のびのびと働ける場所を増やすために…コミュニケーションのこだわり『VREEA』
原宿駅から徒歩5分。小さなショップが並ぶ路地にある『VREEA』。代表の鶴見俊介さんは人とのコミュニケーションを大切にしたお店作りをしています。前編では美容師になった経緯や独立した経緯、そしてターニングポイントごとのお客さまとの関わりをお話いただきました。後編では、スタッフとの関わりや今後の展開について話を伺います。
「個性がない」のがお店の個性
――お店のコンセプトはなんですか。
「実は、お店の個性がないのがVEREEAの個性だと思っています。時代に合わせて流行を取り入れながら、1人ひとりが目指すスタイルを築く。時代や人に合わせて変化していくお店のスタイルがあっても、それはそれでいいと思っているんです」
――立ち上げ当初から今と同じ方針でやってきたのですか?
「いいえ。一時期はスタッフに対して高圧的な態度をとっていた時期もありました。でも僕自身がお客さまやスタッフに成長させられている、助けられていると気づいたことで変わりました」
――何か気づくきっかけはあったのでしょうか。
「30歳を迎えたからというのもあるとは思いますが、子どもが生まれたことも大きいですね。26歳から30歳まではがむしゃらに物事を進めてきたのですが、これからは自分自身、人としてもっと成長していきたいという心境の変化が起きました」
経営者は孤独=距離を持つことではない
――現在のスタッフ数は何名ですか。
「今は9名です。スタッフはみんなやる気があって、お店が好きならそれでいいと思っています。技術は教えることができるので、それよりもどこで生まれ育ったか、どういうことをしてきたのかという人間性の部分が気になりますね」
――お店に合わせてスタッフを雇うのではないのですね。
「そうですね。“お店の色に合わせろ”って言いたくないんです」
――スタッフにせよ、お客さまにせよ、相手を大切にする姿勢が強いんですね。
「最初からこの考えだったわけではないんです。かつては育てようと思ってもうまくいかず、人について悩みを抱えることも多くありました。特に美容師は、この仕事に就つかなければ高卒扱いになる人が多いのが現状です。美容師以外の仕事に就こうと思っても、資格を持っているのに学歴が邪魔をして仕事が限られてしまいます。コミュニケーションがうまくいかなかったころは、もっと自分に何かできたのでは?とよく悩んでいました」
――今のスタッフとはどのようなコミュニケーションをとっていますか。
「いつも、彼らのことをもっと知りたいと思っているので、一緒にご飯食べに行ったりしますね。年に1度、社員旅行もします。今年はできなかったので、来年は実行したいですね。経営者は孤独であれとよく言われますが、それって当然のことで言うまでもないんです。でも距離を保つこと=孤独であること、ではありません。仕事をするうえでコミュニケーションは欠かせないので、経営者ですがスタッフと距離を持とうとは考えていません。仕事はチームでするものですからね」
のびのびと働ける場所を増やしたい
――お客さまだけでなくスタッフとのコミュニケーションも大切にしているのですね。
「はい。今はスタッフみんながのびのびと仕事をしていると思います。厳しくしないのかと言われるけど、このやり方があっているし、結果も出ています。スタッフたちのためにも、こういうのびのびと働ける場所をもっと増やしたいですね」
――では今後の展開としても、拡大を目指しているのですか?
「はい。人を雇っている以上、お店を大きく成長させなくてはいけないと思っています。早く拡大させて、雇用を生み出したいです」
――そのほかに今後の展開で考えていることはありますか。
「この場所をメディア化できないかと考えています。美容師は個人で戦っていることが多いのですが、組織としてひとつの力となり、常に発信できるようになりたいですね。何事も新しいことにチャレンジすることが、僕の使命だと思っています」