【SNS活用術】10代には「親近感」をPR! 顔出し&接客風景が人見知り客を制する【Noa.表参道 小嶋正樹さん】#2
「Noa.表参道」小嶋正樹さんは韓国風ハイトーンカラーを得意とし、特に10代の若いお客様から高い支持を得ています。打ち出すスタイルをあえて絞り込み、「専門性」をアピールしたことで、悩める10代の信頼を勝ち取ってきたようです。
後編では、近頃増えている豆知識系投稿の注意点、Tik TokとInstagramの二刀流、人見知りが多い10代客に響く投稿テクニックを教えていただきます。
教えてくれたのは…
「Noa.表参道」
店長 小嶋正樹さん
取り入れやすいハイトーンカラーに定評のある、サロンNo.1カラーリスト。韓国人風カラーを得意とし、中でも「ブルーブラックカラー」は小嶋さんの定番スタイル。カラーリストながら縮毛矯正にも精通し、悩みの多い学生客からの信頼は厚い。Instagramフォロワー数1.9万人(2021年9月現在)
Instagram:@ojimamasaki
豆知識ネタだけでは集客につながらない
――豆知識ネタの投稿も最近、美容師さんの間では増えているようですね。
以前は綺麗なヘアスタイルを投稿すれば良かったのですが、今はInstagramのアルゴリズムが変わり、閲覧者が長く滞在するような投稿が優位になっているんです。だから最近では、豆知識ネタや解説系ネタなど、見るのに時間を要するような投稿をする人が増えているんです。
僕も2020年のコロナ自粛期間中、お客様のためになる情報を発信したいなと思い、ゼペットというキャラクターをつくって肌色診断や似合う色診断をするという投稿を考案したんです。そうしたらフォロワー数が一気に1万人に到達し、他の美容師さんもゼペットを真似するようになりました(笑)。
――自粛明けは新規顧客数が増えたのではないですか?
僕の場合は、月間売り上げが新記録を更新しました。
けれど、自粛明けという時期も幸いしたのだと思います。豆知識系の投稿はアカウントの認知度が上がるし、保存数も増えますが、いつまでもそういう投稿に頼りすぎるのはNG。「似合わせカラー」や「肌色診断」は、フォロワーが自分一人で試せるので投稿自体は人気になるのですが、「この人のところに行ってみよう」という気持ちにはならないんじゃないかなと。
――豆知識ネタばかりの投稿だとちょっと厳しいということでしょうか。
そうですね。フォロワー数を上げるためには良いかもしれませんが、集客にはつながりにくいのかなと。Instagramの認知度が上がる投稿と、集客につながる投稿はそれぞれ別物だと感じています。
Instagramが伸びにくい時代だからこそ、Tik Tokを併用
――Tik Tokも活用されているようですね。
今はInstagramが伸びにくい時代になってきていて、むしろTik Tokの方に伸び代を感じます。今、僕はTik TokからInstagramにつなげるというマーケティングをしているところです。
Tik Tokには現状まだDM機能がついていないので、Tik Tokを見てInstagramに飛んで予約をするという人が多いんですね。だから、Tik Tokを一緒にやっていた方が結果的にInstagramのフォロワー数も伸びやすくなると思います。
――今はInstagramとTik Tokの併用なんですね。Tik Tokではどのような投稿を?
Tik Tokをやっている美容師さんはたくさんいますが、「技術」を売り出している人は意外に少ないようです。「美容室あるある」とか、ちょっとした面白エピソードがメインで、集客目的ではない投稿がほとんど。
僕は技術力をPRしようと思い、ヘアスタイルのビフォーアフターをよく投稿しています。Instagramで再生回数90万回再生となった「人生初カラー」の動画があるのですが、実はTik Tokでは200万回以上いっているんです。Tik Tokでバズったものって大体リールでもバズるんですよ。
ちなみに僕のフォロワーやお客様は平均年齢が20歳くらいなので、きちんと若い方が食いついてくれるようなワード選びとか加工を心がけています。
人見知りの10代には「顔出し出演」がウケる
――小嶋さんはSNSで「学生」を全面に打ち出しているようですね。
ハイトーンカラーをする社会人は少ないんです。だから、自分の顧客を増やすためにはやはり学生にアプローチしていくしかないと考え、投稿ではあえて若い方にメインで出演していただいています。
――「人生初カラー」「自由登校中のカラー」の動画など、学生のライフイベントに促した投稿も特徴的ですね。
そうですね。時期によって投稿スタイルやワードを変えるようにしています。
「人生初カラー」「高校デビュー」「自由登校」は1〜3月の時期が一番反応が良いですね。海外留学をしている方だと、向こうの新学期は9月からなので、夏頃に帰省したタイミングで染めるという人が多いため、その頃はカラー投稿により力を入れています。梅雨の時期は縮毛矯正の投稿をしたり、7・8月は「夏休み中にやりたい〇〇」というワードを使ったり。
――ちなみに、小嶋さんはよくご自身顔出しでリールなどに登場していますよね。何か狙いが?
はい。「若いお客様」の目線に立って考えたんです。
――人見知りが多い若い世代には、接客風景を見せるんですね。出演してもらう学生モデルはどんな人を起用しているのですか?
フィードに投稿するときは、モデルさんみたいに可愛い子やインフルエンサーの方に出ていただきます。10代は「可愛い女の子を参考にしたい」という子が多いですから。
一方、リールではリアルな学生さんというか、フォロワーが「自分とちょっと似てるかも」と自己投影しやすい方に出ていただくようにしています。自分に近い子がビフォーアフターでどのくらい変わるのか気になる人はたくさんいると思うので。
例えばこの投稿。ビフォーアフターで劇的に変わったということもありますが、「中学3年生」というワード効果も大きかったのかなと。具体的な「学年」を打ち出すことで、見ている人がより共感しやすくなると思います。
――ストーリーでは「おじスト」というシリーズ投稿が面白いと思いました!
サロンワークが忙しくなったために今はやっていないのですが、お見送り時にお客様と2ショットを撮ってストーリーに上げていました。「ヘアスタイルは好きだけど、サロンに行こうか迷っている」というお客様への最後のアプローチとして、お客様との距離の近さを少しでも伝えられたら良いなと思って。
――小嶋さんのSNSからはお客様との仲の良さが伝わってきますね。
若い世代の方はアットホームな雰囲気が好きなんです。ブリーチ・カラー・カットのトータル約3時間という長い施術時間を少しでも楽しく過ごしたいと思っている方は多く、美容師の人柄や接客の雰囲気はとても重要なんです。やっぱり技術と接客、両方上手くなければお客様はついてこないと僕は思っています。技術が上手い美容師さんは他にもたくさんいるので、接客がつまらないと思われてまったら簡単によそにいかれてしまいます。
お客様の年齢層が高めであれば落ち着いた接客を好む人は増えると思いますが、若い層ほど「お客様がどんな風に喜んでいるのか」「どんな雰囲気で接客するのか」などをしっかりアピールすることが大切です。
若い世代に刺さる投稿テクニック
1. 親近感を伝えるため、美容師本人も出演するお客様の施術シーンを投稿
2. Tik TokとInstagramの両輪でヘアスタイルを投稿
3.「自由投稿」「高校デビュー」など、学生のライフイベントに合わせて投稿
▽前編はこちら▽
【SNS活用術】今の時代求められるのは専門性。「絞り込み」が成功の近道!【Noa.表参道 小嶋正樹さん】#1>>
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/石原麻里絵(fort)
イラスト/なとみ みわ