【美容師のカット技術】SYAN 米澤香央里さん流 『姫カットベースのレイヤーヘア』#1
2020年に向けて人気が高まっているレイヤースタイル。これまでもその時代ごとに形を変えて、レイヤースタイルは人気を集めてきました。今回は、「今」にフィットするレイヤーヘアを、SYANの米澤香央里さんが提案。前編では、時代を感じ取るデザイン作りについての考え方や、サロンワークでのこだわりについて伺います。
意欲がなかった20代、認められることで変わった30代。
『SYAN』ディレクター 米澤香央里さん
——美容師を目指したきっかけを教えて下さい。
実は、大したきっかけってなくて…。高校生のころ、進路を決めなくちゃいけなくて、親にいい加減決めなさいと言われて、なんとなく…というのが正直なところなんです。おしゃれには興味がありましたけど、本当、なんとなく楽しそうだな~って感じで。
そんな感じだったので、就職してからもそこまで意欲的じゃなくて、とくにアシスタント時代は楽しくもなく…。「スタイリストになったらサロンを辞めよう、デビューするまではここで頑張ろう」と思いながら、なんとか続けていました。
——別のサロンに転職されて、スタイリストになってからは楽しかったですか?
スタイリストになってからも、技術も売り上げもなかったので、モヤモヤしていましたね。自分がこれからどうしていったらいいのかというのが、リアルに思い浮かばなかったというか…。20代後半にはメイクの勉強がしたいなって思っていて、26歳のときに資生堂SABFAで学んだりもしたんですけど、それも漠然としていて、リアルに自分の未来と結びついてはいませんでしたね。
——気持ちに変化があったのは?
29歳のとき、何か変化を起こしたくて、当時有名店だったサロンに入社しました。いろいろ雑誌の撮影などを精力的にしていたサロンだったので、そこで勝負をかけたいと思って。入社してからは、自分に技術がなさ過ぎたので、プライドを全部捨てて、年下の子に教えてもらったり、レッスンを見てもらったりしていました。その翌年に、野々口(『SYAN』代表)と『SYAN』を立ち上げることになったんです。『SYAN』になってからは、美容師がどんどん楽しくなってきました。
——変化の理由は何だったのでしょうか?
売り上げが上がってきたのが大きいですね。それで店長を任されるようになって…。やっぱり結果がすべてだなと思いました(笑)。
売り上げが出るようになったきっかけは、インスタグラムです。『SYAN』になってから、月に3・4本は作品撮りをしようと、自分の中で決めて続けていました。それをインスタグラムにアップしていたんです。それを続ける中で、雑誌やSNSの撮影依頼や、ヘアメイクの仕事が入るようになって、徐々にお客様も増えていきました。
——では、技術力は、作品作りで培われたんですね。
そうですね。技術というよりは、感覚をどんどん磨いていった感じです。
技術面でいうと、週に2回、サロン内でスタイリストの勉強会があるんです。『SYAN』はいろんなサロンから集まったスタッフばかりで、みんな違うサロンの技術で育っているので、その技術を共有しています。カットがすごく上手なスタッフもいて、その子に教えてもらったり。だから今も勉強になります。あとは、他のサロンに行って教えてもらうことも。代わりに私が、そのサロンのスタッフにメイクを教えたりして。
——アシスタント時代に「していたら良かった」と思うことはありますか?
今思えば、セミナーとか自分からもっと行けばよかったです。当時は、「自分のサロンは何もしてくれない」って思っていたけど、行こうと思えば行けたはず。今はSNSがあるから、イベントやセミナーも参加しやすいですよね。自分の足で動いて、見て考えることって、すごく大切だと思います。今いるサロンの中だけじゃなくて、プラス自分でできることをする。それで、自分の好きなことが見つかれば最高ですよね。
——では、学生時代にしておくとよいことは?
私は、ヘアショーとか、好きなことを好きな人としていたので、それはよかったですね。あとは、いろいろなものを見ること。美術館とか映画とか、キレイなものを見ればいいってことじゃなくて、重要なのは自分が置かれている環境を少し変えてみたり、見方を変えてみることです。それなら、学生からでもできるはず。
過去から今にフィットするものを見出す
——発信するデザインのインスピレーションは、どこから得ていますか?
オーナー曰く、自分が想像するものって、過去に見たもの、聞いたものから生まれるらしいんです。だから、「いろんなものを今以上に見なさい」というのを、よく言われます。
なので、作品を考えるときは、代官山蔦屋書店に行って、写真集とかをいっぱい見るんです。過去の作品とか、バックナンバーをずらーっと。どの時代に、どんなニーズがあったのかとか、そういうのを全て自分の中に取り込んで、今に落とし込む感じ。SNSもよく見ますけど、やっぱり誌面で見たいんですよね。スマホの画面で見るのとはやっぱり違って、1枚の作品としての強さがグッと増す感じがします。
——では、今回ご提案いただくスタイルについて教えてください。
今回のカットも、昔流行っていた姫カットがベース。重さを残した姫カットに、人気が出てきたレイヤーを組み合わせました。ここ1・2年、ショートや短めボブが流行っていますけど、そこから変化を求めてレイヤーの人気が高まってきています。レイヤーって、結局ずっと流行るスタイルなんですよね。どんなレイヤーなのか、バランス感なのかっていうのが、時代に合わせて変わっていくんだと思うんです。なので今回、軽くするためのレイヤーじゃなくて、存在感のあるレイヤーを提案したいなと思います。重さを残したレイヤースタイルは、2020年のトレンドになると思います。
米澤さんが提案する『姫カットベースのレイヤーヘア』
カットラインが出る程度に、重さを残した姫カットがベース。チークラインに合わせて段をつけたサイドの髪がポイント。髪表面を中心にレイヤーを入れて、軽やかな動きをオン。顔周りをリバースにスタイリングするのが今っぽい。
『姫カットベースのレイヤーヘア』のいいところ
1.長さを変えずに変化が出せる
2.直毛さんでもボリュームが出しやすい
3.頬骨ラインの髪が骨格補正して小顔効果も
過去の流行スタイルを今風のデザインに落とし込んだ『姫カットベースのレイヤーヘア』。時代を風靡したデザインを自分の中に落とし込み、今にフィットしたスタイルに生まれ変わらせてくれました。後編では、その詳しい作り方を教えていただきます。
▽後編はこちら▽
【美容師のカット技術】SYAN 米澤香央里さん流 『姫カットベースのレイヤーヘア』#2>>
取材・文:山本二季
撮影:奥村亮介(スタジオバンバン)
ヘア&メイク:米澤香央里(SYAN)
モデル:飯田一葉
教えてくれたのはこの人!
SYAN ディレクター
千葉県出身、日本美容専門学校卒、資生堂SABFA卒。都内3店舗を経て、SYANオープニングメンバーとして参加。雑誌の撮影の他、セミナー、ブライダル、アパレルLOOKなど、ヘア&メイクとして活躍中。2018年、自身の作品を集めた写真展を開催し、大盛況に。
インスタグラム https://www.instagram.com/kaori_yonezawa/