YouTubeの効果でリピート率92%!予約待ちは3か月以上 美容師・内田航さんが選ばれ続ける理由とは

現在、店舗を持たずに活動する美容師たちのプロフェッショナル集団「senjyu」に所属し、サロンワークを行う傍ら、YouTubeチャンネル「イメチェンチャンネル」を運営する内田航さん。2022年12月現在、チャンネル登録者数は9.4万人を超えます。

前編では、YouTubeチャンネル運用の成功のヒントについて伺います。内田さんが掲げるコンセプトは「髪を通じて人生を変える」。その背景には、自身が美容院で人生が変わった経験をしたことがあるといいます。

お話を伺ったのは・・・
内田航さん。

学生時代に美容院で髪型に対するコンプレックスを解消し、感動した経験をきっかけに美容師に。現在は、「店舗を持たない美容室」として、特定の店舗に所属しないで活動を行う美容師を集めた株式会社senjyuのCMOと青山統括代表を兼任する。2019年にはYouTubeチャンネル「イメチェンチャンネル」を開設。視聴者が抱えるさまざまな悩みと向き合い、解消する様子を配信している。

イメチェンチャンネル

senjyu

坊主頭からのイメチェン体験が、美容師を志すきっかけに

「坊主頭がコンプレックスだった」と少年時代を振り返る内田さん

――内田さんが美容師を目指したきっかけはなんだったのでしょう?

中学生までいわゆる「野球少年」で、ずっと坊主頭だったんです。部活は好きでしたし、試合で感動する瞬間もたくさんあったのですが、とにかく坊主頭がいやで。高校生になって、生まれて初めて行った美容院で人の印象は髪でこんなに変わるんだ、と衝撃を受けました

ちょうどその頃、人の人生を変えるような仕事に就きたいと思っていて、弁護士や学校の先生などいろいろな選択肢があったのですが、この体験を通して「髪で人の人生を変える美容師になりたい」と思うようになりました

――まさにご自身がイメチェン体験をされたんですね。美容師として働きはじめてからは順調でしたか?

都内を中心に店舗展開をしている「GARDEN」に就職し、武蔵小杉店に配属されてアシスタントとして働いていたのですが、約2年後にチャンスをいただいて、NY店に異動になりました。

――それはビッグチャンスですね。

それが、この頃の自分はブレまくっていて…。NYのスタッフに「何のためにここに来たの?」と聞かれても、何も答えられませんでした。

当時の僕は、評価されるために美容師の仕事をしていました。いつの間にか目的が「髪で人の人生を変える」ことから、自分を主張することに変わっていたんです。

そのことに気づいてから、ことあるごとに「why?」、つまり、なぜ自分がいまその行動をしているかを考えるようになりました

――「why?」を考えるのはどんな現場においても重要ですね。

本当にそう思いますね。

ただ、その後、帰国してスタイリストデビューをした店舗では当時の売り上げ史上最年少記録を達成するのですが、まだかなりブレていて。

評価や出世のために美容師になったわけではない

「髪で人を変える」という目的からブレていた時代も長かったという

――どういうことでしょう?

当時の僕は、完全な「売上至上主義」で、目標金額を売上げることだけを目的に働いていたんです。リピーターのお客さまが増え、順調に数字を上げていく中で「店長にならないか」という話が出たことが、もう一度立ち止まって考えるきっかけになりました。

自分が美容師になろうと思ったのは、売上を上げて評価されるためでも、店長になるためでもない。「髪で人の人生を変えるためだ」と、やっと初心に帰ることができたんですね

これが僕にとっての大きなターニングポイントです。

――なるほど。大きな気づきでしたね。

そこで始めたのが、YouTube配信です。

――それはまた、急展開ですね!?

もともとは集客のためにはじめたことでした。当時はInstagramでの集客が主流でしたが、僕はあんまり好きじゃなくて。というのも、Instagramは記事がどんどん流れてしまって、過去の投稿は見てもらえないんですよね。そこで一人でも多くの方に見ていただく方法はないかとたどり着いたのがYouTubeでした

初めのうちは、ただお客さまのビフォー&アフターを撮影して上げていたのですが、全然再生回数が伸びなくて…。8時間くらいかけて編集しても、100回程度しか再生されない時期が半年ほど続きました。

お客さま目線の接客と的確なアドバイスがバズるきっかけに

内田さんのYouTubeチャンネル「イメチェンチャンネル」より。細やかな説明が「わかりやすい!」と人気

――想像するだけで心が折れそうです。どうやってファンを増やしたのでしょう?

当初の目的であった「集客する」という考えを改めたんです。繰り返しになりますが、僕が美容師になったのは髪で人生を変えるためであり、YouTubeはあくまでも手段の一つです。

YouTubeを観てくださる方の中には、サロンまで来られない方もたくさんいます。髪にコンプレックスやお悩みがある方が動画を観て、「こんな方法があるんだ」と思ってくれたらそれでいいと思ったんですね。イメチェンの動画を始めたのも、同じような悩みを抱えている方に役立てばいいなという思いからなんです

――YouTubeの動画では、話しやすい雰囲気や、親身になってお客さまの相談に耳を傾ける姿が印象的です。何か心がけていることはありますか?

まずは目的を一緒に決めることですね。カウンセリングではまず、「今日はなぜ美容院に来たんですか?」「どうなりたいですか?」と質問を投げかけます。例えば、パーマで失敗をされたという方には、そもそもどうなりたくてパーマをかけたのかを聞いてみる。メニューはセットではなく、目的に合わせて決めていきます。例えば、これから伸ばしたいという人であれば、毎回カットする必要はないですよね。

初めに目的を決めることで、お客さまにとっては美容院に通うことが目的を達成するための過程、手段になるので、自然とリピーターにつながります

――動画では、カウンセリングのときにお客さまと金額についてもざっくばらんに話されていますね。

金額も目的を達成するための大切な手段ですから。といっても、僕は、売上金額自体はそんなに気にしていないんですよ。大げさに例えると、なりたい姿になるために100万円必要だった場合、そんなにかけられないのであれば目的そのものを見直した方がいい

先に今日の予算を伺ってから、その範囲内でメニューを決めることもありますよ。ときには「ここではカットだけして、リタッチカラーは安いサロンでやってもいいんじゃない?」という提案をすることもあります。LINEでのアフターフォローも欠かせませんし、表面的なつながりでは終わらせません。僕にとって、お客さま一人一人が「親戚」のような存在なんです

内田航さんがリピート率92%を維持する3つのポイント

1.売上、他人からの評価を必要以上に追いすぎない

2.お客さまの声に耳を傾け、目的を明確にした上で施術する

3.YouTubeを通じて、ありのままの美容師としての姿を発信している

YouTubeチャンネル同様、明るくざっくばらんに色々な話をしてくださる内田さん。高い技術力はもちろん、その人柄にこそ3か月待ってでも内田さんに施術してもらいたいという人が後を絶たない理由があるのではないでしょうか。

後半では、現在内田さんが所属する「senjyu」チームが取り組んでいるというAI事業について伺います。後半もお楽しみに!

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