美容師のセカンドキャリアにはどんな選択肢がある?美容師資格を活かしてできる仕事やおすすめの資格も紹介
美容師は国家資格で試験の難易度も高いことから、免許を取得できたときの喜びや感動を今でも覚えているという美容師の方も多いでしょう。
しかし今の職場に不満があったり、仕事がきついと感じたりして転職を考えてしまうこともあるかもしれません。
美容師がセカンドキャリアを考えたとき、どんな選択肢があるのか知っておきたいという方に向けて、美容師のセカンドキャリアにおすすめの仕事や美容師資格を活かせる仕事、美容師の仕事を続けながらできるキャリア形成の方法などをお伝えします。
美容師がセカンドキャリアを考えるのはどんな時?
セカンドキャリアとは、言葉の意味のとおり第二の仕事、職業人生における次のステップのこと。
美容師がセカンドキャリアを考えるきっかけとして、どんなことがあるのかを見ていきましょう。
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労働環境への不満
どんなに好きな仕事でも、労働環境が悪いと心が折れてしまうこともあるでしょう。
美容室は10時開店19時閉店とすると、営業時間は9時間ですが、開店前の準備や開店後の片付け、終わったあとの自主練習なども含めると12時間以上拘束されるということもある業界です。
さらに休日は週1回、その一日しかない休みも研修などの用事が入ればしっかり休息することもできません。土日や大型連休に休みがとれず、家族や友人との時間を確保できないことにストレスを感じる人もいます。
業務の肉体的負担がつらい
仕事中、多くの場合美容師は立ちっぱなしです。特にアシスタントや新人スタイリストは、先輩が立ち働いているのに自分だけ座るわけにもいかず、足のむくみに悩まされたり腰に痛みを感じたりすることも。
一日中ハサミを握るため腱鞘炎になったり、シャンプーやヘッドスパなどの施術を繰り返すことで手荒れを起こしたりと、ハードな一面があるのも事実です。さらにアシスタントや新人時代には、仕事が終わってから自主練習するため帰りが遅くなり、次の日にまで疲れが残ったり睡眠不足が続いて辛いと感じたりすることもあります。
将来への不安
上記のように、労働時間が少なかったり肉体的負担も大きいと感じるわりに、給料が少ないケースもあります。その場合、結婚や出産などライフステージが変わってからの生活を思い将来が不安になったり、老後の将来設計が立ちにくかったりして、セカンドキャリアを考えるきっかけになることも。
また特に肉体的に辛いと感じている人は、年齢を重ねてもこの仕事を続けられないと、キャリアチェンジを考えることにつながります。
美容師の離職率は高い?
美容師の離職率は高い傾向にあります。令和4年雇用動向調査の結果によると、美容師を含む「生活関連サービス業・娯楽業」の離職率は18.7%。「宿泊業・飲食サービス業」が26.8%、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が19.4%なので、突出して高いわけではありません。
しかしすべての産業のなかで3番目に離職率が高い業種であることに違いはなく、その背景には先述したような理由が考えられます。
美容師の離職率については以下の記事でも詳しく解説しています。
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美容師がセカンドキャリアを築くための選択肢とは
セカンドキャリアを考えたとき、美容師がとるべき選択肢には大きく3つがあります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
違う職種への転職
きっぱりとハサミを置いて、美容師以外の職に就くという選択肢です。エステティシャンやネイリストなど、美容師以外の美容系職種や、まったく畑違いの事務や販売員など。
この場合、何歳からであろうが一からキャリアを築いていくことになります。
もちろん、美容師免許を活かしてできる違う職種への転職も可能です。美容師免許がなければできない仕事には、アイリストやメイクアップアーティストなどがあります。
独立開業
独立開業で自分自身がオーナーとなるセカンドキャリアもあります。スタイリストとして働き始めたときから、独立開業を視野に入れて準備をする人も。
まとまった資金が必要な店舗開業だけでなく、フリーランスとして業務委託美容師になったり、面貸しやシェアサロン、訪問美容師として活躍する方法もあります。
違う美容室への転職
実は美容師業界全体の労働環境が悪いわけではなく、美容師が転職を考えるきっかけとして紹介したような労働環境ばかりではありません。昨今では、休憩時間や休日をしっかりとれるように配慮している美容室や、福利厚生が充実している美容室も増えています。
頑張ってくれたスタッフにできるだけ還元したい、と奮闘している経営者も多くいることは知っておきましょう。
美容師免許は、最短で2年以上の月日学ばなければならず、国家試験も簡単ではありません。苦労して手に入れた美容師の資格を眠らせてしまうのではなく、自分が働きやすい環境の美容室を探してみるのもおすすめです。
美容師としてのキャリアプランにはどんなものがある?
