目指すべき美容師像の確率と何事にもじっくり時間をかけて向き合える人が理想【Violet 本部長 藤橋孝さん】#4
美容師を目指す学生、新天地を目指すスタイリストさんにとって、避けては通れない就職活動。晴れて採用を勝ち取るためには、どんな準備が必要? 心がまえは? そんな疑問を、実際のサロン採用担当者にインタビュー!
ヘアだけでなく、常にトレンドを追い求めていることで話題のサロン「Violet(バイオレット)」。前回に引き続き、Violetにて本部長を務める藤橋孝さんにお話をお聞きします。
第4回目は、採用事情の総まとめ! Violetが絶対にほしい人材の特徴やサロン見学を勧める人の特徴、学生時代にやっておく3つのポイントについてお話いただきます。
お話を伺ったのは…
Violet 本部長 藤橋孝さん
2015年にVioletに入社し、約15年間美容師として活躍したのち、4年前に本部長に任命され、スタイリストから完全に経営・運営のサポートにシフト。現在は、Violetで行う事業を円滑に進めるために、美容師をサポートする業務に取り組んでいる。
絶対にほしい人材は自らが思い描く美容師像に向かって邁進できる人
――ずばり、Violetが絶対にほしい人材の特徴は?
Violetが掲げている理念に共感して、楽しみながら美容師を目指していけそうな人。
理念に共感し、目指しながらも将来的にはヘアメイクやそのほかの美容のスキルを磨きたい、そのためにVioletの教育を必要としているなら、ぜひ応募していただきたいですね。
――そうした人材が、サロンにどんな影響を与えると感じていますか?
該当する人を採用した際に感じたことは、現場の士気が高まったかなと。サロンも応募した人も互いに魅力を理解して、一緒に向かっていけるのは双方にとってメリットですから。
――今まで採用して良かったと感じた瞬間を教えてください。
その人が目指すべき目標が達成できた様子を見られた瞬間でしょうか。
美容師として活躍できることはもちろん、メディアに掲載されたり、セミナーの講師に選ばれたり。美容師として成功したその先に、その人が目指した目標にたどり着いていた様子を見ることができたときはとても嬉しかったですね。
Violetでは1年に一度、社内で事業発表会を開催しています。この1年で活躍した人を中心とした動画の上映があるのですが…採用の際に接した人たちがたくさんフォーカスされていると嬉しいですね。採用のときから携わっているので、喜びもひとしおです。
――では、反対に違うと感じた人の特徴は?
面接では意欲的だったのに実際入社してみると、美容師という仕事に対してそこまで気持ちが持てないと言われたことがありました。サロンとしてその人の美容師への想いを最後まで見抜けなかったのか、美容師のやりがいや楽しさを与えられなかったのか、悩んだことがあります。採用しなければ良かったと思ったことはありません。ただ、特に素質がなかったわけでもなかったので、余計にもったいなかったと感じていますし、今後の採用に活かせたらと思っています。
あとは、精神的に弱さがあったり、自分に甘い人は続かない傾向です。来ていただくお客様も一緒に働くスタッフも暗い人よりは、明るい人が好ましい。ネガティブがダメなのではありませんが、思考が前向きな人への評価は高くなります。
自信がない方は、一度サロン見学にお越しいただくのも手かと思います。勘違いしないでいただきたいのですが必須ではありませんし、必ずしも参加したからと言って合否に関わることはないですから、安心してください。
サロン見学は立候補制! 不安なことや聞いておきたいことは積極的に問い合わせを
――サロン見学のフローについて詳しく教えてください。
基本的にサロン見学は、専門学校や個人からの立候補制。傾向としては、学校よりも個人的にご連絡いただくことが多いですね。
アポイント後は、ガイダンスに参加している・していないかを確認し、説明の流れを決めます。ガイダンスにお越しいただいた方は質問メインで、来ていない方はまずは会社の説明からスタート。そのあとはサロン内を一緒に見学する流れにしています。
――サロン見学に来る学生の傾向は?
