美容師免許が役立つ職種とは?独占業務や資格を活かせる仕事を解説
美容師になるには美容師免許を取得する必要があります。国家資格で取得のハードルが高い資格ですが、実は美容師以外の職種にも活かせることはご存じでしょうか。
今回は、美容師免許の詳細と役立つ職種について解説します。美容師を目指す方はもちろん、「美容師免許ってどんな職種に役立つの?」と疑問を抱える方は、ぜひ参考にしてください。
美容師免許には独占業務が規定されている
美容師という職種は、厚生労働省で「美容を業とする者」と定められています。美容師がおこなうヘアカットやパーマ・結髪・メイクなどは、「美容師だけができる業務」として定義づけられているのです。
また、同省では「見た目を美しくする業務を反復継続の意思をもって取り組むことは美容師にしかできない業務」と考えられていることから「独占業務」と定めています。
ちなみに、理容師免許についても、美容師免許と同様に定められています。ただし、理容師の場合は、頭髪の刈り込みや顔そりなどをもちいて容姿を整えることとし、美容師とはやや違った定義となっています。
美容師免許を必須条件とする5つの仕事
美容師になるためには取得が必須条件の美容師免許。ハードルの高い国家資格を受験する必要がありますが、取得しておけばほかの美容系職種に就くことも可能。ここでは、美容師免許を必須とした美容系の職種について解説します。
ヘアメイクアップアーティスト
ヘアメイクアップアーティストとは、メディアに出演する俳優やタレント、雑誌やSNSを中心に活躍する方、結婚式などのヘアメイクを担当する職種のこと。
結婚式場やフォトスタジオにおもむき、ゲストのヘアメイクを担当する機会もあります。その場にふさわしいヘアセットやメイクで、お客様の容姿を美しく仕上げたいといったおもてなしの気持ちが高い方におすすめです。
技術を高め、知識を深めることで、芸能人のヘアメイクを任されるケースもあり、活動の幅が広がりやすい職種です。
関連記事:ヘアメイクアーティストの仕事内容とは? 目指すにはどうすればいいの?
訪問美容師
訪問美容師とは、体が不自由な人や高齢者など、自ら美容室へ行くことのできない人にカットやカラーをおこなう職種のこと。介護美容師や福祉美容師と呼ばれることもあります。
2040年に65歳以上の人口が全人口の3割を超えると言われるこれからの日本は、訪問美容師の需要も増加していて、最近では病院や介護施設に訪問して施術する機会も増えています。
引用元:我が国の人口について 人口の推移、人口構造の変化|厚生労働省
高齢者や体の不自由な人がお客様のため、高いコミュニケーション能力と順応性、温和な性格が求められますが、やりがいの多い仕事です。なお、訪問美容師の名前から福祉系の資格が必要に思われますが、必須資格ではないのでチャレンジしやすい職種と言えるでしょう。
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訪問美容師とは? 仕事内容を紹介|美容師免許だけあれば働ける?
スパニスト
スパニストとは、お客様にヘッドスパをおこなう職種のこと。ヘアカット前に施術し、頭皮の血行を促しながらリラックスタイムを提供したり、すこやかな頭皮に改善したりするのが主な業務です。
ヘッドスパを極めたスペシャリストをスパニストと呼ぶこともあり、ヘッドスパ目的でサロンを決めるお客様も珍しくないほど高い需要があります。
なお、ウェットヘッドスパは美容師免許が必須ですが、ドライヘッドスパのみの場合は美容師免許がなくても施術できます。
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ヘッドスパの施術に資格は必要?ヘッドスパの種類や認定講座、資格取得を目指せるスクールも紹介!
カラーリスト
カラーリストとは、通常の美容師よりもヘアカラー技術が優れていて、豊富な知識を活かしながらお客様の求める理想のヘアカラーを提供する職種のことです。
カラーリストを目指すには、スタイリストとしての経験を積み、技術を高める必要があります。ヘアカラー以外のメニューの業務をしないことがほとんどのため、業務内容は制限されるのが特徴です。
関連記事:
ヘアカラーリストとは?どんな仕事をするの?なり方や必要な資格を紹介
アイリスト・アイブロウリスト
アイリストとは、まつエクやまつ毛パーマをおこなう専門職のことです。一方、アイブロウリストは、お客様の眉にまつわる悩みに添って魅力的に整える職種をさします。
アイリストを目指すには美容師免許が必要です。また「日本まつ毛エクステンション認定機構 技能検定試験(JECA)」など、取得しておくと役立つ民間資格などもあります。
アイブロウリストも美容師免許が必要な施術があるので、そういったメニューを提供しているサロンで重宝されるでしょう。そのほか「アイブロウマイスター」などの資格を取得しておくと、専門知識が豊富であることの証明になるので、就職や転職が有利になります。
注意点として、「アイリスト」という呼び方が浸透していますが、実は、有限会社ローヤル化研によって「アイリスト」という商品名が商標登録されています。そのため、本来は許可なく「アイリスト」と名乗るのはNGであることも覚えておきましょう。
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アイリストとは?どんな資格が必要なの?|やりがいや向いている人などを徹底解説!
