美容師はブラックなの?ブラックと言われてしまう理由や美容室を辞めたいときの対処法について紹介

美容師はブラックだと言われてしまうことがあります。そのため、美容師を夢見る人のなかには、長く勤められるか不安を感じている人もいるかもしれません。美容師は本当にブラックなのでしょうか。

美容師の離職率から、ブラックといわれる理由、美容師をやめるときの注意点まで、詳しくご説明いたします。


美容師はブラック?離職率はどれくらい

厚生労働省が発表した令和4年上半期雇用動向調査結果によると、美容師を含む「生活関連サービス業・娯楽業」の離職率は10%です。この結果は突出して高いわけではありません。一方、令和3年に厚生労働省が発表した「新規短大等卒就職者の産業別離職状況」では、美容師の早期離職率が高いことがわかります。

美容師を含む「生活関連サービス業・娯楽業」を見ると、平成30年3月卒業の美容師が3年以内に離職する割合は、高卒で56.9%(前年比2.8%減)、大学卒は46.5%(前年比0.3%増)でした。

引用元
厚生労働省|令和4年上半期雇用動向調査結果の概要
厚生労働省 2 産業別の入職と離職の状況
厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況を公表します

美容師がブラックと言われてしまう理由

一般的にブラック企業とは、労働時間が長かったり、無茶なノルマやサービス残業があったりする企業のことですが、具体的な定義はありません。こちらでは、美容師の離職率が高くブラックと言われてしまう具体的な理由を5つ紹介します。

給料が低め

厚生労働省による令和4年賃金構造基本統計調査の結果によると、産業別の賃金(男女合計)で美容師を含む「生活関連サービス業・娯楽業」は27万1,600円で、全体のなかで2番目に少ない結果となっています。

なお、もっとも多いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の40万2,000円、一番少ないのは「宿泊業・飲食サービス業」の25万7,400円です。

美容師は仕事の後に研修や練習などがあり、職場にいる時間が長いため、時給に換算すると給料が低くなる可能性があります。

引用元:
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況

長時間労働で休みが少ない

美容室の営業時間はお客様の都合に合わせることがあり、施術が終わらなければ閉店後に残業する場合があります。また、一般企業の多くは土日祝日が休みですが、サービス業である美容室は、土日祝日は営業するのが基本のため、カレンダー通りの連休などは取得しづらいです。

このような現状が、美容師は残業が多く長時間労働になる、休みが少ないといったイメージにつながっている可能性があります。

一方で、人手不足などの理由から週休が1日しかない、休日出勤を強制する、有給休暇が取得できないといったサロンもあるかもしれません。このようなサロンへ就職・転職するのは避けたほうが無難です。

スタイリストになるまでが長い

美容師も技術を磨いてキャリアアップすれば、給料が上がります。美容師のキャリアパスは、アシスタント、スタイリスト、主任・チーフ、店長など。さらに独立開業や講師といった選択肢もあります。しかし、アシスタントからスタイリストになるだけでも、3~4年かかることも珍しくありません。

アシスタントは研修や練習のために勤務時間が長く、給料も安いのが現状。スタイリストになると、ひととおりの施術ができるようになりますが、その前に挫折して辞めてしまう人もいるでしょう。

上下関係が厳しい

後輩の美容師は先輩から技術を教わるため、いわば師弟のような関係。そのため、一般企業と比べると上下関係が厳しい傾向にあります。上下関係の厳しさは昔に比べれば緩和されているようですが、それでも新人に厳しい指導を行なっているサロンも少なくありません。

上下関係がはっきりした雰囲気に馴染めなかったり、厳しい指導に耐えられなかったりして、思い悩む美容師もいるでしょう。アシスタント期間が長くなるほど厳しい指導が続くため、ストレスが高まってしまいます。

肉体労働によって身体を壊してしまう

華やかに見える美容業界ですが、施術や掃除で休憩時間以外はほとんど立ちっぱなしなので、美容師の仕事は肉体労働だといえるでしょう。閉店後に施術の練習をすると、さらに立っている時間が長くなります。

また、アシスタント時代はシャンプーが中心になるため、前かがみの姿勢で腰に負担がかかって腰痛を引き起こすことも。腰痛に苦しんで美容師を辞めたいと思うアシスタントもいるようです。

他にも、水仕事で肌が乾燥しやすく、シャンプー、パーマ液、カラー剤などが直接肌についてしまうこともあるため、肌荒れに悩む美容師も少なくありません。


美容室を辞めたいときはどうすればいい?

