社会福祉士になるには?国家試験の受験資格を得る方法や必要な実務経験について紹介
医療や福祉、行政など幅広い分野で活躍する社会福祉士は、相談者やその家族をサポートするのがおもな仕事です。国家資格のため、資格を取得することができれば就職や転職をする際にも強みになります。
とはいえ、社会福祉士は誰もがなれるわけではありません。社会福祉士になるには、まずは国家試験を受けるための受験資格を取得する必要があります。
そこで今回は、社会福祉士を目指している方に向け、社会福祉士の受験資格や試験科目などをくわしく解説していきます。
社会福祉士になるには
社会福祉士は高度な知識や技術が求められる国家資格であり、国家試験に合格しなければ名乗ることができません。試験は年1回おこなわれており、時期は例年2月の上旬頃です。最新情報は、下記のサイトで確認できます。
社会福祉振興・試験センター
社会福祉士の受験資格
冒頭で伝えた通り、社会福祉士の国家試験を受けるためには受験資格が必要です。受験資格を得るにはどんな方法があるのか、3つのパターンを紹介します。
福祉系大学に通う
まず、福祉系大学に通って受験資格を得る方法。そのなかでもさらに3つに分かれます。
・4年制に通って指定科目を履修する
・短大等に3年間通って指定科目を履修したのち、1年以上の相談援助実務をする
・短大等に2年間通って指定科目を履修したのち、2年以上の相談援助実務をする
短期養成施設に通う
次に、短期養成施設に入って資格を得る方法です。さらに5つに分かれます。
・福祉系の4年制大学で基礎科目を履修し、6カ月以上短期養成施設に通う
・福祉系の短大等で3年間基礎科目を履修し、1年以上の相談援助実務をしたのち、6カ月以上短期養成施設に通う
・福祉系の短大等で2年間基礎科目を履修し、2年以上の相談援助実務をしたのち、6カ月以上短期養成施設に通う
・2年以上社会福祉主事養成機関で学び、2年以上の相談援助実務をしたのち、6カ月以上短期養成施設に通う
・児童福祉士司・身体障害者福祉司・査察指導員・知的障害者福祉司・老人福祉指導主事の実務経験を4年以上積み、6カ月以上短期養成施設に通う
一般養成施設に通う
最後に、一般養成施設に入って資格を得る方法です。4つに分かれます。
・一般の4年制大学に通ったのち、1年以上一般養成施設に通う
・一般の短大等で3年間学び、1年以上の相談援助実務をしたのち、1年以上一般養成施設に通う
・一般の短大等で2年間学び、2年以上の相談援助実務をしたのち、1年以上一般養成施設に通う
・4年以上の相談援助実務をしたのち、1年以上一般養成施設に通う
働きながら社会福祉士の受験資格は得られる?
働きながら社会福祉士の受験資格を得ることはできるのでしょうか。実は、社会人が社会福祉士を目指すことも十分可能です。
前述した短期養成施設や一般養成施設には、夜間課程や通信教育が用意されているところもあるので、仕事の都合と照らし合わせながら自分に合った方法を選択しましょう。
ただし、通信教育でもすべて自宅で完結できるわけではなく、実務のために所定のスクーリング(実際に学校や施設に行くこと)が必要です。
社会福祉士の受験資格に必要な実務経験について紹介
社会福祉士の受験資格として、一部のパターンで実務経験が必要です。どのような職種が実務として認められるのか、例を見てみましょう。
実務経験として認められる職種
実務経験として認められる職種と内容には、以下のようなものがあります。
実務経験として認められない職種
上記のような職種でも、実務経験として認められない例もあります。どんな場合なのかを以下に挙げます。
・「入所者の保護に直接従事する保育士」として介護福祉士の国家試験を受けた保育士
・保育士から継続して児童指導員になり、「入所者の保護に直接従事する児童指導員」として介護福祉士の国家試験を受けた児童指導員
・「介護等の業務をおこなう」者として介護福祉士の国家試験を受けた指導員・生活支援員・障害福祉サービス経験者など
自身の経験が社会福祉士の受験資格に当てはまるかどうか、しっかり確認しておくことが大切です。
社会福祉士の国家試験の内容
社会福祉士の国家試験科目は、以下の通りです。精神保健福祉士の国家試験との共通科目と、社会福祉士の専門科目があり、出題範囲が広いという特徴があります。
1.人体の構造と機能及び疾病
2.心理学理論と心理的支援
3.社会理論と社会システム
4.現代社会と福祉
5.地域福祉の理論と方法
6.福祉行財政と福祉計画
7.社会保障
8.障害者に対する支援と障害者自立支援制度
9.低所得者に対する支援と生活保護制度
10.保健医療サービス
11.権利擁護と成年後見制度
12.社会調査の基礎
13.相談援助の基盤と専門職
14.相談援助の理論と方法
15.福祉サービスの組織と経営
16.高齢者に対する支援と介護保険制度
17.児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
18.就労支援サービス・更生保護制度
過去問も下記のページからダウンロードすることができるので、ぜひ活用してください。
過去の試験問題
合格基準と合格率
社会福祉士の国家試験の合格には、総得点が最低60%程度必要です。さらに、18科目群すべてで1点以上得点する必要があります。万が一得点できていない科目があると、合格基準を満たせません。
なお、社会福祉士試験の合格率は30%前後と低めで、難易度の高い資格です。全科目をまんべんなく勉強して試験に備えましょう。
社会福祉士になるための勉強法を紹介
つづいて、社会福祉士になるための上手な勉強法を紹介します。
自分に合った勉強法を探そう
社会福祉士の国家試験は独学でも受験できますが、試験科目の幅が広いので自力のみでは苦労する可能性もあります。合格に向けて勉強をサポートしてくれるスクールがあるので、利用するのもひとつの選択肢です。
スクールは、全日制のところもあれば夜間コースや通信教育などもあり、自分のライフスタイルに合ったところを選べます。学びやすい環境で勉強し、試験に向けてしっかり準備しましょう。
最新のテキストを使おう
福祉に関する情報や法律はたびたび変化します。そのため、人のおさがりなどといった古いテキストを使っても、誤った知識や現状にそぐわない情報を身につけることになり、役に立ちません。最新のテキストを使って学習することが重要です。
余裕を持ったスケジュールを立てよう
社会福祉士の国家試験に合格するためには、個人差はありますが、300時間ほどの勉強時間が必要といわれています。
週に1〜2回まとまった勉強時間を確保するよりも、毎日30分でも1時間でもいいので時間を捻出し、継続して勉強することがおすすめです。
朝早く起きる・昼休みの空き時間を利用する・TVや動画を見る時間を減らすなどして、短時間でも日々の勉強時間をきちんと確保し、コツコツと計画的に試験対策を進めましょう。
社会福祉国家試験は難関! 計画を立てて受験対策をはじめよう
社会福祉士の国家試験は、ほかの福祉・介護系国家資格と比べて難易度が高いです。試験を受ける前にも、大学・短大で学んだり、実務経験を積んだりなどの受験資格を満たさなければなりません。
受験資格を満たしたら、次は国家試験が待ち受けています。厳しい合格基準が設けられているので、しっかりと計画を立てて念入りに学習し、合格を手に入れましょう。
引用元
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 試験概要
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 過去の試験問題
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 合格基準
厚生労働省 第33回社会福祉士国家試験合格発表
社会福祉振興・試験センター
[社会福祉士国家試験]試験概要:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター