多様化するメンズヘアトレンドとは? メンズのヘアカタログの現状を探る #2
前回、突如登場した1サロンにフォーカスを当てた新感覚のヘアカタログをご紹介しましたが、既存のヘアカタログにも新しい潮流が生まれており、見どころが満載です。
そこで、今回はヘアカタログから見えてくるメンズヘアシーンの最新トレンドに迫ります。
自分で次にトライするヘアスタイルを探したり、美容師がお客さんのなりたいイメージを具現化するのをアシストしたり、形は様々ですが、「髪を切ろうと思った人のためのヘアスタイルサンプル」という側面がヘアカタログ本来の役割であり、それは今も変わっていません。女性に比べてレングスが短い男性の髪型にあって、スタイルの幅が少ないと思われがちですが、そんなことはありません。
そこで、多様化を見せるメンズヘアのトレンドを、ライター目線でもう一歩踏み込んだ形でキーワードごとにピックアップしていきます。
キーワード1:時代の空気を反映したワードからインスパイアされたスタイル
ここ数年、ファッション誌などでよく見かける「スタンダード」や「ベーシック」、あるいは少し前になりますが「ノームコア」や「エフォートレス」という言葉。メンズヘアでは、これらのワードをエッセンスとしてヘアに落とし込むことが大きな流れとなっています。もっとも象徴的なのが今や定番となったマッシュベースのコンパクトなフォルムやナチュラルな質感です。スタイリッシュで洗練された空気感が備わり、幅広いテイストのファッションと相性抜群。さらにはビジネスシーンでも対応可能とあって人気を集めています。
キーワード2:対極要素のミックスが時代が求める「こなれ感」を生む
「カジュアルなのに清潔感がある」、「ショートとミディアムの中間」、「丸いフォルムにシャープな束感をプラス」など、対極の要素をミックスして中間に着地させたスタイルが、現在のヘアカタログには多く見られます。そんな掛け合わせから生まれるのはちょうど良い「ヌケ感」とおしゃれな佇まいを演出するのに不可欠な「こなれ感」。男女問わず好感度が高いことも人気の秘密です。トレンドを細分化し、わかりやすくカテゴライズするというヘアカタログの作りそのものが、この自由にミックスする感覚によって新たな局面を迎えそうです。
キーワード3:男らしさを全面に打ち出したスタイル
バーバー人気は今なおとどまることを知りません。むしろ勢いがさらに加速し、新しい男性の社交場として定着している感もあります。それに伴い、持ち味であるタフでラギットなフェードスタイルや、プルデンシャルカットと呼ばれるクラシックなヘアスタイルが根強い人気を誇ります。このシーンからインスパイアされたスタイルを提案する美容師も多いことからも、トレンドの広がりを感じさせます。
ヘアカタログは美容師と感覚をセッションするパイプ役
ヘアサロンへ足を運ぶということは表面的には髪を切ってもらいに行く行為がですが、Vol.1でも書きましたが、美容師が持つ感性と自分の持っている感性をヘアスタイルを媒介としてセッションしに行く場もあるのです。ヘアカタログには多くヘアスタイルが掲載されており、それはさまざまなコンセプトのヘアサロンによる、多種多用な価値観を持つ美容師たちの手によって作られます。
「自分の感性に響く美容師がいて、髪をカットしてもらう」。
あくまで日常の中の一コマかもしれませんが、でもそれは自分の感覚が磨かれる幸せな瞬間でもあります。次にトライするヘアスタイルを是非ともヘアカタログから見つけてみてください。
取材・文/橋本裕一
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