海外と日本における美容室文化の融合を目指すサロン『Hair&Esthe HIROIN 西麻布本店』
広尾駅にほど近いサロン『Hair&Esthe HIROIN 西麻布本店』。広尾の一等地に立地し、周辺の富裕層や外国人のお客さまが数多く来店します。後編の今回は同サロンを運営する株式会社ヒロインのオーナーである長谷川友美さんに、ニューヨーク出店の経緯や今後のビジョンについてうかがいました。
ニューヨーク出店に込められた想い
――ニューヨーク出店の経緯について教えてください
「オープンから2年ほどになりますが、ニューヨークへの出店はもともと当社を経営していた私の母が計画していたことでした。しかし、母は私が22歳の時に病気で急逝し、その話はいったん中断してしまったものの、それから数年して会社が落ち着いた頃、長年、母と苦楽を共にしてきた幹部スタッフを中心に、やはり母の想いを実現しようということでニューヨーク出店に動き始めました。このようにどちらかと言えば個人的な動機から取り組んだことで、大きな目標や経済的効果を狙ったサクセス・ストーリーではありません」
「ただ、出店のきっかけはパーソナルなものですが、準備していくなかでさまざまな気づきがありました。日本とアメリカのサロンにはそれぞれよい点があり、これを融合すればとてもよい相乗効果を生み出せると思ったのです。それが最終的なニューヨーク出店の動機と言えるかもしれません」
日本とアメリカの美容院の違い
――融合したいポイントとはどのようなものだったのですか？
「まず勤務体制と時間の使い方です。ニューヨークの美容師は、自分のお客さまの予約が入っているときだけ店にいるスタンスが多いです。一方、日本の美容院ではスタッフの拘束時間がムダに長くなっているケースも頻繁に見受けます。たとえば、休みも少なく、勤務日も営業時間が終わってから技術的な練習をさせるので、スタッフの拘束時間が1日15時間ということも珍しくありません。それなのに営業時間中のお客さまのいない時間を、おしゃべりなどして過ごしています。その時間を技術的な練習や商品知識の習得など有効に活用すれば、スタッフは早く帰り、自由に使える時間を得られるでしょう。サロンのなかだけで学べることは限界があり、大きな意味で“遊ぶこと”や、“いろいろな人と交流すること”がそれぞれの成長にはとても大切です。ですから勤務時間内の空いている時間に、トレーニングや勉強などをしてもらうこともよくあります」
「もうひとつは給与体制です。アメリカの美容師は、自分の売上げた額から一定割合を収入として得るというコミッション制が一般的で、基本給がありません。日本は逆にお店にいるだけで基本給がもらえます。その結果、野心や向上心、勢いといった主体性の部分でかなり差がでるように感じます。またよいサービスに対するチップという習慣がアメリカにはあるので、“自分の能力や優位性を最大限に発揮する”という意欲が自然に出ますね。日本の習慣を私の一存で変えることはできませんが、このお店にいらっしゃる富裕層の方はチップを置いていかれる方もいらっしゃいます。チップはある意味で担当者への敬意の現れであると思うので、そんなお客さまを増やすことを目指すのが、美容師にとって大切だと考えています」
会社の拡大より美容師の社会的地位を上げたい
――今後のビジョンについて教えてください。
「少なくとも当社では、美容師という職業が福利厚生面や給与面で他の職業に劣らないものとなるよう、今後も会社として邁進することに尽きると思います。当サロンには有給休暇はもちろん、年間110日程度の休日をとるスタッフも存在します。これをさらに年間120日ほど休んでも必要な売上げが達成できるよう、効率を高めたいと考えています。スタッフに十分な収入があり、自由な時間もあるという状態ですね。スタッフには顧客満足度を最大限にする義務がありますが、経営者の私にはそれだけでなく、従業員満足度を上げる義務があると思っています」
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Salon Data
Hair&Esthe HIROIN 西麻布本店
住所：東京都港区西麻布4-6-4
TEL：03-3407-8028
http://www.hiroin.co.jp/salon-list/nishiazabu/
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