90’アメ村カルチャーを、リエディット したサロン『~AND PEACE』
ヘアサロンがひしめく南船場にあって、唯一無二の存在感を放っているのが今回お話を伺った~AND PEACE。古着屋が席巻していた90年代のアメリカ村カルチャーをコンセプトにしたこのサロンでは、当時のニュアンスを現代的に再編集したヘアスタイルを提案し、他にない個性溢れるスタイリングに定評が。昔から根っからのファッション好き、古着好き、というオーナーの菅惣さんが自身のサロンを今のコンセプトに修正したのは約6年前。それまでの路線で成功を収めていた中での軌道修正には思い切りが必要だったと言う菅惣さんに、あえてリスクを覚悟しオンリーワンなサロンを目指した理由を伺いました。
小さい店らしさを活かすべくコンセプトを変更
――現在のコンセプトにする以前はキレイ系、ナチュラル系のサロンだったそうですが、あえてニッチなコンセプトに路線を変更した理由とは?
「僕自身が元々古着屋さんになりたいと思うくらい古着が大好きで、特に90年代のアメ村カルチャーが大好きだったんです。ただ、僕が独立した2006年当時は雑誌で言えば『Sweet』などが女性のトレンドを牽引していた時代で、ヘアスタイルもナチュラル系やキレイ系が中心でした。そういった流れもあり店もそんな雰囲気にしていたのですが、当店のような小規模なサロンがオリジナリティを出し、かつ誰にも真似できないサロンを作るにはどうすべきだろうと考えた結果、自分が好きな90年代のアメ村カルチャーをコンセプトに据えようと。ただ、極端な方向転換だったので当時のスタッフには戸惑いもあり、コンセプト変更機を機に店を離れたスタッフもいました。また、提案するヘアスタイルもハードパーマをメインにし、店の内装もコンセプトに沿って一新したので、リニューアルしてしばらくは以前のような忙しさはありませんでした。正直リスクは大きかったけれど、SNSや雑誌のヘアスタイリングから徐々に口コミで当店のスタイリングが広がり、再び店が軌道に乗るようになりました。」
『~AND PEACE』というセレクトショップ
――実際に提案しているヘアスタイルへのこだわりはどんなところにあるのでしょう?
「ヘアスタイル単体ではなく、ファッションの一部としてのヘアスタイルを常に意識しています。髪型ありきではなく、トータルで見たときのかっこいいバランスが大切。僕自身はハードパーマがイチ推しですが、個性的で目立つけど日常にも馴染むような、髪型だけ悪目立ちしないバランス感を重視していますね。他のスタイリストもそれぞれカラーやカットなどの得意な分野があり、~AND PEACEはいわばセレクトショップなんです。スタッフ全員の得意な技術を活かしながら、僕のバイブルでもある90年代のアメ村カルチャー要素に現在のトレンドをミックスし、他にはないヘアスタイルを提案しています。目指すのは平均的ではないとんがったヘアスタイリングで、うちでなきゃ作れない髪型。その根底にあるのは、来てくださったお客様を絶対可愛く、またかっこよくするぞという意気込みです。」
東京での作品撮影で感性をブラッシュアップ
――作品撮影のため東京へ年に数度行かれるそうですが、東京に出向く理由とは?
「やはり刺激を受けることが多いからですね。大阪にももちろん良い美容室はたくさんありますが、現在はとりあえず数をこなすという低価格サロンが台頭して来たこともあってサラリーマン感覚の美容師が増えており、特に関西は価格重視の面が強いように思います。その点、東京の美容師はサロンの看板を背負っているという想いも強くプライドも高い。だからこそ僕もスタッフも良い刺激を得て、新しいクリエーションを作るぞという気持ちになれます。また、年に数度師匠と食事させていただく機会があるのですが、師匠は70代でも現役でハサミを持っており、今なお自らの技術を向上させることに積極的。そういった姿を見て、僕自身常に技術をアップデートし、美容師として一歩先を行く努力をしなければと改めて感じます。」
店も自身もアップデートを繰り返し、美容師としてのベストを追求し続ける菅惣さん。後編では現在4名いるスタッフの教育方針をはじめ、これからのビジョンなどを伺います。
PROFILE
菅惣 啓さん
オーナースタイリスト
大阪出身。美容師歴22年のベテランヘアスタイリストであり、古着を中心としたカルチャーへの造詣が深い。31歳で独立して店を構えてからもトップスタイリストとして活躍し、経営者に専念することなく生涯美容師としてハサミを持ち続けるのがモットー。
SALON DATE
~AND PEACE
大阪府大阪市中央区南船場4-13-16 うまいや船場ビル4F
06-6282-3366
http://and-peace.com/
Instagram:andpeace0901