ジェルネイルのオフに使うアセトンの注意点や正しい使い方を解説|アセトン以外のネイルオフの方法も紹介
ジェルネイルのオフに使うアセトンについて、しっかりとした知識をもっているネイリストは多いでしょう。アセトンは使用の仕方をまちがうと事故につながりかねない溶剤でもあります。
アセトンの正しい知識を身につけるとともに、アセトン以外のネイルオフの仕方もチェックしておきましょう。
ハードジェルとソフトジェルのオフの仕方の違い
ネイリストであれば当然の知識ではありますが、本題に入る前に一度ネイルオフの仕方の違いをハードジェル、ソフトジェルともにそれぞれ確認しておきましょう。
なお、ハードジェルとソフトジェルの違いやそれぞれのメリット・デメリットに関しては以下の記事で詳しく解説しています。
ハードジェルとソフトジェルの違いとは?それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説
ハードジェルのオフは基本的に削る
ハードジェルは硬化するととても硬く、強度がでるのが特徴です。そのため、オフの際は基本的にファイルやフィニッシャーで削り、溶剤などの薬剤は使用しません。
薬剤による爪や皮膚へのダメージがないというメリットがある一方で、オフのたびに爪を削らなければならないことで、回数を重ねるごとに爪が薄くなってしまうというデメリットがあります。
ソフトジェルは溶剤でふやかしてとる
ソフトジェルはハードジェルに比べて柔らかく、全てを削ってオフをするのには向きません。そのため、基本的にアセトンという溶剤を使ってふやかしてからとります。
ジェルネイル部分を削るという、高い技術力が必要な工程がないため、セルフでのオフも可能。削りすぎによって爪が薄くなるというリスクも、ハードジェルに比べるとあまりありません。ただし、溶剤によって爪や皮膚が乾燥し、肌荒れを起こしたり二枚爪になったりすることがあるというデメリットもあります。
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そもそもアセトンとは?
ソフトジェルやスカルプネイルのオフに使用する溶剤の主な成分はアセトンで、その含有量は60~90%にあたります。そのため、一般的に溶剤そのものをアセトンと呼ぶことが多いです。アセトンは取り扱いに注意が必要な物質で、間違った使い方をすると事故につながることもある成分。そのため、しっかりとアセトンの特性を知っておく必要があります。
危険物に指定されている刺激の強い溶剤
アセトンは有機溶剤に分類され、水にも油にも溶けるという性質をもっています。とても揮発性が高いのが特徴で、一定濃度以上の取り扱いには危険物取扱者の資格が必要です。
ネイルオフに使用する溶剤はアセトン以外の成分も含まれるので、取り扱いに資格は必要ありませんが、そういう危険もあるということは頭に入れておきましょう。また、アセトンはポリッシュ用の除光液にも含まれていますが、ジェルネイルオフに使用する溶剤ほどの濃度ではないため、ジェルネイルのオフには使えません。
アレルギーの原因にも?施術前の確認
ジェルネイルに含まれる成分で、アレルギーが起こることがあります。ジェルネイルでアレルギー症状が出る原因はひとつではなく、これまでなんともなかったお客様が突然発症することも。ネイルの成分や硬化ライト、道具やクリーナーなどさまざまな要因が考えられるため、なかなか特定するのが難しいのが実情です。
また、アセトンによってアレルギーに似た症状がでることもあります。アセトンには強い脱脂性があるので、油分不足から肌荒れやかゆみ、場合によって痛みなどがでることも。
アセトン自体にアレルギーを引き起こす作用はないとされていますが、指先の水分や油分を取り去ってしまうことから、バリア機能が働かなくなることが原因という見方もあるようです。
再確認しよう! アセトンを使う時の注意点
アセトンは除去力が高いため、むやみに使うと肌や爪にダメージを与えてしまいます。それ以外にも体に危険を及ぼす場合もあるため、使うときには、以下のようなポイントに注意しなければなりません。
①火気厳禁!
