メニューごとに異なるHPで、店舗売上500万を達成「EXCIA」代表・中川俊樹さん
「EXCIA」代表の中川俊樹さん。23歳の若さで独立し、顧客ゼロの状態から1年後には店舗全体の月売上を500万円にしたという、敏腕経営者です。前編ではなぜそのようなことが実現できたのかを伺いました。ポイントとなっていたのは、構築から運用まですべて自分で行うというホームページ集客。メニューごとに4つのホームページを作ることで、確実で再現性の高い集客力を身につけることができたといいます。またそこに行き着くまでにはひたすらに検証を繰り返す、中川さんの努力がありました。
今回、お話を伺ったのは…
中川俊樹さん
美容師/「EXCIA」代表
20歳でジュニアスタイリストとなり、23歳の若さで独立。アシスタント時代、18歳の若さで、結婚、第一子が生まれたことから、美容師として高水準な給料をあげるために必要なことを模索し始める。独立後は1人でできて再現性の高いホームページ集客に注目し、顧客ゼロから月売上500万円のサロンへと成長させることに成功。その後脱毛サロンを開業させ、2022年10月には2店舗目のオープンも控える、業界注目の若き経営者。
必要のない情報以外は書かない。4つのホームページを運用し、集客力アップ
――23歳と若くして独立され、顧客ゼロの状態から1年で店舗の月売上を500万円にされたそうですね。どのようにして実現したのでしょうか。
ホームページによる集客に力を入れて実現することができました。うちのサロンではメンズの縮毛矯正、髪質改善などメニューごとに別のアカウントを用意し、ホームページを完全にわけています。たとえば縮毛矯正で検索をかけてきた人には、ほかのメニューの情報はまったく必要ないので、縮毛矯正に特化した記事だけを表示するようにしています。ホームページに来る方はそのメニューをやりたい気持ちで検索をかけていますから、余計な情報のないホームページから集客に結び付きやすくなります。
またメニューをわけていることで、どの検索ワードが一番強いかという検証も簡単にできます。SEO対策と広告運用の両軸でホームページをまわし、月500万円の売上が達成できました。
――インスタで集客をしている方も多いと思いますが、ホームページにされた理由は?
インスタの場合は、検索の上位にあげるためには、トレンドにのっている情報かどうか、ユーザーからの反応の多い投稿を上げ続けなくてはいけません。そしてどんな情報が上位にくるかというアルゴリズムも日々変更されているといわれていて、実態をつかむのがなかなか難しいんです。なおかつ属人性が強すぎてサロン集客にはあまり向いていません。たとえば僕のインスタグラムだと、僕に施術をしてほしいお客さまは集まるかもしれませんが、サロン全体の集客には不向きなツールです。また一番大きなリスクは、アカウントがバンされて消されてしまう可能性があること。ホームページであれば、それらがすべてクリアできると思いました。
コーポレートサイトでは集客はできない
――中川さんの考える、SNS集客で効果的な方法はありますでしょうか?
まず自分は何ができるかということを、わかりやすく書くことが大切だと思います。そしてそれがささる層にしっかりと届けることです。何が自分の強みかわからない場合は、自分がどんなことをやってきたか、ストーリーやヒストリーを意識してみるといいですね。いろんな方にコンサルをさせていただきましたが、強みが何もない人というのはひとりもいませんでした。
――これまでいろいろなホームページを見てきたと思いますが、集客ができないホームページの特徴はありますか。
いわゆるコーポレートサイトのような、サロンの情報から求人、代表の方の思いなどいろいろなことが網羅的に書かれているサイトで集客をするのはとても難しいと思います。だれに何を一番見せたいのか、これを見てだれにどう行動してほしいのかを明確にする必要があるんです。先ほどもお伝えした通り、僕は縮毛矯正のホームページには縮毛矯正のことしか書きません。あるひとつの情報を見に来た人にとっていらない情報は極力省くことが大切だと思います。
ホームページをせっかく作っても、そこから集客、売上へとつながっていないのであればもったいないと思うんです。ホームページの運用に100万円くらいかけている方も多いですからね。
手取り14万円で家族3人が暮らす難しさ。一刻も早く抜け出すため研究の日々
――集客に力を入れるようになったきっかけはあるのでしょうか?
18歳で子どもができて結婚したのですが、アシスタントだったこともあって本当に生活が苦しかったために考えたことでした。当時は手取りが14万円で、家賃が5万円くらいのボロボロのアパートに暮らしていたんです。光熱費や食事をのぞいたらほとんど手元に残らないような生活で。もちろん自分で招いた事態ではあるのですが、早くこの生活から抜け出したいと思いました。そこで美容師として一人前になるだけでなく、もっと高い水準で生活を豊かに、子どもや妻に不自由のない暮らしをさせるにはどうしたらいいかをずっと考えていたんです。
集客に着目するようになったのは、独立する前に働いていた2つのサロンが、集客に関するスタンスがまったく違ったからです。1つ目のサロンは会社が運用する集客サイトのみで個人の集客はほとんどしないサロン、2つ目のサロンは自己集客で月に売上30万円を2ヶ月連続で達成することができたらスタイリストデビューできるというような個人集客重視のサロンでした。
1つ目のサロンにいたときは、個人集客でガンガンお客さまを集めるサロンに比べると、どうしても売上の上限が低くなり、結果として給料の水準が低くなっていました。2つ目のサロンはなんとか達成はできたのですが、それをいつまで続けられるかなという思いがありました。
そこで自分だけでできて、再現性の高いホームページ集客のノウハウを築き上げていくことにしたんです。
――具体的にはどのようにしてノウハウを築いたのでしょうか。
ひたすらABテストを繰り返しました。ABテストというのは、情報の表示の仕方を変えた2パターンを用意し、どれが一番効果を最大化させられるのかテストをしていくことです。1週間ごとにその統計をとっていって、反応がよかったページは丁寧に育てていくようにしました。
チェックする項目の量も膨大でした。このホームページの表示でいいのか、ホームページの数を増やすとどんな反応があるのか、広告運用のルートはどれが1番いいのかなど、思いつくことは全部、検証しましたね。SEOの勉強も並行してやりましたし、友達のホームページ作りを手伝って構築の仕方なども学んでいきました。とにかく生活を変えたい一心で、無我夢中の日々でしたね。
中川さんが集客で成功した3つのポイント
1.自分ひとりで集客率の高さを実現できるホームページ集客に目をつけた
2.メニューごとにホームページを4つつくり、必要な人にきちんと情報が届くようにした
3.ABテストをひたすらに繰り返し、ホームページの最適化を行った
後編では、中川さんのマネジメント術について伺います。アシスタント時代の苦労をだれにも味わってほしくないと、雇われていても、若くても、家族がいても収入をあげられる仕組みを考えたという中川さん。スタッフが成長し、売上をあげられれば給料に反映されるようになっており、スタッフの主体性にもつながっているといいます。後編もお楽しみに!