雑誌のように洗練された雰囲気や統一感でインスタのフォロワー3万人超え!世界観を支えるのは100均のあの商品!?「luxury nail」
ユニークとフェミニンを融合させたオリジナルアートで人気を集めている「luxury nail」。
前編ではどのようにして、アートラインを確立したのかを中心に伺いました。独立したてのころに、お客さまがなかなか来ず、来る日も来る日もチップを作り続けるなかで、自分にしかできないアートと向き合ったこと、さらに勇気を持って持ち込みデザインをやめたことがそのポイントだったそうです。
後編では、インスタのフォロワーが3万人を超えるという取井さんにSNS発信のコツを伺いました。雑誌のように洗練された雰囲気や統一感を、何より大切にしているという取井さん。その世界観に魅了され、海外からも多くのお客さまが訪れるそうです。またコロナ禍でネイルが社会の役に立たないのではないかと悩んでいたとき、オンラインショップを通じてネイルシールを販売することで、もう一度ネイルの可能性を感じられるようになったお話も伺いました。
今回お話を聞いたのは…
取井宏恵さん
「luxury nail」オーナーネイリスト。
短大を卒業後 大阪の企業に就職。ネイリストになる夢を叶えるため、会社勤めをしながらネイルスクールに入学する。1年でネイリスト技能検定試験1級まで絶対に取得すると決め猛勉強、猛練習のすえ無事ストレートに検定取得し、神戸のネイルサロンへ転職。その後、ネイルアトリエ「luxury nail」をオープンさせ、独自の世界観をもったかわいい手書きアートで人気店に。インスタフォロワー3万人を超え、そのオリジナルアートを求めて海外からも来店がある。
100均アイテムが決め手!創意工夫を楽しみながら、雑誌のような洗練された雰囲気をインスタに表現
————インスタのフォロワーが3万人いらっしゃいますが、発信のこだわりを教えていただけますか?
統一感をとにかく意識し、雑誌のような洗練された写真を投稿しています。最初のころは施術後の撮影はいろいろな角度で撮っていたのですが、自分で見たときにすごくごちゃごちゃしているなと思い、手の角度やサイズが同じになるように統一しました。また今は1日1投稿と決め、手の写真、チップの写真が交互になるように投稿しています。そうすると、施術後の写真とチップの写真が縦に揃い、きれいに見えるんです。
こうやって見せ方などにこだわり、1日1投稿を欠かさず続けているうちに、フォロワーがだんだんと増えていきました。————なるほど。カメラや撮影時のこだわりはありますか?
それはあまりないです。施術しているときに使っているデスクライトの下で、スマホで撮影しているだけで。撮影した写真は、アプリで明るさだけは調整するようにしています。
あとは撮影時に下に敷いている白い画用紙は、色味や質感が違ういろいろなメーカーのものを試しました。そこでいきついたのがなんと100均の画用紙だという(笑)。お金をかけなくても工夫次第で、洗練された写真を撮ることができるんだとわかりました。
写真だけで世界観が伝わるインスタによって、海外からも多数来店!
————施術後のネイルの写真にはかならずチップがちりばめられていますね。
はい。いつもチップからアートのイメージを選んでもらい、それをお客さまに似合う形で作っていくので、チップをずっと脇において施術をするのですが、あるときそれも一緒に入れて撮影したらどうかなと考えまして。すごくおしゃれな感じに撮影ができたので、それ以降はチップと一緒に撮影するようになりました。
そうすることで、チップだけよりもアートのイメージがわきやすくなりますし、施術後の手だけより作品感が増すのかなと思います。————写真に入っている文字も洗練された印象です。デザインの勉強などされたんでしょうか?
特別な勉強はしていないのですが、デザインを考えたり、研究するのは大好きなんです。参考にするために雑誌もよく読みますし、お店に行ったときにもディスプレイにどのように物が並んでいるかも見ています。とくにセレクトショップなどのおしゃれなお店を参考にしていますね。
————インスタをやっていてよかったと思うことは?
