ちょっとブラックな美容業界あるあるで人気に!地方美容師YouTuber「わがブスチャンネル」が見据える美容業界のリアル

美容師といえば、格好よくてだれもが憧れる職業…。そんな美容師像をひっくり返して、自虐ネタや、美容業界をちくりと刺すブラックな笑いで話題となり、チャンネル開設から2年半で1.9万人のチャンネル登録者数を獲得しているYouTuberユニットがいます。それが地方で働く美容師3人組で構成されている「わがブスチャンネル」。

前編ではチャンネル開設2カ月での炎上を経て見えてきた方向性や、チャンネル登録者数を増やすための戦略について伺いました。YouTubeをはじめたきっかけについて聞くと、臆することなく「収入の柱を増やすため」と答えた3人。その言葉の裏側にあるのは、地方の美容師としての現実をしっかりと見据え、堅実に努力を重ねる姿でした。

今回お話を伺ったのは…

わがブスチャンネル

美容専門学校の同級生であるやす(左)、とっちー(中央)、ヘコ(右)の3人からなる新潟在住の美容師3人組YouTuber。美容師の日常を切り取ったあるあるネタや、美容業界の裏側に迫る内容で人気を博し、チャンネル登録者数は現在1.9万人。
YouTubeチャンネル:わがブスチャンネル(新世界)
Instagram:
wagabusuch
ファッションブランド「新世界」インスタグラム:shinsekai_wbofficial

40歳で売上のピークを迎える美容師の現実に抗うため、YouTuberとして始動

3人の休みの前日にあたる日曜夜から始まる撮影。 終わるのは深夜2時、3時は当たり前で、 ときには5時までかかることもあるそう

————3人でYouTubeを始めたのはなぜでしょうか?

やすさん:3人の根底にあったのは、美容師以外の収入をどう確保していくかということで、YouTubeを起点にして活躍の幅を広げていきたいという思いです。美容業界では売上のピークは平均すると大体40歳くらいと言われていて、僕たちもいずれその年齢を迎えます。40歳を過ぎると年齢はあがっていくのに、収入はさがっていく。大手美容室にでも勤めていれば教育担当や経営陣にまわるということもあるんでしょうけど、地方の一美容師は必要とされなくなってもおかしくないのが現状です。そこでただ衰退していくのを待っているしかないのは怖すぎるんで、今のうちから種をまいているという感じですね。

————活動の幅を広げるのに、YouTubeを選んだ理由は?

とっちーさん:たまたま3人とも、YouTubeをやりたいという思いを持っていて、そこが一致したんです。元々私は趣味でメイク動画を編集してインスタにアップしていたので、YouTubeをやってみたいという気持ちがありました。それをやすに話してみたらやってみようということになったんです。ただ私もやすもこう見えて常識人というか、普通な感じなので、動画を作ってもあんまりおもしろくならなさそうだね、ということになって(笑)。そのタイミングでたまたまヘコと会ったときに、「僕もやりたい」と言ってくれたんです。それを聞いて「あ!ヘコなら型にはまらず、動画をきっと面白くしてくれる!」と思って、3人で始めることになりました。

————たしかに能面をかぶって登場するヘコさんの存在が、動画の面白さを引き上げていますよね。あるあるネタを投稿し始めた理由は?

ヘコさん:これは試行錯誤の末に、という感じですね。最初はYouTuberがよくやるようなネタ動画を作っていたんです。ガリガリ君の早食いとか(笑)。まあそれは当然、伸びなくて。伸びていく動画が、あるあるネタや美容業界の裏側だったということですね。あるあるネタのなかでも「こんなお客さんが得をする」などお客さん自身に関係のあるネタがとくに伸びます

————集客のための動画とか、美容師にノウハウを伝えるような動画をあげようとは考えなかったですか?

やすさん:サロンへの集客になると、対象が限られてしまいますし、もっと多くの人に認知を広げたいという思いがありました。地方の一美容師が「俺たちすごいんだぜ」って技術のノウハウ動画をあげても、説得力がないですしね(笑)。

炎上を通して気付いたのは、賛否両論のコメントがチャンネルの原動力になるということ

「わがブスチャンネル」リーダーのやすさん

————最初に手ごたえを感じた動画は?