アセトンの特徴として、高い揮発性と強い引火性が挙げられます。空気中に蒸発する速度が速いうえにマイナス20℃でも引火するので、アセトンを使用する際は火気厳禁を守りましょう。
アセトン使用中に同じ部屋で料理をされたりタバコを吸われたりするのも危険ですので、まったく火気のないところで使用するようにしてください。
②換気をしっかりおこなう
揮発したアセトンが引火するのを防ぐために換気をするというのもありますが、アセトンを長時間使用していると、目の痛みやめまい、吐き気などを感じることがあります。使用するときには換気をしっかり行なう必要があります。
揮発したアセトンは空気よりも重く、足元にたまりやすいという特徴があります。大人より床に近い、小さいお子さんやペットがいる家庭などでは、特に注意が必要です。
③頻繁に使用しない
アセトンは爪や指の水分や油分を取り去る作用があるので、使いすぎると爪や指がダメージを受けてしまいます。爪が白く濁ったり割れてしまったり、二枚爪になってしまったりすることもあるのです。
アセトンを過剰に吸い込むことで、頭痛や喉の痛み、気管支炎の発症などの健康被害が起こる可能性もあります。アセトンの使用は、週1回を目安にすることをおすすめします。
④使用後はハンドケア&キューティクルオイルを
アセトンリムーバーの使用後は、指や爪をしっかり洗ってアセトンを洗い流しましょう。爪や指の乾燥を防ぐために、キューティクルオイルやハンドクリームなどを使ってこまめなハンドケアを行なうようにしてください。
ネイルケアのやり方やメリットは以下の記事も参考にしてみてください。
ネイルケアってどんなことをするの? ケアをおこなうメリットとは?|セルフケアのやり方を紹介
アセトンを使わない4つのネイルオフ方法
アセトンによるトラブルを防ぐために、カウンセリングではこれまでアセトンで肌トラブルが起きたことがあるかなどのヒアリングをしっかりおこなうことが大切です。
また、もし過去にアセトンによってなんらかの肌トラブルがあったお客様には、アセトンを使わない方法を提案するようにしましょう。ここでは、アセトンを使わないオフの方法を4つ紹介します。
①ノンアセトンリムーバーを使う
アセトンでアレルギーのような症状がでたことがあり、アセトンが使えない方におすすめの方法です。ノンアセトンリムーバーは、アセトンに比べると爪に優しく、匂いが少ないのが特徴です。通常のポリッシュであればノンアセトンリムーバーで落とせます。
しかし、残念ながらジェルネイルはノンアセトンリムーバーでは落とせません。濃いカラーのポリッシュもノンアセトンリムーバーでは落としにくくなります。
ノンアセトンリムーバーも化学製品には変わりないので、アセトンリムーバーと同様に、頻繁に使いすぎると爪が傷んでしまいます。
レントナーリムーバーを使う
レントナーリムーバーは、ノンアセトンリムーバーの中でもおすすめのリムーバーのひとつです。ツンとした刺激臭がなく、不燃性で不揮発性なので、コットンに含ませても蒸発せずに、何度もつけなおす必要がなく経済的です。
大豆由来やオレンジ由来の植物油成分が使われているので、爪のトリートメント効果があり、爪まわりの乾燥を防ぎ、ささくれや傷にしみることもほとんどありません。
アセトンリムーバーも、ノンアセトンリムーバーもそれぞれメリットやデメリットがあります。上手に使い分けながら、できるだけ地爪に負担のかからないような工夫をしてください。
②エタノールを使う
消毒用エタノールを使ってジェルネイルを落とすこともできます。まずネイルファイルを使ってジェルネイルだけを削っていきます。グリッドが80~100程度の目の粗いネイルフィルを使うとよいでしょう。ソフトジェルネイルの種類によっては削らなくてもエタノールを使える場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
次に、コットンを爪の大きさにカットしてエタノールを含ませ、爪の上に乗せます。指先全体をアルミホイルで巻いて5~10分置くとジェルが浮いてきます。浮いたらプッシャーを使ってきれいに取り除いていきます。
③無水エタノール+エッセンシャルオイル
エッセンシャルオイルに含まれるα-ピネンには除光液と似たような作用があり、ネイルオフにも使えます。α-ピネンが含まれるエッセンシャルにはヒノキやサイプレス、パインやマトルなどがありますので、使う前に成分をよく確認しましょう。これらのオイルを無水エタノールで希釈すると、除光液として使うことができます。
④マシンを使う
リムーバーを使わずに、ネイルマシンを使ってネイルを落とす方法もあります。ネイルを削りとる電動ネイルマシンが多いのですが、最近ではスチームを当てて浮かせて落とすマシンも登場しています。どちらのマシンでも、短時間で簡単にネイルオフが行なえます。
電動ネイルマシンの回転部分が肌に触れると、痛みを感じたりケガをしたりする恐れがあります。強く皮膚に当てると出血する可能性もあるので、電動ネイルマシンを使うときは、爪や肌に当てないように気をつけてください。
フィルイン(一層残し)という手もアリ
アセトンを使わずにジェルネイルをオフにする際は、「フィルイン(一層残し)」という方法も有効です。ネイルの下地であるベースの部分を残すため、爪への負担を軽減できます。
