郊外で人気を得るにはお客様の様子を観察し、寄り添う気持ちを忘れずにいること【サロンオーナー 鎌田竜也さん】#2
「hair dress V.I.E.W」オーナーの鎌田竜也さんは、春日市で人気を集めるサロンに成長させた実力の持ち主。春日市の他に福岡市内と合わせて2店舗を経営しています。実は、店舗展開をする予定ではなかったという鎌田さん。いったいどんな経緯で2店舗目を経営することになったのでしょうか。
前編では、オーナーになる前の経歴や春日市を選んだ理由、戦略について伺いました。後編となる今回は、サロンのコンセプトに込めた想いや2店舗目を展開した経緯、今後の目標などをお聞きします。
お話を伺ったのは…
hair dress V.I.E.Wオーナー 鎌田竜也さん
福岡県出身。美容専門学校卒業後、アパレル業界に就職。その後、美容師へ転身。福岡市内でアシスタントを務め、東久留米市でスタイリストデビュー。いくつかサロンを経験したのち、独立して「hair dress V.I.E.W」をオープン。春日市で人気のサロンとして呼び声も高く、そのリピート率は90%。
「郊外だから」といって諦めることはしたくない。最先端の商材と技術で勝負する
後輩のためにオープンした「hair dress”CODE”（ヘアードレスコード）」の店内
――春日市のサロン「hair dress V.I.E.W」のコンセプトを教えてください。
サロン名にある「VIEW＝景色、景観」は、常にお客様が見ている景色や景観に少しでも明るさを加えられたらいいなという気持ちを込めました。
その場限りではなく、長きに渡ってお付き合いを続けていける関係性を日々目指しています。
――実現するために取り組んでいることは？
カウンセリングはかなり徹底して行っていますね。
リピートしていただくためには、お客様が想像するスタイリングの再現性が一番なので、些細な変化もキャッチするように意識を張り巡らせています。
変化をキャッチするには、お客様の視線がけっこう重要です。人って、気になるところに自然と視線がいくので完成したヘアスタイルを見たあと「大丈夫」と言われても、お客様の視線を見逃さないように心がけています。
――会話だけでなく、動きからも気持ちを汲み取っているのですね。それもリピートしてもらう秘訣なのでしょうか？
もちろん土地柄や年齢層などに合わせたスタイルを提案することも大切ですが、郊外のサロンは都会的なスタイルができないと思われるのは心外です。お客様のいろいろなご要望、トレンドにも対応できるように、最先端の商材と技術のレベル強化もしています。それがリピートに繋がっていると思いますね。
ただ、お客様のご要望に応えるためにあえて対応しないこともありますが…。
――では、断ることも？
そうですね。髪の毛の状態から難しそうな施術をご要望いただいた場合、説明してお断りすることもあります。
――断る際のイチ事例を教えてください。
お客様が希望するメニューに髪質が耐えられないとき。例えば、縮毛矯正とカラーのセットを希望された場合、完全に断るというよりは、髪の性質やそれにかかる負担を考えてメニューの変更や時期などの提案をしています。
お客様も満足できませんし、美容師側もメリットがない。時間も自信も奪うくらいなら、その分の利益はなくてもいいと思っていて。目先の利益よりも、その人ごとの髪質や状況を見極めることで信頼を勝ち取ることが、のちの利益に繋がると思うんです。
スタッフの要望に応えて、積極的に次世代の美容師育成に取り組む
――そうした配慮や心がけが成功し、2店舗目のオープンに繋がったのでしょうか？
いえ、実は店舗展開は考えていませんでした。
――…といいますと？
「hair dress V.I.E.W」のオープン当初から、一緒に働いてくれているスタッフがひとりいて、その子のために動いたんです。長い間よく頑張っていて「お店を出したい」というやる気もありますし、僕も力になりたいと考え、福岡市でサロンオープンに踏み切りました。
今はまだ僕が経営者で店長をやってもらっていますが、今年の5月をめどにFC（フランチャイズ）契約をして店舗を引き渡すつもりです。
――そうだったのですね！春日市ではなく、福岡市を選んだ理由は？
福岡市は春日市に比べて都心部なので若年層が多く、美容師として挑戦しやすい環境。若いうちにあえて激戦区で経験を積んで、「勝負」してもらいたいと思って選びました。
――鎌田さんご自身も福岡市での勤務を経験されていますよね。
そうですね。どんな土地柄でどんな人たちが利用するのかわかっているからこそ、福岡市で活躍してほしいなと思うんです。
――鎌田さんご自身の今後の展望をお聞かせください。
「hair dress V.I.E.W」がある、春日市内でもう1店舗オープンさせることです。
最初にオープンしたサロン「hair dress V.I.E.W」は、ありがたいことに毎月既存のお客様だけで200〜300人もご来店いただいて「春日市人気のサロン」として知られるようになってきました。
ただ新規のお客様のご利用も増えており、マンツーマンで施術するには予約枠が足りなくなってきていて。そうなるとサロンの強みが死んでしまうので、双方の解決策として新たにオープンさせたいと考えています。
郊外で人気のサロンに成長させた3つのポイント
1.自信がつくまで技術向上に取り組む
2.土地・住人などターゲットを絞り、見合ったサービスを提供する
3.お客様の動向を逐一確認し、抜かりない気配りを意識
鎌田さんからは、郊外で経営を成功させるための秘訣として、土地選びに傾き過ぎずに、お客様の希望を第一にかなえることが大切だと教えてもらいました。今後、郊外で経営を目指す方は、まずはお客様との関係性を築くことから始めてみてはいかがでしょうか。
取材・文／東菜々（レ・キャトル）
