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最新データから読み解く!美容室・ヘアサロンの現状と傾向

美容サロン業界全体(美容業、理容業、ネイルサロン、エステサロン、リラクゼーションサロンなど)の売上高は3兆1085億円、働く人の数は83万人あまりと考えられています。そのうちの約半分、1兆5000億円を占めているのが美容業(美容室)です。

美容室は空前の出店ブームが続いており、今年も店舗数・美容師数ともに過去最高を更新する見込みです。その一方、業界売上高は年々縮小してきており、一説には開店後3年間の閉店率が9割に達するといわれています。今回は最新の各データから業界を読み解き、客観的な現状と傾向をみてみました。

毎年1万店舗が新規オープン! 「サロン生存率」は正しい?

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美容室は過去5年間で毎年約3,000店舗ずつ増えてきています。2016年は246,000店舗と見込まれ、過去最高数を記録。コンビニストア14チェーンの総店舗数56,700の4倍にも上ります。しかし、3,000店舗ずつ新規出店しているわけではありません。

美容室の新規オープン数は2015年度で12,574とみられています。3,000店舗ずつ増えているのは、ここから閉店(または移転)した店舗数を引いた結果です。2015年度は、総数で3,436増えていますので、9,138店舗が閉店・移転したことになります。また、美容業の年間総売上高は減少を続けています。

・2014年:1兆5285億円
・2015年:1兆5220億円
・2016年:1兆5146億円(予想)

しかし、総店舗数はその間も年に3,000以上増え続けました。「マーケットは縮小しているのに、競合者は増えている」という、二重の厳しい状況であることが伺えます。売上高の減少は、顧客数だけでなく、客単価が下がっている(来店の長期サイクル化、低価格化)ことも要因となっています。

話題になった「サロン生存率」という説では、「開店1年以内に60%のサロンが閉店し、3年以内に90%が閉店する」といわれていました。データから推測してみましょう。3年間の出店数約34,500に対して、閉店数は26,000なので、概算ですが、閉店確率は「84%」になります。近いですね。

美容師数も過去最高を更新。ただし新規就業者は減少

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2016年、美容師数は前年より9,061人増加し496,697人と過去最高です。新たに免許を取得した人は19,005人、その分、約10,000人が辞めたことになります。また新規免許数は、2005年度の29,452人をピークに、年毎の増減はありますが、減っています。

美容師の離職率は3年以内で72%といわれ、またアシスタントからスタイリストにデビューするまでの期間も、「入店後3年」が60%ともっとも多くなっています。店舗と同じように美容師も、「最初の3年間を生き残れるかどうか」が分かれ目になるようです。

美容師は増加しているとする厚生労働省のデータでも、青森、埼玉、福井、長野、三重、京都、兵庫、山口、熊本では減少しています。減少数のトップ3は京都(-749人)、三重(-263人)、兵庫(-198人)とすべて近畿圏になっています。入った人数よりも辞めた人が多かったことになります。

一方、東京(+2,721人)、神奈川(+1,548人)、大阪(+1,073人)では計5,342人増えており、増加数全体の59%を占めています。さらに愛知(+963人)、福岡(+813人)を加えると79%、8割近くが1都1府3県に集中していることがわかります。

その理由のひとつは、「見込み顧客数が多い」こと。女性の人口1,000人あたりの美容室数(=美容師数)でみてみると、東京(44位)、神奈川(47位)、大阪(40位)、愛知(43位)、福岡(38位)と軒並み下位層になります。相対的には不足しているのです。逆に上位3県は、秋田、徳島、山形です。

顧客の側からみた美容業。男女、年代ではっきりした特徴

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1 2015年と比べた美容室の利用率

・女性:20代、30代で低下。40代は上昇
20代の87.9%→84.9%(-3.0)、30代の87.0%→84.9%(-2.1)が目立ちます。40代はその中で、86.4%→87.6%(+1.2)と増えています。50代、60代はほぼ横ばいです。

・男性:20代が大きく上昇。また50代、60代も上昇傾向
20代は44.0%→56.0%(+12.0)も上昇。30代は47.0%→43.5%(-3.5)、40代は25.5%→23.5%(-2.0)と低下。一方、50代14.5%→16.5%(+2.0)と60代5.5%→8.0%(+2.5)は増えています。

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株式会社リクルートライフスタイル ホットペッパービューティーアカデミー調べ

2 施術別売上高の推移

さきほど美容業界全体の売上高は減少していると紹介しましたが、「パーマネント」、「カット」、「セット」、「その他」の施術別でみてみましょう。各施術とも減少していますが、なかでもパーマネント(75億円減、-2%)がもっとも大きく下がっています。

・2014年:パーマネント3,730億円、カット2,937億円、セット583億円、その他8,035億円
・2015年:パーマネント3,695億円、カット2,930億円、セット580億円、その他8,015億円
・2016年:パーマネント3,655億円、カット2,917億円、セット577億円、その他7,997億円(予想)

