお客様もいらっしゃるので、そういう場合はあえて「一歩引いた接客」をすることも意識していましたね。初めてのお客様の接客につくときは、技術の説明など当たり障りのない会話で、どれくらいのテンションで接客すべきかを確認するようにしています。
MIKUさんが大切にした就職活動期と新人時代の3つの心構え
1.自分からチャンスをつかむための行動を起こした
2.常に理想を忘れず、目標の姿を叶えるための努力を怠らなかった
3.周囲をよく見て、自分がどんな役割を求められているかを気にしながら働いた
後編では、デビュー後にMIKUさんがぶつかった壁とその乗り越え方について伺います。デビュー直後、ヘアカラーを担当したお客様に「イメージと違う」という指摘を受けたというMIKUさん。指摘を機に接客やカウンセリングの方法を改め、イメージのすり合わせをしっかりと行うことを意識するようになったそうです。
現在、ハイトーンやボブの施術などで人気を博すMIKUさんですが、得意な施術は先輩スタイリストが見つけてくれたと話します。後編もお楽しみに!