【2021年理美容業界の動向】コロナ禍でも勝てるサロンになるために今すぐやるべき4つのこと

2020年からの1年、私たちをとりまく環境は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)という脅威によって、大きく様変わりしてしまいました。理美容業界でも、景気悪化と生活環境の変化にともない客足の厳しい状況は続いていますが、その中で前年比200%以上の実績を残すサロンがいくつもあり、サロンによって明暗の差がはっきりとでてきています。

2021年をうまく勝ち残るためには、この明暗の差をきちんと把握することが非常に大切です。

withコロナといわれる現在の状況とこれからを、2021年のトレンド要素や経営の先読みをふまえ、多くの理美容院で経営をV字回復させた実績をもつ、船井総合研究所で美容室のコンサルタントを務める、田崎昌美(たさきまさよし)さんにお話を伺ってきました。

お話を伺ったのは…

田﨑昌美(たさき まさよし)さん

美容室のコンサルティング部門の統括
20年以上に渡り300件以上の企業の業績アップに携わる。
手がけた企業の多くは即時に業績アップさせる
船井総研のレジェンドコンサルタント。
現在は長年の研究成果の集大成として
年商10億円突破企業の育成に注力。
年商10億円突破を目指す多くの経営者が船井の門を叩いている

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新型コロナウィルス感染症に振り回された2020年から見えた流れの変化 郊外型サロンの復活

2020年を振り返ると、とにかく過去に経験したことのない不安な状況だったというサロンが多いことでしょう。実際に10店舗以上を経営する規模でも廃業に追い込まれたサロンもあります。

その中でも特に目立った要素についていくつかみていきましょう。

顧客の心をつかんでいるサロンはゆるがない

ひとつめの要素としては当たり前に感じるかもしれませんが、固定の顧客をきちんと捕まえているサロンです。

『全国区・ローカルにかかわらず、お客様の来店数が1番多いサロンに影響はでていません。町や都市で1番集客できているサロンも、立地の影響もなく数字をキープできています。逆に2番手以降は段階的に業績が苦しくなってきています。』

理美容院は緊急事態宣言時も国の休業要請業種から除外されたこともあり、自主的に休業するサロンと通常営業するサロンに分かれていました。サロンに行くかどうかはお客様の判断にゆだねられていたこともあり、顧客の有無は非常に大事なポイントとなりました。

郊外型サロンの復活

これまでは仕事や学校、ショッピング帰りにアクセスのよい都心部に人気が集まる傾向にありましたが、新型コロナウィルス感染症(covid-19)の影響で在宅ワークが増え、状況は一転しました。

『都心部など店舗が集中しているエリアの方が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の打撃を受けていますが、逆に郊外型サロンが絶好調で、歩きや自転車で行けるという点がメリットとなっています。』

実際に全国2000人以上の男女の新型コロナウィルス感染症の影響を受けての行動変化を6月末と9月末の2段階で追った調査によると、移動手段の利用ではコロナ前と比べて私的手段の利用が増える一方、公共交通機関の利用は減っています。利用増加層は「自家用車」で17.4%、「自転車」で 10.2%、利用減少層は「電車やバス」で 36.2%、「飛行機」で 21.0%、「タクシー」で 15.4%を占めています。

6月末と9月末での比較でも、withコロナにおいて、私的手段の利用は一層増加しているといえます。公共交通機関の利用は、わずかに回復傾向ではありますが、継続して避けるという方が多くみられ、電車やバスを使わずに移動できるかどうかは、コロナ禍において重要なポイントになりつつあります。

出典元:ニッセイ基礎研究所 2020年度特別調査 「第2回 新型コロナによる 暮らしの変化に関する調査」

駐車場がある場合は車での来店OKのPRができますし、ない場合は近隣の駐車場や駐輪場の有無の確認とお客様へのご案内をしましょう。公共の交通機関を避けた来店については、今まではスルーされがちでしたが告知要素として盛り込んでおいた方がよいでしょう。

2021年のキーワードはコミュニケーション 人間力重視の時代がやってきた

サロンの立地そのものは解決手段がありませんが、生き残りのためのひとつ目のポイントで顧客の心をつかむということをお伝えしました。

「その町やエリアでお客様の来店数が1番多いサロンは、立地に関わらず客足に影響がでていない」という点からもわかるように、人気のあるサロンは、緊急事態宣言下でもお客様の判断で継続して来店をされています。それはひとえにそのサロンがお客様からの信頼が厚い証拠といえるでしょう。

『しっかり顧客管理ができていて、お客様とコンタクトをとれているサロンは強いです。
新規の来店は10~50%以上ダウンしているところがほとんどですが、既存顧客の売り上げぺースはあまり変わっていません。
都心型の美容院は、広告媒体を使って新規顧客を獲得していたケースが多いので苦戦しています。』

