【ネイリストあるある】接客中はお客様の話をしっかり聞くことで、信頼関係が築ける【I -nails 渋谷店 トップネイリスト 朝倉朋佳さん】#1
美容業界でよくあるお悩みや課題にフォーカスする本企画。今回は、ネイリストの「売れる秘訣」について探ります。取材させていただいたのは「I-nails 渋谷店」のトップネイリスト・朝倉朋佳さん。わずか1年で月の指名客を50人以上も伸ばし、現在はほぼ指名予約でいっぱいとのこと。それは、お客様の好きなデザインをとことん分析したことや、お客様とお喋りする時間を大事にしてきた結果のよう。
前編では、得意デザインの打ち出しが集客にどのように結びついたのか、またお客様に信頼してもらえる接客術について教えていただきました。
教えてくれたのは…
「I-nails 渋谷店」トップネイリスト・朝倉朋佳さん
ネイリスト歴3年。毎月100%指名客で埋まるほどの売れっ子ネイリスト。「ちゅるんネイル」「淡色ニュアンスネイル」を得意とし、他にはない絶妙な色使いで、年代問わずファンが多数。自身の人柄に惹かれて通う人も。
ネイリストの集客:お客様の好みのデザインを自分の得意デザインにしたらリピート率UP
――まず、これまでの経歴を教えてください。
入社後は妹ブランドの「NAIL MAISON」に配属され、1年間勤務しました。その後に「 I-nails 渋谷店」に異動し、今年で2年目です。ネイリストとしては3年目になります。
――デビュー後、売上はどのように変化しましたか?
入社して大体1年経ったくらいから伸びたと実感しました。最初の1ヶ月は指名数が15人ほどでしたが、同年12月には70人に。指名が増えたことで、こちらもアートの提案がしやすくなり、そこから売上が安定してきた感じです。入社1年で単価が1000円上がりましたし、できるメニューも増えました。
現在は、毎月の客数は100人ほどですが、ほぼ全員が指名のお客様です。
――指名客100%とはすごいです! これまで集客で何か意識してこられたのでしょうか?
まず、Instagramは毎日投稿することを心掛けていました。ただし、そこで私がこだわっていたのはフォロワー数ではなくフォロワーさんの質。リピートに繋げるために自分なりに投稿を工夫してきたつもりです。
――具体的にどんなことを工夫されたのですか?
私の投稿を保存して持ってきてくださるお客様が多いのですが、どういうデザインが多いのか、お客様はどういうデザインが好きなのかを分析し、そのデザインの特徴を踏まえたものを投稿するようにしたら、自然とリピーターさんやフォロワー数が増えました。
――今のInstagramの世界観や朝倉さんの得意デザインは、お客様の好みを追求した結果なのですね。
そうなんです。
あとは、渋谷店で唯一無二の存在になるためにはどうしたら良いんだろうと考えた結果でもあります。以前は、今のように「淡色ニュアンス」「ちゅるんネイル」ではなかったんです。1年目の頃は韓国が好きだったこともあり、キラキラ系のデザインをやっていこうという気持ちがあったのですが、自分のファッションや喋るトーン的にキラキラ系じゃ合わないなと思って。自分の雰囲気と、サロンで打ち出したいデザインを加味した上で、今のデザインに落ち着きました。
――ご自身の雰囲気とデザインをリンクさせたのですね。
淡めデザインを打ち出すなら、ネイリストも同じようにふわふわした感じの方が、お客様も好みを理解してもらいやすくて、話しやすいかなと思って。
――お客様も朝倉さんに似た雰囲気の方が多いですか?
そうですね。自分と似たような趣味を持つお客様が増え、それもリピート率に繋がったのかなと。年齢層で集客しているというより、同じ雰囲気の方が集まってくるという感じですね。10代の学生さんもいらっしゃれば、30〜40代のキャリアウーマンの方もいらっしゃいます。
ネイリストの接客:お話好きのお客様が多数。目を見て相槌を打ちながら聞くことで、信頼関係を築ける
――接客時に大事にしていることはありますか?
お客様がどういう方なのかをいち早くキャッチする術を磨いてきました。例えば、自分の話をしたいタイプなのか、話を聞くのが好きなタイプなのかなど。
――お客様がどんなタイプの方なのかを見極める力はどのようにして養えるものなのでしょうか?
空気感とか、話すテンポとか、あと何となく目を見たらわかるといいますか。私は多くの人と関わるのが好きな人なので、自然とキャッチできます。
プライベートでたくさんの人と関わってきたので、そこで身についたのかなと。プライベートでも人と関わるってとても大事だと思います。力がつきますよ。
私のお客様はお話好きな方が多いので、目を見てしっかり「はい、はい」と相槌を打ちながら寄り添うようにしています。そうしていると自然と信頼関係を築くことができ、リピートにも繋がったのかなと思います。
私とお喋りしたくて来ましたという方もありがたいことにいらっしゃるので嬉しいですね。
――お客様と楽しくお喋りできることも、リピート率を上げる上で大事なことですよね。
毎月2時間みっちりとお話する機会ってなかなかないじゃないですか。なので、プライベートのことまで相談してくださる方が多くて。私は会話の内容をカルテにメモしておき、しっかり覚えるようにしています。お客様も前に話したことを覚えてくれていると嬉しいと思うので。お客様の細かい変化にも気づこうと意識しています。
――ヒアリング時に気をつけていることはありますか?
お客様がその日来店された一番の目的をお聞きするようにしています。オフィスネイルをしに来たのか、ブライダルネイルをしに来たのか、デート前なのか、記念日用なのかなど。目的に合わせて提案を変えているんです。
あとは、「どんなお洋服を着るんですか」とお聞きして、それに合わせてデザインを提案することも。
――デビュー当初は、上手くヒアリングできなかったことはありましたか?
逆にデビュー当初の方が心配性だったのですごく丁寧にお聞きしていたかもれません。お客様は引いていたんじゃないかってくらい(笑)。ネイルは1ヶ月つけるものなので、その責任を感じていましたし、絶対に嫌な思いをさせずにお帰りいただかなければと思っていましたから。
――例えば繊細な色味の場合、お客様とのすり合わせがより大事になりますよね。
そうなんです。色の見え方は人によって違ったりするんですよね。Instagramの画像と、実際に塗った色が違ったということは過去にありましたね。私からすると同じなのですが、お客様からすると違って見えたみたいで。固める前に気づけたのでことなきを得ましたけど。
私、紫系の色があまり得意ではないみたいで、毎回紫色だけお客様と見え方が違うんです…。なので、お客様により丁寧に確認を取り、ミスをなくすようにしています。
ネイリストあるある:集客と接客で気をつけたいポイント
1. お客様の好みのデザインを分析し、それに合わせたデザインを打ち出す
2.どんなお客様なのかを素早くキャッチできるように、日頃から人付き合いを積極的にしておく
3.施術中、お客様の話に真摯に耳を傾ける
朝倉さんはとにかくお客様ファースト。「良いデザインをつくりたい」というよりも、「お客様に喜んでもらいたい」という気持ちが前面に溢れ出ていました。後編では、朝倉さんならではのデザイン考案のコツや、SNS活用で大事にしていること、後輩へのフォローの仕方について教えていただきます。
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/SHOHEI