資格なしでもセラピストになれる?未経験からセラピストになる方法や資格について紹介
お客様の心や体にアプローチして癒しを与えるセラピストは、サロンだけでなく、医療や福祉などさまざまな分野で活躍できる仕事です。セラピストは資格なしでもなれるのか、資格なしで働く場合どんなことに注意する必要があるかなど、気になっている方もいるのではないでしょうか。
そこで、資格なしでできるセラピストの仕事や資格が必須の分野について、また未経験でセラピストになる方法や注意点、セラピストにおすすめの資格についても紹介するので、是非参考にしてください。
資格なしでもセラピストになれる?
セラピストは人の心や体を癒す職業なので、専門的な知識や技術が必要ですが、特定の資格がなくとも誰でもなることができます。
しかし専門の知識や技術を身につけるのにもっとも効率よく確実なのは、資格取得をすることでしょう。資格があればお客様の信頼を得ることもできるため安心して施術を受けてもらうことができます。
また資格を持っていることで、就職の際にも強みになるうえに、給料が上乗せされるなど、待遇面で有利になりやすいのがメリットです。
マッサージをするには国家資格が必要
セラピストと一口にいっても、さまざまな分野のものがあるため注意が必要です。なかでもマッサージや指圧など、国家資格が必要な施術について知っておかなければいけません。
患者にマッサージができるのは、「あん摩マッサージ指圧師」「医師」のみとされ、国家資格がない人がマッサージ行為を行うのは違法です。これは、マッサージにおける禁忌症の見極めが無免許の人には難しいとされるためで、実際に消費者センターには、数々の被害相談が寄せられています。
つまり資格がなくてもセラピストにはなれる一方で、セラピストに分類される一部の施術は国家資格保持者しか認められていないということを、しっかりと理解しておくことが大切です。
未経験からセラピストになる方法
セラピストになるには、資格を取得したうえでサロンに就職するか、無資格OKのサロンに就職するかという2つの選択肢があり、資格取得は独学とスクールで取得する2つの方法があります。
未経験でセラピストになる3つの方法を見ていきましょう。
研修の充実したサロンに就職する
セラピストを募集しているサロンには、無資格者や未経験者を歓迎するところもあります。そういったところでは、社内制度で研修が充実していたり、資格取得の支援制度があったりするので、働きながら知識や技術を習得することが可能です。
無資格・未経験で就職する場合、研修制度の有無や入社後の教育に力を入れているサロンかどうかを確認するのがおすすめ。
求人検索サイトのリジョブでは、「未経験者歓迎」「研修制度あり」といった条件で簡単にサロン検索ができるので、チェックしましょう。
セラピストの求人・転職・募集:リジョブ
働く前に短期間で技術を学んでからサロンに就職する
いきなりサロンに就職するのは不安だという方は、スクールなどでひととおり知識と技術を学んでから就職するのがいいでしょう。
セラピストの知識や技術を効率的に学べる短期スクールは、最短で1日程度のカリキュラムから、1年間ほどかけてじっくり学べるものまでさまざまな内容のものがあります。
スクールで学ぶメリットは、これまでにセラピストを養成してきたノウハウをもとに効率的に学べることと、わからないことなどを講師に質問できる環境があることです。体系的に短期間で知識や技術を身につけられ、就職でもアピールできます。
資格を取得してからサロンに就職する
セラピストの資格は独学でも目指すことができます。資格取得のためにテキストなどを用いて勉強するなかで、セラピストとして必要な知識や技術を学ぶことができるため、就職してから存分に活かすことができるでしょう。
資格があれば履歴書や面接でアピールできたり、資格取得者を募集しているサロンにも応募できたりと就職でも有利です。また資格手当で給料アップが期待できるというメリットもあります。
なお資格取得のメリットやセラピストにおすすめの資格、資格取得の方法については後ほど詳しく解説しますので、そちらも参考にしてください。
資格なしでセラピストになるときの注意点
資格なしでもなれるセラピストですが、お客様に満足していただくため、トラブルを起こさないためにもスキルを身につけることは大前提です。
資格なし・未経験で就職する場合の注意点について確認しておきましょう。
資格がなくても知識や技術は必要
資格がなくても就職できますが、セラピストとして必要な知識や技術を身につけなければ、お客様に施術をするのは難しいでしょう。お客様に喜んでいただき何度もお店に通ってもらうためには、理論にもとづいた施術を行う必要があります。またケガをさせたり痛みを感じさせたりしないよう、人体の構造などの知識も必要です。
資格を取得することでセラピストに必要な知識や技術が身につくため、不要なトラブルを避け、お客様に信頼される人気のセラピストになることもできるでしょう。