クーポンでの集客をメインとしている場合、来店されるお客様の層は「人」ではなく「価格」と「立地」という2つの要素がサロン選びの軸となってしまいます。

立地についてはステイホームが呼びかけられる中、自宅から近いという条件から外れた段階で非常に不利になりますし、価格は似たような価格帯のところがあればすぐに鞍替えされてしまいます。

『集客ツールとしては圧倒的にLINEが進化をしています。まだ導入期なので伸びしろはあるといえるでしょう。広告媒体に依存せずSNSを活用してしているサロンの方が勝ち残っています。』

withコロナのこのご時世では、お客様を集客するという観点ではなく、過去に来ていただいたお客様といかにコミュニケーションを継続できるかという点に重きをおく方が売上につながりやすいといえます。

『お客様のお店選びはサロンという枠ではなく、そこで働く「人」に向きつつあります。今後、技術・コミュニケーションともに個別対応に流れが変わって、お客様の要望は自分自身のためのサービスに向いていくでしょう。店舗のブランド力というよりは人のブランド力が重視されるようになってきます。』

SNSをはじめ「個」の時代になったとよく言われていますが、美容院としても個々のお客様へのオーダーメイド対応の風潮に変わりつつあります。お客様にとっては、いかに自分を理解してくれるか、自分のよさを引き出してくれるかという点が重要になってくるので、どこで切るかよりも誰に切ってもらうかが今後のお店選びにおいて、大切な基準になってくるといえるでしょう。

そのため今まで以上に、顧客とのコミュニケーションに力を入れるべきといえます。

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事業の柱を増やすことが大きなリスクヘッジとなる

ここまではサロンの本業として取り組むべきことをお伝えしましたが、ここから先はどのような状況でも売上を維持するにはどうしたらいいか? という点にフォーカスしていきます。

ずばり結論からいうと、多角的な事業展開にシフトした企業はコロナ禍でも売上が好調なケースが多いようです。

『美容院としての機能以外を持たせるトータルビューティー戦略は今後注目すべきでしょう。店販強化、まつエク業態立ち上げなど多様な事業展開をすることで、このコロナ禍でも前年比200~300%を叩き出しているサロンもあります。』

イメージとしてはひとりのお客様が、そのサロンに来ていただくとお悩みがすべて解決されるようなまさにトータルビューティーです。
しかし、いくら多角化経営に踏み切ったところで、お客様に有効活用していただくことができなければ意味がありません。
そのためには先述した「顧客とのコミュニケーション」が非常に重要になってきます。

『お客様と仲良くなる中で多様なサービスをすすめていくことが大切になってきます。
大量生産ではなく、自分をよく知っている人に自分に合ったものをすすめてもらうことは、「自分のためのサービスに重きを置く」ことであり、お客様にとっても唯一無二です。
ひとりのお客様にあれもこれも利用いただくことで客単価も伸び、例えば美容院としての事業で売上が30%ダウンしても他事業でリカバーすることができます。』

事業の点と点を、お客様とのコミュニケーションで線でつなげるような事業展開にすることで、1+1が無限大になる可能性を秘めているといえます。

多角化事業により実際に客単価40万円を超えた例もあり、その事例は別記事で詳しくご紹介します。

今投資すべきは「情報」 経営のブラッシュアップで変化に負けないサロンを作る


最後に、2021年強化すべき点としては「情報」です。経営サイドのポジションにいる方は経営戦略が非常に大切となりますが、このコロナ禍では難しい選択を迫られることもたびたびあるでしょう。

少しの舵取りミスでも、大きな損害になることもあり、備えるということが今まで以上に重要となってきます。

『本業である美容業での売上低迷が目立つ場合、まずはコミュニケーションツールの強化が直近の課題でしょう。2021年は変化の大きい年であり、経営者は、広告をはじめお金の使い方を再度検証し、経営のブラッシュアップを図る必要があります。』

また、ここ2年ほど徐々に、フリーランス、面貸しなど、働き方の自由度も高まりつつある中、コミュニケーション力の高いスタイリストに育てるための教育、育てたスタイリストを辞めさせないための取り組みも経営サイドには求められています。

どんな人と一緒に働くかというスタッフ間のコミュニケーションの取り方も非常に大事になってきます。顧客のコミュニケーションにおいて、サロンが居心地のよい空間であるということは大前提なので、経営サイドでは、スタッフ皆が同じ方向を向けるように、技術以外の価値観・理念の共有や働きやすい環境を整えるよう意識していくことが必要です。

いずれにせよ、コロナ禍で勝ち残っていくためにはあらゆる面で「コミュニケーション」がキーワードになってきそうです。そのうえで、過去や規定にこだわらず変化に柔軟に対応できるだけの頭のやわらかさを持って備えていくことが2021年は重要になるでしょう。

出典元:
東京商工リサーチ 2020年5月19日記事(企業倒産情報)
ニッセイ基礎研究所 2020年度特別調査 「第2回 新型コロナによる 暮らしの変化に関する調査」

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