フィルインでネイルをオフするには、ネイルをするときにある程度しっかりとしてベースを作っておく必要があります。ビルダージェルでしっかりとした土台を作ってからジェルネイルを施しておきましょう。
フィルインを行なうときは、100~150ほどのヤスリで、ベースが見えるくらいまでトップジェルやカラージェルを削ります。ベースが見えてきたら、目の細かいヤスリで表面を整えながらカラージェルを落としていきましょう。
フィルインはプロのネイリストならうまくできても、自宅でセルフオフするにはなかなか難しい技術でもあります。次に塗るジェルの仕上がりが悪くなったり、削りすぎて爪を傷めたりする恐れがあります。
すべてのジェルがフィルインに向いているわけではありませんので、使用するジェルのメーカーサイトなどでフィルインを推奨しているか調べておきましょう。
意外とやりがち?!間違ったオフの方法
ネイリストにとって、ネイルオフの正しい方法ややってはいけない行為などは当たり前の知識ですが、セルフネイルが一般化してきた昨今においては、お客様が間違った方法でオフをして来店される可能性もあります。
お客様へ注意喚起をしたり、トラブルへ迅速に対応したりするためにも、知識がない人がやりがちな失敗を知っておき、頭に入れておきましょう。
①無理にはがす
さまざまな原因で、ジェルネイルが浮いてくることがあります。浮いてくると気になって力を加えてしまったり、無理に引きはがそうとしてしまったりする方がいるかもしれません。また、セルフでネイルオフをしていた際、柔らかくなっていないのに力まかせにはがしてしまう方もいます。
たとえ浮いたジェルネイルでも、無理にはがすと爪にかなりの負担がかかってしまい、場合によっては、地爪の層まではがれてしまう恐れがある危険な行為。お客様には正しい知識をお伝えするとともに、できるだけサロンでネイルオフしていただくよう促しましょう。
②除光液でオフする
ネイルの知識がない方がやりがちな失敗として、ジェルネイルを除光液で落とそうとしてしまうことがあります。ポリッシュ用の除光液にもアセトンが含まれますが、ジェルネイル用の溶剤に比べて濃度が足りないため、ジェルネイルはオフできません。
たくさん使っても落ちないうえに爪へのダメージになってしまうため、除光液では落とせないことをしっかりお伝えするようにしましょう。
③オフの時アセトンを使わずに削る
ハードジェルのオフの要領で、ソフトジェルを削って落とそうとするのも間違い。ソフトジェルは柔らかいため、自分でファイルでオフしようとすると地爪まで削ってしまうリスクが高まります。
ソフトのオフのときに溶剤が沁みやすいよう、表面に傷をつけるために削りますが、ジェルネイルをオフするほどの深さで削るのはやめるようにアドバイスしましょう。
おさらいしよう|正しいソフトジェルネイルのオフ方法
それでは、ソフトジェルネイルの正しいオフの方法を再度確認していきましょう。オフをはじめる前に必要な道具はあらかじめ準備しておくのがおすすめです。
ジェルネイルのオフのやり方や注意点などは以下の記事も参考にしてください。
ジェルネイルは自宅でオフできる?ジェルネイルのセルフオフのやり方と知っておきたい注意点を紹介
①表面に傷をつけて溶剤をしみ込みやすくする
ジェルネイルの表面に傷をつけ、溶剤がしみ込みやすいようにします。あくまで溶剤をジェルネイルにしみ込ませるためなので、ざらざらとした感触になるよう傷をつける程度にとどめましょう。
②リムーバーを含んだコットンを爪にのせる
リムーバーをしみ込ませたコットンを爪にのせていきます。爪一本ずつに一枚のコットンをのせましょう。アセトンの量が少ない場合、すぐに蒸発してしっかりふやかすことができないため、ひたひたにしておきます。
慣れないうちはアセトンを入れた容器にコットンを直接浸けるというやり方をするのがおすすめです。
③爪をアルミホイルで巻いてアセトンをなじませる
コットンをのせた指をアルミホイルで巻いていきます。アルミホイルを巻くのは、アセトンが蒸発するのを防ぐためです。できるだけ隙間を作らないようしっかり巻きます。アセトンをしみ込ませるためになじませる必要があるので、10~15分放置しましょう。
④ウッドスティックではがす
ジェルネイルが柔らかくなって浮いてきたら、ウッドスティックやプッシャーを使ってネイルをはがします。軽くこすれば落ちるはずですが、落ちない場合はしっかりふやけていないと考えられるため、再度アセトンをしみ込ませたコットンをのせてアルミホイルで巻き、放置する工程を繰り返しましょう。
⑤爪やすりで仕上げる
ジェルネイルを落とし終わったら、仕上げをしていきます。最後に少しだけ残ったネイルや凹凸をならすように、表面をファイルで優しく削ってきれいにしたら完了です。
正しい知識でネイルオフ|お客様に合わせて適切なオフの仕方を提案しよう
ネイルオフはハードとソフトでやり方が違います。アセトンを使ったソフトジェルのオフはセルフでもできますが、お客様が正しい知識をもってできているとは限りません。
また、間違ったネイルオフのやり方で爪に重大なダメージを及ぼす可能性もあるため、セルフネイルやオフに興味があるお客様には、しっかりと知識をお伝えすることも大切です。
また、肌が弱い方やアレルギーに似た症状がでたことがあるお客様には、アセトン以外の方法を提案し、ネイルを楽しめるように導きましょう。
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引用元
アセトン|厚生労働省