フリーランスと業務委託の両立で、収入アップ!「将来設計」&「ブランディング」がカギ【フリーランス美容師 深沢秀さん】#2
美容師の深沢秀さんは、原宿・表参道で経験を積んだのち、フリーランス&業務委託という働き方を選択。いったい、どんな経緯で両立を決めたのでしょうか。
前編では、深沢さんが美容師になるまでの経緯とフリーランスになってからの集客やお客様からリピートしていただくための取り組みについてお聞きしました。後編では、フリーランスをしながら、業務委託の働き方を選択した理由、フリーランスで活動していくうえでの大事な心構えなどを伺います。
お話を伺ったのは…
フリーランス・業務委託美容師 深沢秀さん
都内の大学進学後、就職活動中に美容師になることを決意し、通信制の美容学校へ入学。その後、地元・山梨県に戻り、家業の農業を手伝いながらサロンアシスタント経験を積み、東京・原宿にあるサロンに転職してスタイリストデビュー。5年勤務したのちに、フリーランスに転身。同時に業務委託も開始し、現在はフリーランス&新橋にあるサロンでの業務委託の2本柱で活動中。
フリーランスと業務委託を両立した結果、全てが右肩上がりに
――フリーランスをしながら、業務委託でも働いていると伺いました。その経緯をお聞かせください。
シェアサロンを借りているのですが、平日に比べて土日の賃料がとても高くなるんです。さらに、僕が担当させていただいているお客様って学生が多く、平日に予約いただくことがほとんど。そうなると、わざわざ賃料の高い土日にスペースを借りるのは非効率だなって思っていて。加えて、自分の拠点を増やしたいとも考えていました。
あれこれと考えていたところ、友人から紹介されたオーナーから業務委託を依頼されたんです。
――どんな特徴のサロンですか?
新橋にあるメンズ向けのサロンで年齢層は幅広く、会社を経営していたり管理職の方が多い印象です。
――フリーランスと業務委託を両立している、現在のスケジュールを教えてください。
平日は基本的にフリーランスとしてシェアサロンにいますが、週一で業務委託先のサロンに勤務しています。土日は午前中にシェアサロンで施術をし、そのあとは業務委託先のサロンへ行く感じです。
――両立してみて、大変なことは?
休みがあまりないことですね。フリーランスになってまだ2年くらいで、今は頑張りどきだと感じていますから、毎月の第三週日曜だけを規定の休みにしています。休みがないと言っても、隙間時間でしっかり息抜きはしているんです。例えば空いた時間に銭湯に行ったり、美味しいご飯を食べに行ったり、仕事終わりには飲み会にも参加するなど…思ったより充実していて。この生活に慣れたら、休みの日にわざわざ予定を立てて外出する方が億劫になってきました(笑)。
――自分で調整するのが働くうえでのコツなのですね。業務委託をしてみて良かったことは?
業務委託先のサロンは立地的に経営者や役員の方が多く、話していてとても勉強になるんです。原宿と比べると新橋は自分より目上の方が多く、さまざまな立場の方たちからお話を聞けて役立ちますし、対応できる幅が広がるので良かったと感じます。
あとフリーランス一本だと、相談相手がいなかったのですが、業務委託提携をしてからはオーナーと相談できるようになりました。業務委託に踏み切ったことで、いろいろな人と関われる機会が増えたのが一番大きい収穫だと感じます。
あとは経済面にも嬉しいことが。業務委託を選択肢に入れてから、売上もアップしましたね。
――サロン時代と比べて、いくらぐらい?
二倍くらい上がりました。
もともと美容師って月給が本当に安いんです。アシスタントの頃は、技術とか接客とか目の前のことでいっぱいいっぱいだからそういうところって気づかない人が多いようなのですが…。
僕はサロン勤めをしている頃からずっと金額面に不満がありました。少しでも疑問に思ったときは、何でも疑ってみることが大事。小さな気づきによって、解消されることもあるはず。自分が少しでも気になったり疑問に思ったりしたときは、追求することが必要ですね。
フリーランスに大切なのは、「将来設計」と「自己ブランディングの形成」
――小さな疑問にも目を向けて向き合うことが大事なのですね。フリーランスで働くうえでは大事なことなんでしょうか。
そう思いますね。何か目標を持って挑まないと踏ん張れないと思います。
あとは目先のことだけではなく、将来を見据えた計画も必要。僕はフリーランスと業務委託を並行しながら、常に将来を考えて動くようにしているつもりです。
――これからフリーランスとして活動を考えている人へのアドバイスは?
まずは得意点を確立して「自分」のブランディングをする、勝負できるところを見つける。フリーランスになってからその後を考えるのではなく、なる前にプランを練っておくといいですよね。
――必要なのは、計画性と自己の確立なんですね。
ただ、最近の若い人たちに主流のSNSの見せ方が上手であれば、売れていますから、実際に技術が乏しくてもどれだけ反応がもらえるかによって、勝つことはできる。でも、現状が良くても先のことを考えるとフリーランス一本で生き残るのは難しいのでは?と感じます。
――どういう対策をするといいのでしょう?
若い人のサロン就職離れが加速しているようなので敬遠されがちですが、将来的にフリーランスを目指しているのなら、一度サロンに就職して経験を積んでからでも遅くはないです。僕の時代より今の方が働き方とか改善されているのでしっかり基盤を固めてからスタートすることをおすすめします。
フリーランス&業務委託を実現させた3つのポイント
1.サロン勤務の経験が自己ブランディングを形成するカギとなった
2.積極的にお客様と交流をする
3.目先のことだけではなく、先を見据えた計画を立てて動く
サロン勤めを希望する若者が減少している昨今。厳しい練習に耐え、サロンを経験したことで、恩恵を受けている深沢さんだからこそできるアドバイスだと感じました。将来的にフリーランスを目指していて少しでも迷いがある方は、ぜひ参考にしてみてください。
取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/SHOHEI
Salon Data
住所:東京都渋谷区神宮前5丁目16−13
mail:suzusuki.and.susuki@gmail.com