自分に合わない職場で働き続けることは、肉体面だけでなく精神面に大きなダメージを与えるので、今の職場が辛いのであれば辞めるのも選択肢のひとつです。こちらでは、美容師を辞めたいときの対処法を紹介します。

転職を考える

給与、労働時間、キャリアアップなどが悩みの場合は、転職で職場環境を変えるのも手です。美容業界での転職であれば、転職で自分のスキルや能力を発揮できるでしょう。美容師が転職する方法にはふたつあります。

別のサロンへ転職する

労働環境は美容サロンによって異なるため、別のサロンに転職することも検討しましょう。職場環境が変わると、給与・労働時間・キャリアアップなどの悩みや不満を解決できる場合があります。

美容サロンは、大きく分けて大手チェーン店と個人サロンがありますが、大手チェーン店は研修制度を整えていることも多く、キャリアアップしやすい傾向にあります。また、福利厚生も充実している傾向にあり、賞与や各種手当、特別休暇などを設けている可能性があります。

別の職種や業界へ転職する

立ち仕事で体調を崩したり、肌荒れに悩んだりしている場合は、別のサロンに転職しても問題が解決しないかもしれません。その場合は、美容師としてこれまで培ったスキルや知識を活かせる別の職種や業界に転職するのも手です。

美容師の資格を活かすなら、アイリストへの転職があげられます。アイリストが行なうまつ毛への施術は、美容師資格が必須だからです。その他、接客スキルやコミュニケーションスキルを活かせるエステティシャン・美容ディーラー・ネイリスト・営業職なども向いています。

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独立を考える

労働時間や給料に不満がある場合は、独立する方法もあります。独立して自分で美容サロンを開業すれば、自分のペースで働くことが可能です。

また、独立すれば売上から経費などを引いた金額が自分の利益、つまり給料になるため、働き方次第では雇用されていたときよりも収入が上がる可能性があります。

ただし、独立開業するためには、開業資金や経営知識が必要です。顧客が得られなければ収入がゼロになる可能性もあります。将来的に独立を考えている場合は、まずは別の美容サロンに転職し、働きながら資金準備と経営の学習を進めるとよいでしょう。

アシスタントで辞めても大丈夫?

アシスタントはまだ美容師として半人前のため、もう少し待ったほうがよいのかと悩む人もいるかもしれません。しかし、転職でキャリアアップや給料アップを目指すためには、転職するタイミングが重要です。こちらでは、アシスタントで辞めても大丈夫かと、辞めるときのポイントを説明します。

アシスタントで辞めても法的な問題はない

雇用期間に定めがない限り、アシスタントで辞めることにも法的になんの問題もありません。民法第627条第1項にて、労働者には自分の意志で仕事を辞める権利を認めているからです。なお、退職を申し出てから2週間が経過すると雇用関係が終了します。

ただし、急に仕事を辞めると、顧客や同僚に迷惑をかけてしまうかもしれません。業務の引き継ぎ期間も考えて、できれば半年以上、遅くても1カ月前には退職を申し出るのが望ましいでしょう。

引用元:
e-Gov法令検索 民法

アシスタントを辞める前に考えよう

アシスタントは学びの時期のため、アシスタントの状態で転職すると、中途半端な状態で新たな環境で働くことになります。

美容サロンには独自のカリキュラムがあるため、アシスタントとして転職するとゼロからのスタートとなる場合があり、その分スタイリストになる時期が遅くなってしまうことも。少なくとも、カットができるようになってから転職したほうが、スタイリストへの道が早まるでしょう。

ただし、サロンの職場環境や待遇が悪い場合は、アシスタントであっても転職したほうがよいかもしれません。この場合は、応募する前に転職先の情報をしっかりと収集しておきましょう。

辞めるときははっきりと前向きに伝えよう

労働者には辞める権利があるため、労働者の意思に反して会社に引き止めておくことは違法行為にあたります。しかし、実際には引き止められることも少なくありません。

社員が辞めてしまうと人手不足で業務に支障が出やすくなりますし、新たに社員を雇用すると時間とお金がかかるからです。

迷っている状態で退職を伝えると、引き止められたときに気持ちが揺らいで、結局辞められないといった状況になりかねません。退職を申し出るときは、これからやりたいことがあるなど前向きな理由を明確に伝え、辞めることは自分のなかで決まっているという姿勢を見せましょう。

どうしても辞めたいときは別の美容室への転職も考えよう

美容師がブラックと言われてしまうのは、長時間労働で休みが少ない、肉体労働にもかかわらず給料が低めなどの理由が考えられます。仕事を辞める権利は法律で保障されているので、サロンの職場環境や待遇に満足できない場合は、別のサロンやスキルや能力を活かせる業種・職種への転職も検討してみましょう。


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