3 2015年と比べた各施術の利用率

・女性:主要サービスが軒並み低下
カット98.0%→97.8%(-0.2)、カラー46.2%→45.3%(-0.9)、パーマ23.2%→20.6%(-2.6)と主要サービスが低下しています。さらに3年前と比較すると、カット98.4%→97.8%(-0.6)、カラー51.5%→45.3%(-6.2)、パーマ27.3%→20.6%(-6.7)と低下していることがよりあきらかになってきます。

逆に上昇しているのが、縮毛矯正・ストレート、エクステ、トリートメント、ウィッグ、ポイントメイク、フェイシャルエステ、着付け、眉カット・カラー、増毛、ヘアセット、ネイル、まつげパーマ・エクステ(すべて美容室での施術によるもの)です。

3年間の動きでみると、トリートメント21.5%→31.9%(+10.4)、ヘッドスパ8.4%→13.2%(+4.8)、ヘアセット6.9%→11.2%(+4.3)が目立ちます。また上昇率では、エクステ0.8%→1.6%(+100%)、眉カット・カラー2.4%→4.1%(+70.8%)が倍増しています。
  
・男性:カラー以外、すべての施術で利用率が上昇。ただし40代は谷間の世代。
男性はカラー15.8%→15.2%(-0.2)以外、すべて利用率が上昇しました。特に縮毛矯正・ストレートが3.3%→9.6%(+6.3)に伸びています。カラーは3年間でみると、23.6%→15.2%(-8.4)と需要が減っていることがわかります。

上昇率では、エクステ0.7%→4.4%(+528.6%)、ウィッグ0.7%→4.1%(+485.7%)、縮毛矯正・ストレートが3.3%→9.6%(+190.9%)、ポイントメイク1.5%→4.1%(+173%)、着付け1.5%→4.1%(+173%)、ネイル1.8%→4.4%(+144%)、まつげパーマ・エクステ1.8%→3.8%(+111%)が倍増以上です。

年代別でみてみると、カラーとパーマは20代(17.9%、14.3%)と50代(15.2%、18.2%)が他の世代に比べ、高い使用率を示しています。縮毛矯正・ストレートは20代(14.3%)。30代は、エクステ(8.0%)、ポイントメイク(8.0%)、ネイル(6.2%)、まつげ(9.6%)で、高い利用率をみせています。

40代は総体的に利用率が低いのが特徴です。例えば、パーマネントは0%(2015年は2%)。30代の6.9%、50代の18.2%と比べて数値が低すぎます。逆に考えると、40代の需要を掘り起こせれば、新たなビジネスチャンスが生まれます。トリートメントは50代(27.3%)が圧倒的に高い利用率を示しています。

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株式会社リクルートライフスタイル ホットペッパービューティーアカデミー調べ

まとめ

美容業界は、美容室数、美容師数がともに最高数を記録している一方、顧客数の減少、低価格化、利用率の低下と市場自体が縮小している、非常に厳しい業界です。しかしまだ、需要はあるのに掘り起こされていない顧客層もありそうです。

ひとつは男性客。男性は店舗、各施術の利用率で上昇しつつあります。ただし各年代で志向が分かれているので、全年代に対応するのか、またはある年代に絞るのかはお店のコンセプトとも関わってきます。さらに、40代の利用率を上げることもポイントとなるでしょう。

もうひとつは高齢客。今後日本の人口は減少し続けていきますが、高齢者だけは大きく増加、2025年には65歳以上が3,500万人を突破し、3人にひとりとなります。しかも60代女性が年間12回以上美容室へ行く割合は15.5%(20代女性は3.0%)と支出額でも見逃せない特徴をもった顧客層です。

・「平成26年度衛生行政報告例の概況」厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/14/)
・「美容業概要」厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei03/06.html
・「サービス産業動向調査 平成26年及び平成27年拡大調査結果(速報)の公表」総務省
http://www.stat.go.jp/data/mssi/kekka/pdf/k2015s.pdf
・「コンビニエンスストア統計データ」一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会
http://www.jfa-fc.or.jp/particle/320.html
・「美容師の社会的スキルレベルと離職の関連性」日本大学大学院総合社会情報研究科 松本啓子氏
http://atlantic2.gssc.nihon-u.ac.jp/kiyou/pdf13/13-287-298-MatsumotoK.pdf
・「理美容市場に関する調査を実施(2016年)」株式会社矢野経済研究所
http://www.yano.co.jp/press/pdf/1524.pdf
・「美容センサス2016年上期報告書 15~69歳男女の美容サロン利用実態」株式会社リクルートライフスタイル ホットペッパービューティーアカデミー
http://hba.beauty.hotpepper.jp/wp/wp-content/uploads/2016/06/cencus_fullreport_2016DM.pdf
・「新規免許登録件数」公益財団法人理容師美容師試験研修センター
http://www.rbc.or.jp/2006/11/post_5.html

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