本当に伝えたいことがあるからブレずに進む【ヨガインストラクター 芥川舞子さん】#2

ヨガインストラクターとして、雑誌や講演、CMなどメディアでも活躍中の芥川舞子さん。大切にしている「生活になじむヨガ」を伝えるため、大手ヨガスタジオの講師を経て、ヨガスタジオをオープン。育成にも力を入れています。

後編では、スタジオ運営で大切にしていることや、コロナ禍で始めた新たな挑戦、子育てとの両立についてお聞きします。

独立という選択。大切にしていることを貫くために

──LAVAでのインストラクターを経てフリーになった理由を教えてください。

LAVAでは、インストラクターとして本当にたくさんの経験を積ませてもらいました。自分で集客しなくても何十人も生徒さんが集まり、いろいろなトライをさせてもらえたのは、会社の後ろ盾があったからこそ。その反面、レッスンには毎回違う人がくるので、一緒にヨガを深めていくことができず、徐々に物足りなさを感じるようになっていきました。

それを埋めるには、継続的な関係性を築ける場が必要であると考え、自宅で少人数制のレッスンを始めたんです。少人数で教えるのは初めての経験でしたが、一人一人の生徒さんとしっかり向き合うことができて、まさに望んでいたシステムでした。

──初めてフリーで教えるようになって、大変だったことはありますか?

やはり、自分で集客して、レッスンのスケジュールを組んで、片付けもしてと、全て自分でやる大変さはありました。経営のノウハウなんて何も知らないので、本やネットの情報を片っぱしから調べて模索しました。初めは金銭面でのリスクを極力減らすため、確実に人が集まる曜日と時間に絞ってレッスンを開催。ただ、LAVAで出合った生徒さんたちがもっとヨガを深めたいと集まってくれたので、どんどんクラスが増えていきました。

自分のヨガを極めるヨガスタジオをオープン

肩や腕、脚など全身を伸ばす「半分の鳩」のポーズ

──生徒さんが増えると、自宅では手狭になりますね?

まさにそうで、広いスペースが必要になり、自宅からレンタルスタジオに切り替えて開催するようになりました。ところが、そのレンタルスタジオが閉店してしまって。あらためて収支を試算して、今の生徒数ならスタジオを賃貸したほうがいいと判断し、自分のヨガスタジオをオープンしました。

──本格的に経営をすることに不安はありませんでしたか?

すごく勇気がいりましたね。もともとすごく前向きにというより、必要に迫られたという感じでしたし。ただ、オープンにあたり、私は借金をしてまで経営したいんじゃなくて、ヨガを伝えたいんだという軸ははっきりしていたので、個人でやれる範囲でやっていけば大丈夫と腹をくくりました。

また、オープンを機にティーチャートレーニング講座も始めました。私自身インストラクターになってしばらくの間、教えることと自分のためのヨガの狭間に悩んだ経験があったので、いつか育成にも携わりたいと思っていたんです。人を育てるには講座の質もより高めていかなくてはいけないので、夫や講師歴30年を超える夫の母に参加してもらい、取り組んでいます。

コロナ禍で今までにない新しいスタイルにも挑戦

ティーチャートレーニング講座で使用している
オリジナルのテキスト

──自分のスタジオを持ったことで、より理想のヨガに近づけるようになりましたか?

育成も始めたことで、自分の人生にヨガを生かしたい人、すでに先生として活躍している人が、より深くヨガを学ぶためにきてくれるようになりました。これまでの経験を余すことなく生かせて、すごく充実していますね。もちろん、初心者の方もOKですよ。

──この1年はコロナ禍でレッスンを行うのも大変でしたね?

一回目の緊急事態宣言のときは休校にして、レッスン自体はオンラインに置き換えて継続しました。デジタル機器は詳しくなかったので、より安全なアプリケーションを使うなど、ゼロから調べて自分たちのスタイルをつくっていきました。状況を見ながら、対面のレッスンもマスク着用で再開していきましたが、ヨガは呼吸が重要なので、なかなかキツイですね。

再びメディアにも登場。私らしくヨガを伝えていく

──スポーツブランドのアンバサダーをはじめ、メディアへの登場も積極的に行っていらっしゃいますね。

私自身が消費者として商品やサービスを見た時、知名度のある人がスポークスマンをしてくれていると、安全だな、納得できるな、と感じることが多いので、そういった活動でヨガの普及に役立てたらと思っています。ヨガをするため、モデルの仕事をやや中途半端に辞めてしまっているので、表現する仕事をあらためてしっかりやりたいという気持ちもありますね。

「完璧じゃなくていいこと」を教えてくれた家族の存在

ヨガを始めてから揺らぎやすかった肌も健康になったそう

──ヨガのキャリアを積みながら、育児にも邁進。両立は大変でしたか?

出産した時はまだインストラクターとしても経験が浅かったですし、ヨガのインストラクターで産休から復帰した例もほとんどありませんでした。ヨガにきちんと向き合って結果を出したいという気持ちが強かったので、産後3カ月で体を絞って復帰しました。

ただ、子育てもきちんとやりたいけれど、自分の人生の目標も手放したくなかったので、結果的にどちらも中途半端になってしまう時期があって、すごく悩みました。乗り切れたのは、両親をはじめ周囲の手助けがあったから。あとは、そういう日々をすごしたことで「完璧にできなくていい」とふっきれたことも大きいですね。

──お子さんもヨガに関心をお持ちですか?

子どもは中学生になりましたが、ヨガに興味はないようです(笑)。でも私がそうだったように、親が大事にしていることは何となくわかっているはず。ヨガでなくてもそうでなくても、自分と向き合う術を持つことの大切さが、いつか伝わればいいなと思います。

──今度の目標を教えてください。

レッスンやメディアでの活動を通じて、一人でも多くの人にヨガを人生のエッセンスとして取り入れてもらいたいですね。練習の時間だけが快適なのではなく、練習で得たことや気づいたことが、仕事、人間関係、睡眠の質など、生活のあらゆる場面で生かされてこそ、本来のヨガなんです。そのために、2分でも5分でも、生活になじむヨガの楽しみ方を伝えていきたいと思います。

芥川さんの成功の秘訣

1.教えるヨガと自分のためにするヨガは別物と切り分ける
2.自分でできる範囲の中で経営する
3.周囲の助けを借りて完璧を目指さない

▽前編はこちら▽
ヨガとの出会いが私に強さをくれた【ヨガインストラクター 芥川舞子さん】#1>>

取材・文/池田 泉
撮影/藤巻祐介

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HRIDAYA YOGA SCHOOL
(フリダヤ ヨガ スクール)

住所:JR中央線国分寺駅より徒歩5分
詳細は正式なお申込みをいただいた方にのみお知らせしています。

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