「あなたのことをしっかりと覚えています」これで相手の印象も変わります!
技術面は自信があるけれど、接客は苦手という方も多いのでは?お客さまに喜んでいただくためには、接客もマストです!今回は、お客さまとの距離を縮めるための接客術について、元国際線キャビンアテンダント(以下CA)で現在は医療コンシェルジュとして活躍されている永田潤子さんにレクチャーしていただきます。
指名をいただいたりリピートをしていただくためには、お客さまから信頼を得ることはもちろんですが、関係性を築いて距離を縮めていくことが重要です。では実際にどんなことをすれば距離が縮まるのでしょう? 具体的な接客術や注意点をうかがいました。
覚えてますアピールで印象づけて
「お客さまとの距離を縮めるためには、何回か継続的にいらっしゃっている方には、こちらが『前回のことを覚えていますよ』ということをさり気なくアピールするのも大事だと思います。何回もいらっしゃっているのに、毎回一からお話を聞くのは失礼ですよね。『この間はこうおっしゃっていましたよね』とか『前回のこれはいかがでしたか?』と言われれば、お客さまも『あ、覚えていてくれたんだ!』と、悪い気はしないでしょう」
名前を呼びましょう
「会話のなかでお客さまの名前を呼ぶことは、距離を縮める上でとても大事なことだと思います。名前って、すごく個人的なものですよね。それを声に出して呼ばれると親近感を覚えるんです。『こちらにおかけください』と、『○○さん、こちらにおかけください』では、ちょっと印象が違いますよね。『あ、私の名前を覚えてくれているんだ』とうれしい気持ちになる方もいます」
「名前を呼ぶことによって、実は自分もお客さまの顔と名前を覚えられるので、一石二鳥なんです。顔と名前を一回で覚えられる人もいれば、私もそうですが、覚えるのが苦手という人もいますよね。顔と名前を覚えることはものすごく大切な接客スキルなので、苦手な人はぜひ実践してみてください」
プライベートな話で親近感アップ
「会話術の基本としては、お客さまの話9に対して自分の話は1ぐらいで聞き上手になるのがいいと思いますが、距離を縮めるためには自分のプライベートな話をすることも有効だと思います。お客さまが同性や同世代なら、『私も○○に住んでいるんですよ』とか『話題のお店にこの前行って来たんです』など、出身地や住んでいる地域に関する話や、趣味や休日の過ごし方といった友人同士でするような話から会話が広がり、共通の話題が見つかるとさらに親近感もアップすると思います」
「病院の場合は自分より年配の方のほうが多いので、同世代のようにプライベートな話から会話を広げるのは難しいこともあります。そこで大事なのは、質問をして相手の情報を得ること。失礼なことやあまり立ち入ったことは聞いてはいけませんが、質問の応えから話題を広げて何かしら共通の話題を見つけ、そこから距離を縮めていくことはできると思います」
距離を縮める言葉遣い
「CAが名前をお呼びするときは『様』を付けるのが基本で、『さん』はあり得ませんでした。ところが病院では、継続的に通っていらっしゃる患者さんには、『様』では距離を感じさせてしまうんですよね。こんなふうに、業種や仕事内容、相手との関係性によっては、『さん』のほうがいい場合もあります」
「ただ、自分は距離を縮めるために丁寧な言葉遣いを取り払ったつもりでも、お客さまに失礼な印象を与えてしまうこともあるので、注意が必要です。あと、どんなに距離が縮まっても、『です・ます』は守った方がいいと思います。『です・ます』を守っていれば、敬意を持って接している、その方との関係を大事にしているということが表現できます。何年も継続的に関わっているのにいつまで経っても丁寧な敬語というのでは、やはり距離を感じさせてしまいますので、『えっ、大変! ○○ですね』のように、敬語と敬語ではない言葉を混ぜて使うといいと思います」
距離を縮める理由
「業種によってお客さまとの関係性もさまざまだと思います。CAはお客さまにお仕えする立場ですが、医師や看護師はまったく違って、患者さんに時には指示をしなければならない立場。ですから距離を縮める理由も方法も違うと思います。『一緒に病気を治そう』という意味で、医師や看護師が患者さんに家族のような気持ちで接することがあります。そういうときはくだけた言葉を一部取り入れることもありますね。患者さんの心に一歩踏み込むために、よりよいコミュニケーションを図るためには、ときにはそういう気持ちで距離を縮めることも必要なんだと思います」
Profile
永田 潤子さん
津田塾大学学芸学部卒業後、日系航空会社に入社し国際線のCA(キャビンアテンダント)として乗務。在職中にソムリエの資格を取得し、フライトやプライベートを利用して、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ等のワインセラーを巡るのが楽しみだった。産休中に英語通訳案内士の資格を取得、老後にボランティアをしたいと考えている。現在は医療コンシェルジュとして病院に勤務している。
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