資格を取得した後も勉強してスキルアップを目指そう
実はセラピストにとって資格取得はゴールではありません。資格を取得した後も、常に新しい知識を吸収し、技術を向上させていく必要があります。
セラピストにまつわる法律の改定や新たな技術の登場、これまで常識とされていたことが時代遅れになることもあり得る世界です。常に学び続ける気持ちを持ち、より高みを目指して技術力を磨きましょう。
また持っている資格以外の資格取得を目指すことで、それぞれの技術を組み合わせた新しいアプローチが可能になるため、他のセラピストと差別化したサービスの提供ができます。
セラピストの資格を取得するメリット
ここでは、セラピストの資格を取得するメリットについて詳しく紹介します。
お客様の信頼を得られやすい
お客様は癒しを求めてサロンに来られているため、安心して体を預けることができるセラピストである必要があります。特にはじめて来店されたお客様にとって、そのセラピストが信頼に値するプロかどうかを知るには、資格の有無や提示された実績などしかありません。
そこで資格を持っていることをさりげなくアピールすれば、仮に無資格のセラピストが同じサロンに在籍していた場合、差別化でき指名率がアップする可能性もあります。
スキルアップができる
資格を取得するには、合格するラインの知識と技術が必要です。資格取得の勉強をするなかで知識が身につき、スキルアップにもつながります。
資格取得とあわせてスキルアップすることで、お客様により満足感を与えたり、施術の内容を理論的に説明しながら提案ができたりするため、リピート率アップにもつながるでしょう。
就職で有利になる
資格は、セラピストとしての知識と技術を保証するものでもあるため、就職の際に有利になることが考えられます。無資格でも採用されるサロンはありますが、やはりすぐにセラピストとして働ける人材のほうが重宝されるでしょう。
さまざまな条件が同じライバルがいた場合、資格の有無は採用の決め手となることもあり得ます。
さらに入社後の待遇にも差がつくことも。資格手当やインセンティブがあるサロンも多く、資格保有者であることが、お客様のリピートにつながることもあるため、給料アップが期待できるでしょう。
独立開業で役に立つ
セラピストのサロンは無資格でも開業することが可能です。一方で、無資格者のサロンでは、手技による人体への影響などの知識がない人に施術されることに不安を感じるお客様もいると考えられます。
開業直後は特に、お客様を呼び込むため、さまざまな手段を使って集客しなければなりません。そこで保有資格をアピールできれば、はじめてのお客様に不安を感じさせずに済むため、集客にもつながりやすくなります。
セラピストの資格を取る方法
セラピストを目指している方や、すでに無資格でセラピストとして働いている方のなかには、これから資格取得をしようと考えていらっしゃる方もいるでしょう。
そこで、セラピストの資格を取るための方法をパターン別に紹介します。
大学や専門学校などに通う
ひとつは、大学や専門学校などに通い学ぶ方法です。大学や専門学校に行くには、時間とお金のコストがかかりますが、文科省に認められたしっかりしたカリキュラムで学ぶことができ、経験豊富な教師や講師から直接指導してもらえるのは、学校ならではの環境でしょう。
国家資格には、受験資格として特定の学科の履修が必須な場合があるため、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師などを目指す方はこの方法を選ぶ必要があります。
通信講座で学ぶ
独学で資格取得を目指す場合、自分でテキストを購入して勉強することも可能ですが、合格者を輩出してきたノウハウが蓄積された通信講座で学ぶのがおすすめです。
通信講座にはさまざまな種類がありますが、資格取得のサポートが手厚い講座を選ぶといいでしょう。働きながらや子育てをしながらなど、ライフスタイルに合わせて自分のペースで学べるのがメリットです。
サロンで学ぶ
先述したように、社内研修の整った無資格OKのサロンに就職して、働きながら学ぶ方法もあります。
この場合、先輩から直接指導してもらえたり、接客のコツなどを身につけながら資格取得できるのがメリット。資格取得ができれば、一人前のセラピストとしてすぐにでも顧客を持つことができるでしょう。
ただしサロンワーク以外の時間で勉強しなければならなかったり、仕事が終わった後に技術の指導を受ける必要があったりと、体力と気力が必要な一面もあります。
セラピストが持っていると活かせる民間資格
セラピストにはそれぞれ専門領域があり、それにあわせてさまざまな資格があります。ここではセラピストが持っていると便利な民間資格を紹介しますので、どの資格を取るべきか迷ったら参考にしてください。
アロマセラピスト|公益社団法人日本アロマ環境協会