やすさん:チャンネル開設2カ月目に投稿した「お客さんにはあまり言いたくない美容師あるある」という動画ですね。現在では200万回再生を超えています。ただ、こちらの動画はかなり炎上しまして。「こんな美容師には切られたくない」とか「美容師やめちまえ」とか、現実では言われることのない否定的なコメントがたくさんついて、怖くなり一度はその動画のアップをやめたくらいです。手ごたえは感じつつも心が折れて、あまりうれしくなかったのが本音ですね(笑)。

ヘコさん:恐れていたのは美容室を特定されて何か危害を加えられるんじゃないかとか、通っていただいているお客さまに迷惑がかかるんじゃないかということですね。最初はそれが怖かったです。

————最初は怖かった、ということは、今は違うということですか?どのような心境の変化があったんでしょうか?

ヘコさん:否定的なコメントを恐れていたら、何もできないというのが今の結論です。それに僕たちのなかには、ちょっとトゲのあるチャンネルでいたいという思いがあって。「カリスマ美容師が高い技術を披露する」というようなチャンネルではなくて、「ちょっと毒をはいてそれがブラックで面白い」というような色を出したいので、モラルは守りつつギリギリのところを攻めていきたいなと思っています。

あ、もちろんカリスマ美容師の方に憧れはありますよ!ただ、それは自分たちらしくないよね、っていう。そしてアンチコメントがあるとコメント欄が盛り上がって、そのコメントを見に来る方もいるので、今は伸びる動画には必要なエッセンスだと思っていますね。

とっちーさん:今はあえて議論を生むような動画を作っているので、コメント欄に賛否両論どちらも来るのが当たり前だと考えるようになりましたね。ただどこのギリギリを攻めるかということや、3人のバランスは細かく打ち合わせて決めています。たとえばネタがちょっと丸すぎると感じたら少しとがらせたり、だれか1人がちょっと強めなことを言うんだったらほかの2人がフォローするようにしたり。

やすさん:これまでは美容師って、格好いい部分を見せるブランディングしかなかったと思うんです。格好悪いことをしたら、結果的にそれが新鮮で伸びたというところがありますね。

1つのチャンネルで再生回数の差が出ないように、サブチャンネルを開設 

とっちーさん(左)とヘコさん(右)。ちなみにヘコさんの能面はノリでかぶってみただけで、深い意味はないそう

————サブチャンネルもやられているようですが、開設のきっかけは?

やすさん:それまで小ネタ的な動画や一部のコアなファンに向けた動画と、あるあるネタを1つのチャンネルにあげていたんですけど、そうすると再生回数に差がでてしまうんですね。YouTubeはAIが動画の質を判断して、おすすめ動画や急上昇ランキングに掲載されるかが決まるので、1つのチャンネルのなかで再生回数にばらつきがあると、いいチャンネルなのかどうかを判断できず、なかなか登録者数が伸びないと聞いて。多くの人に届けたいあるあるネタを柱にしたのがメインチャンネルで、それ以外はサブチャンネルにあげるようにしました。

————「わがブスチャンネル」という印象的なチャンネル名ですが、なぜこのような名前に?

とっちーさん:私のインスタでやっていたメイク動画が、ブスからちょっとブスになるっていうのがコンセプトだったので、それを引き継いで…(笑)。

やすさん:それもありますし、「わ」で始めるチャンネル名があまりないので、検索の上位にでやすいというのが大きかったですね。それと正式名称は「吾輩はブスである」になるんですけど、夏目漱石の「吾輩は猫である」は「名前はまだない。」と続くじゃないですか。無名な自分たちにぴったりな名前だと思ってつけました。

ヘコさん:あ、そこまで考えているのは知らなかった(笑)。顔じゃなくて、性格のブスさを表しているという(笑)。キラキラしていない自分たちにぴったりなチャンネル名だなと思っていますね。

チャンネル登録者数が増えた3つのポイント

わがブスチャンネルの登録者数が増えたポイントをまとめると、以下の3つでした。

1.サロンへの集客を目的にはせず、ターゲットの広い「あるあるネタ」を投稿した

2.賛否両論の議論が生まれ、コメント欄が盛り上がるような動画を作った

3.サブチャンネルを作ることで再生回数のばらつきをなくした

後編ではYouTubeによる反響と、これから目指したい未来を伺います。認知度があがり取材が増えているという3人。また「わがブスチャンネル」が展開するファッションブランド「新世界」のグッズ販売も好評とのことです。ここまでの道のりを振り返っていただくと、YouTubeと美容師の本質は変わらないという3人。数字と向き合えば自分の強みが見えてくるといいます。後編もお楽しみに! 

1
2
求人数3万件!リジョブで求人を探してみる
この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの美容師求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