古都・京都のサロンで働くということ REKO美容室 北大路店 #2
日本人はもちろん、今や世界中の人々が観光に訪れる京都。古きよき都の風情がありながら、洋食やブーランジェリーと呼ばれるパン屋さん、おしゃれで居心地のいいカフェなど、モダンな一面を持つ街として知られています。
京都ホテルオークラ内のほか2店舗を展開するREKO(レーコ)美容室は、今年で創業66年を誇る由緒ある美容室です。婚礼を中心に、成人式や七五三、卒業式やお茶会などのセレモニー美容を手掛ける傍ら、カットやパーマといった日々のメンテナンス美容で、親子三代にわたり京都の女性たちを支えています。レポート第二弾は、東京から京都へネイリストとして就職した新井和美さんをクローズアップします。
震災をきっかけに京都へ移住、REKO美容室へ
ネイリスト、新井和美さんはREKO美容室の現代表、藤本豊士(とよし)さんが当時、東京の表参道で経営していた『FUKULULU?』(フクルル・ハテナ)で出張ネイリストとしてたびたび一緒に仕事をしていたそうです。「それ以前は銀座のファッションビルにあるケア中心のネイルサロンで7年間働いていました。出身は埼玉県ですが、東日本大震災をきっかけに心機一転、新しい場所で働くのもいいかな、と藤本夫妻を頼って京都へ来ました」
REKO美容室マネージャーの藤本泉さんによると「彼女はネイルケアの高い技術を持つプロフェッショナルで、当時うちのサロンでまだ導入していなかったジェルネイルを何とかお客様にも体験していただきたいと採用しました。京都はもともと保守的な土地柄で、流行っているからといって安易に飛びつかない慎重さがあると言われています。約6年前、娘が通う学校のママ友たちも、ジェルネイル未体験の方がいたほどでした」
持てる技術を生かし、新天地・京都で働く
東京と京都では情報が伝わるテンポが違う、とマネージャーの藤本泉さん。「そこでまず私の爪にジェルでアートをしてもらい、ママ友たちの反応を見たところ、それってつけ爪?と興味を示してくれて。ようやくジェルが認知され、そこから一気に広がっていきました。それまではジェルのアートは、とんがった人たちがするもの、という先入観があったらしいんです(笑)
その点、新井さんはケアからしっかりとした技術を持っていたため、いきなりジェルにトライするのはちょっと…という既存のお客様でもケアだったら、と受け入れてくださって、今ではフットケアなど、単体のご予約をいただけるまでになりました」と藤本さん。新井さんが前店舗で、巻き爪のケアを含むフットケアの技術を習得していたことも功を奏しました。「女性のお客様の7割が足に何らかの不具合を感じていらっしゃる中、彼女のフットケアを受けると脚のむくみなどが取れて、靴がスルッと履けたとよろこびの声をいただくほど、マッサージも上手です。
事実、ケアから入って爪をキレイにすることに目覚めたお客様が、ジェル、アートと段階を踏んでやってくださるようになりました。時間はかかりますが、ここまで根気よくケアをおすすめできる人はなかなかいないですし、貴重な人材だと思っています。本格的な専門職が入社してくれたことで今後は、社内教育はもちろんのこと、外部講習も視野に彼女の活躍の場を広げていくのが目標です」(藤本泉さん)
創業当時から貫く“人材を大切にする”姿勢
今年で創業66年になるREKO美容室ですが、当時も今も変わらないのは、人材を大切にすることだと、代表の藤本豊士さんは言います。
「昭和26年の創業当時から今まで、三世代にわたってご利用いただいているお客様が大半で、カットやカラーといった日ごろのお手入れから、お宮参りに七五三、十三詣に成人式、そして結婚式と、晴れの日のお支度も担当させていただくほど、地域に密着しています。だからこそ、スタッフとお客様の信頼関係が何より大切なんですね」
当時、美容室がまだ徒弟制だったころから雇用制度を見直し、創業から三年目で株式会社を設立。スタッフをたくさん雇って保健も完備させていたといいます。「創業者の藤本礼子の父で、僕の祖父にもあたる人が、戦前からいろんな会社を見てきた結果、“髪結いどころからきちんとした会社にする”という先見性で、姉弟(きょうだい)が仲良く、力を合わせてスタッフとともに美容室を盛り立ててきたことが大きいです。
今、僕らの代になってできることは、そうした先代の伝えてきた技術と信頼を、次の世代につなげることです。カットやカラーなどももちろんですが、京都ならではの日本髪アップや着付け、婚礼美容などにネイルやエステ、ヘッドスパなど新しいものを取り入れて、より多くのお客様へこれからもお届けしたいと思っています」
取材・文/山岸敦子
撮影/編集部
Salon DATA
REKO(レーコ)美容室
1951年(昭和26年)、創始者の藤本礼子さんがサロンを開業。やがて妹弟でそれを支えようと、美容師や美容の卸業を始める。以来今年で66年。それが今日のガモウ関西(旧フジモトコマイ)、Befine(ビファイン)といった“藤本ファミリー”でREKO美容室は、本店・北大路店・ホテル店ともに親子三代にわたって、京都の女性たちに支持されている。
http://re-ko.jp/ookura.html
http://bridal.kyotohotel.co.jp/
セレモニー美容の“技をつなぐ” 京都ホテルオークラREKO美容室 #1>>