公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)は、アロマテラピー関連で唯一内閣府の認定を受けた公益法人です。アロマテラピーの正しい知識と技術を持った人材を育てることを目的にアロマテラピー検定などの資格認定を行っています。
そのなかのひとつであるアロマセラピストは、アロマテラピートリートメントを行うための知識と技術が問われる資格です。
解剖生理学や顔面の皮膚科学、精油(アロマ)に関する知識など基本的な理論と、ストレスとコミュニケーション、コンサルテーションの理論や技術などを学びます。
アロマセラピストを受験するには、同協会が主催するアロマテラピー検定1級を取得後、AEAJに入会し、アロマテラピーアドバイザー資格を取得しておかなければなりません。段階的に取得することで、アロマへの正しい知識と理解を深めることができます。
リフレクソロジーライセンス|日本リフレクソロジスト認定機構
1999年に発足したリフレクソロジーの資格認定団体であるJREC日本リフレクソロジスト認定機構は、リフレクソロジーをはじめとした自然療法による健康維持や生活サポートなどを目的に活動しています。
リフレクソロジーライセンスを取得するには、JREC加盟校で対応講座を修了した方、またはスクールに受験資格を付与される必要があります。
資格は「レギュラー」「マスター」「トップインストラクター」「サポートケア・デイリーケア・リフレクソロジスト」の4種類で、「レギュラー」はJRECリフレクソロジーの基礎の習得、「マスター」はリフレクソロジストとして独立・開業が可能なレベルの習得、「トップインストラクター」はさまざまなクライアントに対応できる上級資格です。
「サポートケア・デイリーケア・リフレクソロジスト」は高齢者や身体の不自由な方へのトリートメント習得を認定するもので、介護や看護の分野で活躍できます。
AJESTHE認定エステティシャン|日本エステティック協会
一般社団法人日本エステティック協会(AJESTHE)は、エステティシャンの養成や資格認定を行う団体で、1972年に設立されました。認定エステティシャンのさまざまな資格をキャリアに応じて設定し、これまでに10万人以上のエステティシャンを輩出しています。
AJESTHEが認定する資格のひとつであるAJESTHE認定エステティシャンは、エステティックの基礎的な資格です。担当範囲のエステティックサービスを適切に提供するための基本的な知識と技術を持っていることを認定します。
受験できるのは、認定校で一定のコースを修了した方か、規定の実務経験がある方が対象です。試験は筆記と実技があり、実技ではフェイシャル・ボディの手技のみが審査されます。
引用元
一般社団法人日本エステティック協会(AJESTHE)
カラーセラピスト|日本色彩環境福祉協会
一般社団法人日本色彩環境福祉協会は、色彩のもつ影響力を応用した芸術文化の推進や、ひとびとが健やかに暮らせる社会の実現や福祉の増進などを目指し活動しています。その目的推進のための人材育成を目的として「色彩福祉アドバイザー」「色彩福祉士」などの資格認定を行っており、「カラーセラピスト」もそのなかのひとつです。
カラーセラピストに求められる能力は、色を使って心を開放したり心の問題を解決に導いたりするもの。たとえば色彩交流カードを用いたセッション、色彩コラージュの作品づくりなどを通してお客様の心の解放を促します。
色彩理論や心理学の基礎、カラーセラピー技法、カウンセリング技法などを段階的に身につけられる資格で、誰でも受験が可能です。
臨床心理士|日本臨床心理士資格認定恊会
心の専門家である臨床心理士は民間資格ですが、公立の小中学校などでスクールカウンセラーとして活躍される方がいるなど、一般的にも認知度の高い資格だといえるでしょう。
公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会は、この臨床心理士を認定する唯一の団体です。
資格取得は、臨床心理士の養成課程のある大学院や協会指定の大学院を修了した方、または医師免許を持っている方に限定されます。受験資格は比較的厳しいものですが、資格を取得できれば、教育や医療・保健、福祉や司法などさまざまな分野で活躍できる、社会貢献度の高い資格です。
セラピストが持っていると活かせる国家資格
セラピストの資格は民間資格だけでなく、国家資格もあります。ここからは、セラピストとして活躍する幅を広げるのに役立つ国家資格を紹介しましょう。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、体の不調やコリなどを手技でもみほぐしたり脊椎のゆがみを矯正したりして、症状の緩和や体力回復などをはかります。マッサージを患者やお客様にできるのは、医師以外であん摩マッサージ指圧師のみです。
