【美容師あるある】店舗拡大で「手が回らない」を防ぐために、スタッフ全員に役割を持たせる【KANOW GROUP代表・桐山弘一さん】#1

美容業界でよくあるお悩みや課題にフォーカスする本企画。今回は、サロン経営者の頭の中を探ります。取材させていただいたのは、表参道・⻘山エリアに5店舗店を展開する 「KANOW GROUP」の代表・桐山弘一さんです。大型サロン・個人サロン・フリーランスと色々な働き方を経験したことで、それぞれの良さを理解できたという桐山さん。現在は、ご自身の経験を活かしてスタッフが働きやすい組織づくりに尽力しているようです。

前編では、桐山さんが独立する際に意識していたこと、店舗拡大後の運営のコツについてアドバイスをいただきました。

教えてくれたのは…
KANOW GROUP 代表 桐山弘一さん

大手サロン・個人サロンを経て、フリーランスとして独立。その後、「KANOW GROUP 」に入社、2020 年にサロン代表として「kyli 表参道」を立ち上げる。2021年にグループ代表に就任。(5月26日にオープンした新店舗を含め)表参道・⻘山エリアに5店舗を展開。

美容師の独立:辞めるときは、将来のビジョンを含めて正直に話す


――まずは桐山さんのこれまでの経歴について簡単に教えてください。

表参道の大手サロンに7年ほど勤めたあと、恵比寿の個人サロンに5年ほど在籍。そのあとにフリーランスになりました。それが大体5〜6年ほど前になりますね。自分でお店を持ちたいと思っていて、箱を持つ前に一度フリーランスを経験しておいた方が良いかなと思って。

――会社に退職の意志を伝える際に気をつけたことはありますか?

全部正直に話しました。将来お店を持ちたいということと、そのための準備としてフリーランスを経験しておきたいということを。美容業界ではなかなか円満退社ができないと言われていますが、嘘をついて辞めるのは僕は嫌だったんです。お世話になった仲間への申し訳なさと感謝の気持ちがあったので。結果として、辞める意志を伝えた3ヶ月後に退職することができました。

――フリーランスとして順調なスタートを切れたとのことですが、その理由とは?

フリーランスとして働く環境は場所によって様々だと思うので、自分が働きやすい環境かどうか、お客様にとっても通いやすく、負担にならない環境かどうかを考えながら探したのが良かったのかもしれません。事務処理と諸々の手続きなどには思いのほか苦戦しましたが…。

――その後、どういった経緯で今のポジションに?

フリーランスで働いていたときのサロンが今の会社です。1〜2年働いたのち、「うちの会社でお店を出してみないか?」と声をかけてもらったんです。基本的には社員になるわけだけど、立ち上げから店舗運営までの全てを任せるからと。出資はしていないので完全独立とは言えないかもしれませんが、役職としてはサロン代表として働いています。

――桐山さんが、今ある「社内独立制度」の先駆けということでしょうか?

そうなんです。「社内独立制度」とは、事業計画書をつくってオーナーにプレゼンし、ブランディング、物件探し、内装決め、工務店探し、店舗運営、メニュー展開、リクルートに至るまで一任させてもらえるという制度です。借金をせずにノーリスクでお店を持つことができ、その上利益配分もあるというのは大きな魅力だったし、出店に伴う楽しさや苦労を経験できたのも良かったです

桐山さんが出店した第一号店は、サロン名をご自身のお名前から取って「kyli」に。サロンの代表としての責任感を持つため、店名には自分の名前を入れているのだそう

――大型サロン、個人サロン、フリーランスこれまで色々な働き方をしてきたことも、現在の立場で活かされていますか?

そうですね。サロンの規模というか、組織の大小によっても良し悪しってありますから、どっちも経験しておきたいなという気持ちがあったんです。僕が色々な働き方を経験してきたことで、トップの立場としてスタッフたちに伝えられることが増えるし、リクルートの際にもそれぞれの組織で働いてきた人たちの気持ちを理解できるかなと

美容師の店舗拡大:トップダウンでは負担もチャンスも一部に集中。セクションを設けるのが失敗しない店舗拡大の成功のコツ

今回取材させていただいた「kyli」は、自然光がたっぷりと入る気持ちの良い空間でした。「物件探しが大変で、10月オープンの予定が翌年の5月に。が、自粛明けのタイミングと重なったことで入客は好調で、結果オーライでした(笑)」

――出店はどのタイミングで?

売上とスタッフのバランスを見て決めています。「この人にだったら任せられるか」という議論を重ね、いけそうだったら出店します。会社としてはできる限り挑戦の場を用意してあげたいと思っていて、実際に「自分でお店を持ちたい」という子がいるんですけど、その子たちとは日頃から「どんな風に進めていくか」という話し合いをよくしています。

――現在は5店舗を展開しているようですが、全店舗を統率するのは大変ではないですか?

今はある程度、店長に任せているんです。僕の場合は、周りの人に助けられている感がありますね。うちの会社では役割分担をしっかりしていることも、負担軽減に大きく役立っているかもしれません。

――役割分担というと?

代表、店長、副店長などのような肩書以外に、マーケティングや人事など、各分野で部署をつくっているんです。スタッフたちは任されたセクションの中で責任を持って動いてくれています。

色々な成功の仕方があると思っていて、みんながみんな管理職になりたいわけではないのかなと。だから、スタッフたちが自分なりの働き方を確立できるように、役割分担やポジションをたくさん用意していきたいという想いが会社としてあるんです。今、ちょっとずつ形にしている途中なんですけど、各スタッフがある程度裁量を持って働けるような仕組みにしたいなと。

――トップダウンではないと。組織としてはもちろん、スタッフのやりがいや経験値という面でもプラスになりますね。

そうなんですよ。美容室ってどうしてもスタイリスト個人の技量に委ねられてしまうんですが、それが今フリーランスが増えている理由でもあると思っていて。会社への魅力や、その一員として働くメリットを感じない人が多いんじゃないかなって。

会社としての魅力と、個人としての魅力の両方が揃えば、一つの組織としてすごく強固なものになっていくと思うし、僕たちが目指しているところでもあります。


サロン代表のあるある:独立や店舗拡大のコツ

1.辞める際は、将来のビジョンを含めて正直に伝える

2.様々な働き方を経験しておくと、スタッフへのアドバイスや採用面接がしやすい

3.役割分担をして、「管理職」以外の活躍の場を増やす

美容師として成功するにはフリーランスかサロン経営かという二者択一が迫られる風潮の中、「KANOW GROUP」は組織で働くことの可能性に挑戦しているようです。後編では、会社として行っている「売上をつくりやすい仕組みづくり」について詳しくお聞きします。

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/岩田慶(fort)

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Salon Data

kyli 表参道
住所:東京都港区青山5-6-2 青山菊正ビル3F
電話:03-6427-3366
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