アイブロウリストとは? 仕事内容を紹介|アイブロウリストにはどんなスキル・資格が必要?
引用元:
一般社団法人日本アイリスト協会
一般社団法人ジャパンブロウアーティスト協会
美容師免許が活かせる5つの仕事
美容師免許が必須ではないものの、持っているとさまざまなシーンで活かせる仕事もあります。ここでは5つの職種と特徴について解説します。
ウィッグアドバイザー
ウィッグアドバイザーとは、店頭やウィッグの展示会などで製品をすすめたり販売したりする職種のことです。お客様が購入されたウィッグの調整や修理の受付など、サポート全般をおこないます。
ウィッグアドバイザーは、美容師免許がなくてもなれますが、調整や修理とあわせてスタイリングも担当するので、美容師免許があると有利です。
美容師の知識を活かし、高いセンスや技術でセッティングすることが必要な場面もあるでしょう。ひとりひとりに適切な対応が求められるので、コミュニケーション能力の高い人に向いています。
エステティシャン
エステティシャンとは、フェイシャルやボディなどに独自の施術をおこなう職種のことです。シミやソバカスにアプローチする施術をおこなったり、古い角質などを除去したりといった施術や、脱毛など、美容中心の施術のほか、受付や美容商品の販売などの業務もあります。
美容師免許を取得しておくと、専門知識を習得したうえでサロンに携わることができます。技術や知識が経験とともに高まれば、キャリアアップにもつなげられます。
理想的な給与やキャリアを目指すなら、「AJESTHE認定エステティシャン」や「上級エステティシャン」など、エステティシャンとしての資格取得もおすすめです。
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エステティシャンになるには資格が必要? エステティシャンを目指す方法や様々な資格を紹介
引用元:一般社団法人日本エステティック協会|AJESTHE認定エステティシャン
着付師
着付師とは、成人式や結婚式などにおいて、正しい和装を施す職種のことです。着付師を目指すなかで取得必須の資格はありませんが、着付け技能士と呼ばれる国家資格の取得もおすすめです。
国家資格なので取得によって信用度が高まり、就職や転職が有利になりやすいといったメリットがあります。
日本の伝統でもある着物について正しい知識が必要になるので、日本の文化について興味がある方や細かな作業が得意な人に向いています。
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着付け技能士の資格試験に必要な実務経験とは?どこで経験を積めばいいの?
美容部員(ビューティーアドバイザー)
美容部員とは、お客様の抱える肌の悩みをヒアリングし、実際にメイクをしながら商品を紹介する職種のことです。商品の検品やバックヤード業務といった裏方の仕事もおこなうこの職種は、別名をビューティーアドバイザー(BA)と呼び、百貨店やドラッグストア、化粧品専門店などが主な職場です。
美容部員は資格取得の必要がなく未経験でも働けます。しかし、美容師免許があると人体構造や美容知識といった深い知識を活かして働けるので、活躍が認められればキャリアアップにつながります。
なお、コスメブランドの美容部員として働く場合、ブランドや取扱商品などについて学ぶ必要がありますが、大抵は就職後に研修制度で学ぶことができます。
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【美容部員の仕事と給料】美容部員の給料や仕事内容は?|資格はいる?
美容ディーラー
美容ディーラーとは、美容師経験を活かして、サロンやスタイリストに使いやすいハサミを販売したり、お客様のニーズに沿ったシャンプーやカラー剤、美容設備など、美容商品をおろし売りしたりする職種のことです。
美容師としての経験を活かして働けるので、スタイリスト一人ひとりの視点に合わせた商品の提案ができるほか、美容師に向けて新商品の研修をおこなうことがあり、幅広く活躍できるやりがいの多い職種です。
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美容ディーラーの仕事内容を紹介! 美容師からの転職におすすめな3つの理由とは
美容師免許は国家資格!だからこそ活躍のチャンスが広がる!
今回は美容師免許が役立つ職種について解説しました。美容師免許は国家資格であり、ハードルの高い資格です。
しかし、取得によってサロンでのスタイリストとしてはもちろん、アイリストやアイブロウリストなど活躍の場が広がりやすいといったメリットがあります。
サロンによっては働きながら資格取得をサポートする制度やサポートを設けるケースもあるので、将来的に活躍の場を広げておきたい方は求人をチェックしてみるとよいでしょう。