外側はもちろん、内側からも美を磨く！『RUCCA』
「より自分らしいビューティーライフを叶える」をコンセプトに、ヘアやネイル、エステといった外側から与える美容だけでなく、ヘルスコンシャスなライフスタイルをも提案する人気サロン「RUCCA」。モダンな店内には奈良県の飛鳥村から届く無農薬野菜を扱うマルシェコーナーを設けるなど、もはやヘアサロンの枠を超え、内側から健康でかつ美しくなるというテーマを発信するコンセプトショップ的な一面も。今回はそんなかつてない美容空間の生みの親であり、自身もスタイリストとして活躍する代表取締役の筒井雅裕さんのもとを訪れました。
当初からインナービューティーを重視
――無農薬野菜の販売など他のサロンではあまり見かけない取り組みをなさっていますが、いつの時点で健康志向や内側からの美しさを意識し始めたのでしょうか？
「髪や肌は細胞の一部で、それらを美しく健やかに保つにはやはり食事や体の健康が大切。以前からそう考えていたので、約9年前のオープン当初からインナービューティーというものを強く意識していました。最初はヘアサロンだけでしたが、パリで最も予約が取りにくいとされるセラピストが手がけたSHIGETAのプロダクトを大阪のサロンで唯一扱わせていただく機会に恵まれたためエステサロン“MICHI BY RUCCA”を併設し、ネイルサロンを増やすなどして現在の形になりました。また、無農薬野菜のマルシェは今の所常設ではないのですが、中にはお野菜を求めてご来店くださるお客様もいるんですよ。一般的に美容師は忙しくて食事もままならないという印象があり、そういったお店が多いのも事実ですが、うちの場合はまずお客様に対し美について提案するスタッフ自身が、健康で美しくいるべきだと考えているので、毎日お昼ご飯はスタッフが当番制で人数分を料理し、手が空いているスタッフ同士で食卓を囲むようにしています。これには健康面以外にも理由があって、大人数の料理を作るには段取りが非常に大切になりますよね。段取りというのはすべての仕事の基本。だからこそ日常的な作業で段取りを体得する、という練習も兼ねているのです」
自分たちの価値そのものを資産価値に
――調理で段取りを学ぶというのは非常にユニークな視点ですね。RUCCAさんはスタッフ教育に定評がありますが、具体的にどのように実施されているのでしょう？
「美容師は技術職なので自分の技術そのものが価値として身につく仕事です。そのため常に美容を追求しテクニックの向上を目指すというのは当然ですが、それに加えてキャリア教育も重視していますね。そのために美容業界のセミナーだけでなく、例えば金融系企業が実施しているビジネス系セミナーを受講したり、他分野の人とディスカッションする機会なども作るようにしたりしています。美容業界の繋がりだけではなかなか得られない意見や考え方を身に付けることで、仮に自身が経営に携わることになった場合にも対応できる人材になってほしい。また、当店の顧客であるハイエンドなお客様との会話にもそういった学びで得た知識が活かされると考えています。スタッフというのはサロンの遺伝子を継ぐ存在だと思っているので、厳しい面もあると思いますが、若いスタッフにも責任ある仕事を任せることで、社会人としての力や意識を高めることに繋がるはず。ハイレベルな技術と幅広い知識、さらにお客様の機微を察することができるような、内面的な部分でも支持されるような美容師になってもらうことが教育の目標です」
自分なりの経営哲学で新たな価値を創造
――スタッフ教育はもとより、筒井さんご自身が非常に経営に対してもクリエイティブに取り組まれている印象がありますが？
「父が教師、母が栄養士という家庭で育った影響もあってか、大げさに言えば社会や人に対し良い影響を与えることをしたい気持ちが強くあります。その考えがサロンのコンセプトや経営に反映されるようにスタッフの意見を聞き労働環境を整えたり、美容室という枠に捉われず、人と違うことや新しいことを取り入れたりするのが僕の信念。経営に関しても美容師として学び始めた10代の頃から積み重ねた経験を元に、今の方法にたどり着いたという感じでしょうか。様々なメニューを扱うサロンをトータルビューティーサロンと言いますが、各コンテンツがそれぞれ存在しているのではなく、互いに影響し合うことでシナジー効果をあげるような店作りをすることを重視しています」
経営の隅々にまで独自のメソッドを取り入れてサロンの新たな展開を模索する筒井さんですが、実は美容師を志す以前は建築デザイナーの道に進もうと思っていたそう。後編では、美容業界に入った経緯やヘアスタイリストとして、経営者としての今後の展開を中心にお話を伺います。
Profile
筒井雅裕さん
代表取締役
大阪出身。店舗などを手掛ける建築デザイナーに憧れつつも、叔父の影響もあり高校3年の時に美容師の道に進むことを決意。ヘアサロンを軸にしつつも、美と健康をサポートする活動に積極的に取り組むほか、ボランティアとして施設でのカットなどにも参加。