オープンしたてのころは、集客で苦労することも多かったのですが、インスタにコツコツとチップをあげていたことで、フォロワーが増え、集客にもつながりました。
あとはこれも集客と近いのですが、外国からのお客さまが来店されるようになったことですね。これまでアメリカ、韓国、台湾、タイ、中国などたくさんの国からいらしていただきました。本当に嬉しいですし、励みになっていますね。写真だけでその世界観が伝わるインスタだからこそ、こういうことが起きるのかなと思っています。
ネイルの力で少しでも社会の役に立てるように、新しい形を模索
————昨年はコロナ禍もあり大変だったと思いますが、いかがでしたか?
すごく落ち込みましたね。自分のネイルという仕事が医療関係の方のように社会の中でだれかを助けたりできない、なんの役にも立たない仕事なんだなと思ってしまって。でもそのすごく落ち込んでいるときに、お年寄りに赤やピンクのマニキュアを塗ってあげることにより元気になったり笑顔を取り戻してくれるネイルセラピーというものがあると知って、希望を感じられたんです。
そこで自分にも何かできることはないかを考え、無地のシートに手書きのイラストを描いて、ネイルシールを販売してみたんです。それがすごく好評で、みなさんおうちでセルフネイルを楽しめたと喜んでくださって。 ネイルの力をまた信じられるようになった瞬間でもありました。
コロナ禍で苦しい思いをしましたが、逆にいろんな可能性を考え出す時間になったかもしれないです。————そうだったんですね。では最後になりますが、今後の目標を教えてください。
さっきの話ともつながるんですが、今までのネイルのあり方にはこだわらず、少しでも誰かの役に立つ、新しいネイルのあり方を模索していきたいと思っています。たとえば病院の売店でネイルシールの販売をして、闘病中の方が少しでも爪先を見て心が温かくなればいいななどと考えているんです。
あとは、もうすでに実際に動き始めてもいることでネイルアートの「デザインを考える仕事」というのをこれから進めて行きたいとも考えています。ネイル専門のデザイナーとして、企業のキャンペーンや発売する商品を持つ手に、コンセプトに合わせたネイルデザインを作ってユニークにPRできるようにしたり、アパレル系企業だとコンセプトとに合わせたネイルシールを製作してノベルティ提案したりしていきたいなと。
————もっと仕事の幅を広げていきたいという感じですね。
はい。今現在日本のネイリストの仕事はアメリカや韓国とは違い、国家資格やライセンスなく、お店を構えることができます。今後はどうかわかりませんが、現状は日本ネイリスト協会などが主催しているネイリスト検定が絶対必要ということもありません。その分、実際のサロンワークや仕事内容の大変さや厳しさに直面したり、集客にも悩んだりして、やめてしまう人も多いんですね。ただ今回のコロナ問題があったことによりネイリスト協会の認定しているネイルサロン衛生管理士などネイリストとしての知識や経験は、営業や集客していく上でとても重要になってくると思っています。
なのでネイルの仕事の幅を広げることで、ネイルの仕事に興味を持ってくれてそこから検定試験を取得しようと考えてくれたり、ネイルの仕事が本当に好きだと思う方が増えると、あのサロンに行ってみたい!と思ってくれるお客様も増えてネイル業界もまたさらに変わるんではないかなと。小さなサロンですがそんな可能性を信じて、これからもやっていきたいなと思っています。
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「luxury nail」がオンラインの力を使って活動の幅を広げた3つのポイント
「luxury nail」がオンラインの力を使って活動のの馬場を広げたポイントを伺うと、以下の3つでした。
1.インスタの写真に統一感を出し、フォロワーを獲得した
2.アートの世界観をインスタに表現することで、海外からも多数お客さまが来店した
3.コロナ禍にはオンラインショップでアートシールを販売した
独立したばかりのころ、なかなか集客ができなかったからこそ、がむしゃらにチップを作るころでオリジナルアートを確立し、コロナ禍では今までのネイルアートに縛られず新しい形を模索したという取井さん。そのお話を聞いていて、壁の前で立ち止まることは悪い事ばかりではなく、新しい価値を生み出す一歩になるのだと感じました。今、壁の前で悩んでいる人はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。