履歴書は「成果」よりも「過程」を重視! 今までの取り組みや長所を存分にアピールして通過率アップ【apish 渡辺 梨沙さん】#2
美容師を目指す学生、新天地を目指すスタイリストさんにとって、避けては通れない就職活動。採用を勝ち取るためには、どんな準備が必要? 心がまえは? そんな疑問を、実際のサロン採用担当者にインタビュー!
アットホームな雰囲気が特徴のサロン「apish」。前回に引き続き、apishにてスタイリスト兼採用担当者の渡辺 梨沙さんにお話を伺います。
第2回目の今回は、書類選考について。apishの履歴書の重要度を伺い、面接に進むためのヒントをお聞きします。
お話を伺ったのは…
apish 渡辺 梨沙さん
国際文化理容美容専門学校(渋谷校)を卒業後、apishに入社。スタイリストとして活躍する傍ら、新店舗のベース作りや新入社員を育てるなど、社内のいろいろな業務を担当。今年で美容師歴23年目に突入し、スタイリストとして会社の人事部として奮闘中。
今までの取り組みについて明確に伝えられることが通過のポイント
――書類選考の重要度をお聞かせください。
面接につながる大事な一歩という認識です。
最終的に面接で人柄を見ますが…「会いたい」と思わせられるような履歴書であると、こちらも嬉しいですし、通過率は高くなると思います。
――面接に進める履歴書の特徴は何でしょう?
志望動機や自己PRに共通して言えるのは、これまでに立てた目標やそれに対してどのようなプロセスで達成したのか、両方がしっかり明記されているものでしょうか。取り組みから感じた思いや取得できたノウハウは、自分のアピールにつながると考えます。
――具体的に好ましい表現についてお聞かせください。
例えば部活動について。ただ、部活動の部長をやっていた事実を書くよりも部長として取り組んできたことが具体的に書かれていると人柄が分かるし、人物像を想像しやすいですよね。事実を書くだけではなく、それによってどんな取り組みをしてどのように努力をしてきたか、その背景と理由が明確に述べられていると期待が持てます。
履歴書はデジタルに完全移行。アピールとして成績を記載するのは高評価
――提出物を教えてください。
履歴書一点のみです。
――成績表などは特に必要はないのでしょうか。
提出の義務は特にありませんが、自分のアピール材料として記載をするのは問題ないです。多くは、プラスに感じる場合が多いと思います。ただ、書かれていないからマイナスなんてことはないのでプレッシャーに感じないでほしいですね。
――履歴書の形式について詳しくお聞かせください。
apishのサイトにあるリクルートページから、専用のフォーマットをダウンロードいただいて記入をお願いしています。そこに顔と全身写真を2枚添付してもらいます。
ちなみに形式はデジタル。以前まで手書き提出だったところ、最近ではスマホ上で完結できるようにデジタルのみの受付にしました。
――電子に振り切った理由は?
私たちが本当に聞きたいことを聞くためです。
販売されている履歴書では、どうしても魅力を伝えてもらう部分が少ないんです。例えば、だいたい目にする「取得している資格」という項目。こちらとしては、資格は美容師免許があるだけでほぼOK。それ以外の資格はそこまで重視していません。
その項目を減らした分、志望動機を多めに書いてもらいたいし、学生時代にがんばったことについて詳しく知りたい気持ちから、独自の体裁に完全移行したんです。
周りの意見やアドバイスを忠実に反映していると好印象
――では、重要視している項目は?
学生時代に頑張ってきたことです。
この項目では取り組みはもちろん、どれだけ頑張れるのか、その頑張りが自分にどのように影響しているのかが分かっていると評価は高くなります。熱心に取り組んだ経験があることは、自分自身に時間を充てられて努力ができるタイプだと、プラスに捉えられます。
――今まで好印象を受けた書き方はありますか?
学生時代に何かに取り組むには、応援してくれる家族の存在が必要不可欠です。そのため、取り組んできたことについて、家族とのエピソードが添えられていると評価は高いです。
そもそもapishは、どのサロンよりもアットホームさを強みにしていますから、そこに共感をした人はアピールポイントとして記載いただいているようです。「家族の応援があって〜」とあると、入社したときに自然に馴染んでもらえそうと想像できます。
――反対に、ちょっとズレていると感じた履歴書はありますか?
エントリーまでの準備が足りないと感じたとき。
主に、写真から伝わることが多いです。着ている洋服だったり風景だったり。わざわざ洋服を買ってほしいわけではないんです。ただ、採用されるためにどれだけ努力ができるのか、気持ちが反映されやすい項目だと思っています。とりあえず撮って送った人と、しっかり洋服のテーマを決めて背景までこだわって撮影した人とでは、差は出るのかなと。
採用試験に臨むにあたって、ある程度、先生からのアドバイスがあるはず。そのアドバイスを受け止めて作成された履歴書は通る確率が上がりますし、見ていて分かります。撮影までのプロセスもそうですが、周囲のアドバイスや指導を素直に実践に落とし込めているかどうかも、注意して見ているところではあります。
とにかく、apishに入社したい気持ちを目いっぱい気持ちを伝えてもらえるととても嬉しいです!
採用される提出書類のポイントまとめ
1.今までの取り組みは細分化して明確に記す
2.自身のアピールポイントになる点をしっかり見極めて表現
3.周囲のアドバイスに耳を傾ける気持ちを大事にして記す
取材・文/東 菜々