サロンに興味があって詳しくVioletについて知りたい人や入社意欲が強くシュミレーションを目的とする人など…理由はそれぞれです。
――Violet志望の学生と関わる際に、心がけていることは?
良くも悪くも、その人の都合の良い答えにならないように慎重に案内しています。Violet
の良さを知ってもらうことは重要ですが、正直に話すことも必要。お互いに最善の判断をするための機会となるように努めています。
学生のうちに理想を固めて。デビュー後は可能性を潰さずに何でも挑戦してほしい
――学生時代にしておくべきことは?
これは一番多い質問(笑)。完全に個人的な見解のみでお答えします。
学生のうちにやっておくと良いこととして、3つあると思っています。全て、東京で美容師を目指す前提でのお話。まずは、自分がなりたい美容師像を持ってください。
理想の美容師像が決まれば、どのサロンに進むべきか自然に分かるはず。サロンワークのほかに、メディア出演をして有名になりたいのであれば、外部の仕事に積極的なサロンを。毎月500人の施術が目標なら、大きいキャパを持つサロンを目指す必要があります。ヘアメイクをやっていないサロンや席数が少ないサロンでは、それらの夢を叶えることが難しくなります。「とりあえずここで良いや」と、最初から妥協しないでほしい。自分の目指すべき美容師像を叶えるための近道だと思って、しっかり考えて自分の目標が達成できると感じるサロンを選んでほしいです。
2つ目は、可能な範囲でお金を蓄えておくこと。アシスタント時代は少なからずお金で悩むことがあります。でも、それを理由に辞めてほしくはありません。学生のうちに先を見据えて蓄えておくと良いですよね。
3つ目は、たくさんの人と関わっておくこと。地方出身者は、知り合いが少ない土地で一から人脈を築いていくため、都内出身者と比べてハンデがあります。その差を埋めるためには、上京する前にアルバイトをしてコミュニケーション能力を身につける、SNSで積極的に声をかけていろいろな人とつながっておくなど、いろいろ試してみると良いと思います。あとは、親族や友達の知り合いがいないか、練習モデルとして来てくれそうな人が周りにどのくらいいるのか、確認するのもおすすめ。どちらにせよ、数年後を予測して準備することが大事なのです。
――しっかりできれば、周りと比べられたときに一目置かれそうです。
僕自身、先輩としての経験則からお話ししていますが、学生のうちから全てをやれると思って話していません(笑)。ただ、将来何かのときに思い出してもらえたら良いのかなと。今の学生が、自分と同じ立場になったときに「そういえば」と後輩に話していたら嬉しいくらいの気持ちでいます。
――今後、美容師を目指す学生に期待することをお聞かせください。
将来への可能性を縮めないでほしいです。
新人時代は何でも自分の希望通りに進むことはまずありません。例えば、外部の仕事に興味があったとしても、先輩の仕事の現場に同行できるのは、ある程度の技術力があるスタッフ。手伝いができるスタッフじゃないと現場では意味がないのであまり連れて行けないんです。
順番は、時が来たら必ず回ってくるものです。やる気があるのは良いことですが、前のめりになり過ぎず、まずは基礎を固めることが重要。それまでは焦らず、今やれることに全力で取り組むように意識してみてください。
――機会を待つことが、その後の可能性につながると?
そう思います。これは僕自身の経験から感じたことでもあるのですが、自分はできないからと挑戦する前から諦めるべきじゃない。まずは、機会があるのなら挑戦してみること。そこで初めて、向いている・向いていないかが分かると思うんですね。向いていないと思っていても実際にやってみたら思いのほかハマるかもしれないし、想像通り向いていないと分かれば改めて折り合いがつけられる。
全てにおいて言えることは妥協せずに何でも挑戦して、可能性を潰さないでほしい。自分で自分が進む道を閉ざすことがないように、僕は自分の理想の美容師を追い求められるサポートをしていきたいと思っています。
Violetが採用したい人まとめ
1.会社の理念と自分の理想を同時に追い求め続けられる人
2.自分が分からない・不安だと思うことを周囲に伝えられる人
3.最初から諦めることはなく何事にも前向きにじっくり向き合える人
取材・文/東 菜々