原則として高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣が認定する学校や養成施設で3年以上の課程を修了し、国家試験に合格後名簿に登録、免許の発行を受けてはじめてあん摩マッサージ指圧師として活動することができます。
資格取得できれば、あん摩マッサージ指圧師として独立・開業も可能で、マッサージサロンに就職したり高齢者施設やスポーツ施設に就職したりと、幅広い活躍が可能です。
引用元
あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行:厚生労働省
あんまマッサージ指圧師:jobtag
理学療法士
理学療法士はPT(Physical Therapist)とも呼ばれ、身体の障害をお持ちの方やこれから障害が出ると予想される方に対し、運動療法や物理療法を用いてリハビリテーションを行う専門職です。
資格取得のためには、大学・短大・専門学校などの養成校で3年以上学ぶ必要があります。また後述する作業療法士の資格を持っている方は、2年以上の履修で受験資格を得ることが可能です。
試験は筆記で、解剖学や生理学、臨床心理学などの一般問題と、運動学やリハビリテーション医学などの実地問題があり、視覚障害をお持ちの方は口述試験と実技試験で受験することもできます。
作業療法士
作業療法士は理学療法士とも通じる資格で、日常生活に必要な動作や社会的適応能力の訓練を行い、病気やケガによる心身の障害や生まれつき障害をお持ちの方に寄り添います。障害をお持ちの方がその人らしく生きるため、社会参加を促すための訓練を通じて支援する仕事です。
作業療法士になるには大学や専門学校などの養成施設で3年以上学び、必要な知識と技術を習得しなければなりません。医学的な基礎知識や作業療法にまつわる専門分野の授業と臨床実習など、必要なカリキュラムをこなします。
試験は解剖学・生理学・運動学・リハビリテーション医学・作業療法などの一般問題と実地問題で、理学療法士と同様、視覚障害をお持ちの方は口述試験と実技試験を受けることが可能です。
はり師・きゅう師
はり師・きゅう師は鍼灸師とも呼ばれますが、それぞれ別の資格です。東洋医学にもとづいた医療法のひとつで、副作用がほぼないと言われており、はり(鍼)やきゅう(灸)を使って、身体のツボを刺激し人間の自然治癒力を高めます。
試験ははり師・きゅう師ともに共通の科目が出題されるため、どちらかを受験すれば片方は免除され、それぞれの専門科目である「はり理論」「きゅう理論」両方に合格すれば鍼灸師として活動可能です。
試験は筆記で、医学概論・衛生学・関係法規・解剖学など12科目と、それぞれの専門科目。視覚障害をお持ちの方は、拡大文字や点字による受験もできます。
引用元
はり師・きゅう師:jobtag
はり師国家試験の施行:厚生労働省
きゅう師国家試験の施行:厚生労働省
柔道整復師
柔道整復師は「ほねつぎ」「接骨師」「整骨師」としても認知されている資格で、骨折や脱臼・捻挫・打撲・挫傷などの治療を行います。外傷性のケガの治療ができるのは、医師以外では柔道整復師のみです。
試験は筆記試験で、解剖学・生理学・運動学・病理学概論・衛生学・整形外科学・柔道制服理論・関係法規など。視覚障害をお持ちの方は、点字やDAISY-CD(デジタル録音図書)を使用した受験も認められています。
受験資格があるのは学校教育法にもとづいた大学入学の資格を持ち、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事の指定した養成施設で3年以上、必要な知識・技術を習得した方です。
公認心理師
公認心理師は日本ではじめての心理に関する国家資格で、活躍できる領域は上述した民間資格である臨床心理士とほぼ同じです。診療報酬の加算は公認心理師のみに適用されますが、2020年の改定で一定の条件を満たす臨床心理士は当面の間、公認心理師とみなすとされています。
公認心理師の資格取得には7つのルートがありますが、基本的に4年制大学で必要な科目を履修している方や文部科学大臣または厚生労働大臣が4年生大学で必要な科目を履修している者と同等の能力があると認めた方などが対象です。
引用元
公認心理師試験の受験を検討されている皆さまへ:厚生労働省
公認心理師法の施行について:厚生労働省
資格を取得してセラピストとして活躍しよう
セラピストの内容は幅広く、資格がなくても目指せる一方で専門的な知識や技術を身につける必要がある仕事です。
セラピストの資格には、民間資格や国家資格でいくつも種類がありますが、お客様の信頼を得やすい、就職で有利、それぞれの専門性をかけ合わせて独自のサービスができる、スキルアップにつながるなど、さまざまなメリットがあります。
自分自身が目指す領域のセラピストに必要な資格を取得して、活躍しましょう。
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