脅威のリピート率!売上アップには自己分析とカウンセリングが重要「K-two AOYAMA」代表 美容師・饗場一将さん
目標のために努力を惜しまず、常に向上心をもって行動し続け、幾度となく夢を実現してきた饗場さん。前編では、JHA受賞のためにレザーカットやスライドカットなど新たな技術を磨いたことやメディア仕事の獲得に向けて憧れの人に作品の添削を依頼したこと、目標実現のためには諦めないことが大切ということなどを伺いました。
後編では、饗場さんが美容師を目指そうと思ったきっかけやスタイリストデビューまでに苦労したこと、売上の上げ方、施術において大切にしていることなどを伺います。
今回、お話を伺ったのは…
K-two役員・饗場一将さん
神奈川県出身。「鎌倉早見美容芸術専門学校」を卒業後、都内サロンを経て、2008年「K-two」へ入社。スタイリストとして活躍しながら「K-two」役員の役割も担っている。カミカリスマやJHA(ジャパン・ヘア・ドレッシング・アワーズ)エリア賞などこれまで多くの賞を受賞し、メディア誌や業界誌などの仕事も行う実力者。似合わせカットや骨格に合わせた小顔カットを得意としている。
苦労したJrスタイリスト時代を乗り越えた術はコミュニケーション
――今や美容業界の最前線でご活躍の饗場さんですが、美容師を目指そうと思ったきっかけは?
中学生の頃、ヤンキーブームがありました。その当時、パンチパーマに憧れていて、実際にそのスタイルにしてみたところ自分の見た目の印象がガラリと変わったんです。そこで、髪型はこんなにも人のイメージを変えるのかと魅了され、人のヘアスタイルを作る仕事に就きたいと思い、美容師を目指し始めました。
――はじめから売上の面は順調でしたか。
いえ、まったく順調ではありませんでした。「K-two」ではアシスタントからスタイリストになるために3ヶ月連続で25万円の売上を達成することが条件。ですが、僕は達成するまでに9ヶ月ほどかかったんです。これは恥ずかしながら「K-two」のワースト記録になっています。
初めの頃は集客や売上などに興味がなくて、今回お話しさせて頂いたように雑誌などでの仕事にばかり目を向けていたんです。ただ、1年目のスタイリスト3人が対談するという雑誌の企画に参加した時に、売上を発表する機会がありました。その時に自分の売上だけが他ふたりに到底及ばなくて、顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしたんです。そこから、意識がガラリと変わり、売上を意識して行動するようになりました。
――具体的に売上を上げるために行ったことは何ですか。
まず、K-twoはもちろん、業界のトップであるスタイリスト塚本が何をしているか、そして、塚本より自分は何ができるのかを彼の接客や技術をすべて見て売上につながることを研究したんです。
その結果たどり着いたのが、作品撮りで培ったデザイン技術を活かして、お客さま目線で喜んでもらえるデザインを提供できるようにすることでした。そのため、コミュニケーションやカウンセリングに力を入れるようにしたんです。その結果、お客さまのリピート率が非常に高くなって、少しずつですが売り上げが伸びていきました。
脅威のリピート率!理想を汲み取るカウンセリング法とは
――施術において特に心がけているのはカウンセリングになるのでしょうか。
そうですね。お客さまの理想を実現するためには、コミュニケーションが大切だと思っています。なので、普段スタイリングにどの程度時間をかけるかなどを伺いつつ、お客さまの話し方や言葉の端々にも意識を向け、喜んで頂けそうなスタイルを提案するようにしているんです。そういった察知と提案の繰り返しで、お客さまの理想を汲み取っています。
――理想を汲み取る部分で雑誌の仕事経験は活きましたか。
僕の場合、雑誌の仕事は、世界観作り、自分の作りたい物を作るという要素が強かったんです。そのため、お客さまの理想を汲み取ってそれに応えるというデザインの作り方は、それまでと真反対で苦労しました。ただ、そこでお客さまが求めていることに応えないと喜んでもらえない、売上に繋がらないということに気づいたんです。
――リピート率はどのくらいでしょうか。
100パーセントではありませんが、近いリピート率はあります。ご新規さまの受付は現在しておりませんが、顧客のお客さまがずっと離れずにいてくださっているんです。もちろん引っ越しなどの関係で離れられる方もいるのですが、それでもたまに引っ越し先からわざわざ足を運んでくださることもあります。遠いところで言うと、石垣島から来続けていただいている方もいますね。
美容師の第一歩は何でも経験してみること。その後に自己分析!
――これから美容師を目指す人は、まず何をするべきだと思いますか。
まずは、何でもやってみるというのが1番です。その上で少し方向性が見えてきた場合は自己分析することをおすすめします。昔から僕の中にある考え方なのですが、美容師はデザイナーとアーティストのふたつの要素のバランスだと思うんです。どちらも美容師には欠かせない要素ですが、そのどちらを自分は特に大切にしたいかを分析すると美容師としての立ち位置が分かるため、集客や売上の上げ方が見えるようになります。そのため、スタイリストの第一歩として自己分析は非常におすすめです。
――デザイナーとアーティストの違いというのは?
完全に僕個人の解釈ですが、デザイナーとはお客様が主体で意見、要望を汲み取りそれを叶えていくというスタンス。そのためにもコミュニケーション力、技術力が大切です。
一方でアーティストとは、自分らしい表現や生き様、届けたいメッセージが主体であくまで自分発信。独自性や表現力、発想力が大切です。例えば、髪質改善や、似合わせカットなどに特化している美容師さんは、お客様の意見をベースにデザインが作られていくのでデザイナー型。自分にしかできない唯一無二のデザインやその人本人の生き方、ライフスタイル、ファッション性にファンがついていて、それを求めてお客様が集まるのがアーティスト型です。
この相反する2つは、少なからず誰もが要素として持っており、どちらが自分に多い要素なのかをしっかり理解する事で美容師としての個性の方向性が決まると思っています。
――饗場さんの場合はどうだったんですか。
僕の場合は7:3でデザイナーの要素に重きを置いて、自分を磨いていました。ただ、3割だからといってアーティストの要素は育てなくていいというわけではありません。どちらの要素も手を抜かずに育てておかなければ、お客さまに喜ばれる美容師にはなれません。
自分の目指す方向性を知るというのは、鍛錬するにあたって非常に大切なこと。自分がどんな美容師になりたいか思い描くことから始めてみてほしいですね。
饗場さんが考える美容師として大切な3つのポイント
1.自分に最適な美容師像を理解する
2.理想を汲みとり叶えるデザイナーとしての力を持つ
3. デザインの提案ができるようアーティスト性も磨く
目標実現のために新たな技術の習得や訓練など行動し続ける熱さと研究や計画を立てて行動する堅実さを併せ持ち、卓越した技術で美容業界の最前線をひた走る饗場さん。お話を聞く中で、人生において向上心やモチベーションを絶やさない、進化し続ける部分が強みだと感じました。美容師を目指す方、より成長したい方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
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