美容師のキャリアプランについて、改めて考えてみましょう。あくまで美容師として将来設計をする場合、どのような道があるのでしょうか?
美容師として経験を積み、キャリアアップするには以下のような方法があります。
・店長やマネージャーなど幹部への昇進
・講師業
・美容メーカーや美容室のコンサル業
・フリーランス美容師
せっかく手にした美容師免許を活かせるセカンドキャリアも多くあることがわかります。
美容師資格を活かしてできる仕事6選
美容師免許は国家資格なので、免許取得までにそれなりの期間を要し、受験要項を満たさなければならないため、誰もがとれるものではありません。美容師は、美容業の基礎をしっかりと持っているため、ほかの仕事にも活かすことができます。
美容師免許を活かせる美容師以外の仕事には、どんなものがあるのかを見ていきましょう。
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1. アイリスト
アイリストは美容師免許がなければできない仕事です。厚生労働省では、美容師国家試験の実技にまつエクを導入することも検討しています。
アイリスト業界では、限られた美容師免許保有者しかできないため人材不足が叫ばれており、美容師資格をもった転身者は歓迎されるでしょう。
引用元
厚生労働省:まつ毛エクステンションの実技試験導入に関する報告書
2. ネイリスト
ネイリストは美容師から転身する人も多い職種です。美容師は、もともとオシャレや美容に興味がある人が多いので、手元を美しくするネイリストとも親和性が高いのでしょう。
自分の施術でお客さまに喜んでいただけるという点でも共通点があります。美容専門学校のカリキュラムにネイルが含まれていることもあり、資格も必要ないため転身しやすい職業です。
3. 美容部員
美容部員は化粧品販売員とも言い、おもにデパートのコスメカウンターやドラッグストアなどで、化粧品を販売する仕事です。
美容の知識を活かせるため、美容師から転身するのにおすすめの仕事だと言えます。
特に美容部員は、タッチアップといって化粧品のよさを伝えたり新商品のお試しをしたりするのにお客様にメイクをすることもあるため、美容専門学校で培った知識や技術が役立つでしょう。
4. ヘアメイク
美容部員と通じるものがありますが、ヘアメイクの仕事も美容師の仕事と親和性が高いです。
先述したように美容専門学校のカリキュラムで基礎を学ぶこともあり、美容師としてヘアセットとともにヘアメイクをしたという経験がある方もいるかもしれません。
フリーランスのヘアメイクアップアーティストや写真スタジオ、結婚式場などで働くことができます。
5. 訪問美容師
訪問美容師とは、病気やケガ、妊娠などの事情を抱えて美容室に足を運ぶことが難しい方のところに出向いて、カットなど美容の施術をする仕事です。
高齢化が進む日本では、今後需要はますます高まると考えられており、フリーランスとして活躍することもできます。
施術道具を抱えてお客様の自宅や施設などに行かなければならないため、自動車免許や車の保有も必要です。
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6. 美容系メーカー企業
お客様に施術をする立場ばかりでなく、美容機器や化粧品を作ったり販売したりする企業への就職も可能です。
美容機器メーカーや化粧品メーカーなどに就職すれば、美容師の知識や経験が役立ちます。場合によっては、商品の開発に携われるかもしれません。
そのほか、美容ディーラーに就職して薬剤やシャンプーなどを美容室に卸す立場になれば、これまでの知見を活かすこともできるでしょう。
美容師のセカンドキャリアにおすすめの3つの資格
美容師資格はさまざまなことに活かせるため、選択肢が多すぎてかえってセカンドキャリアを決められないという方もいるかもしれません。
ジョブチェンジする場合、就職を有利にしたり自分自身の安心材料にしたりするために資格をとるのもおすすめです。ここでは美容師のセカンドキャリアに活かせる民間資格を3つ紹介します。
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1. 日本化粧品検定
メイクアップアーティストや美容部員にジョブチェンジしたい方におすすめなのが、日本化粧品検定の資格です。
日本化粧品検定は文部科学省が後援する信頼性の高い資格で、化粧品や美容に関する知識が問われるもの。3~1級までがあり、3級はWeb試験で誰でも何度でも受験することができますが、2級からは会場受験となります。
2・1級は併願受験も可能で、2級は美容全般の知識を、1級は化粧品の知識を深堀した化粧品科学の知識が問われます。
2. 着付け技能検定
写真スタジオやブライダルサロンなどへのジョブチェンジにおすすめなのが、着付け技能検定の資格です。
職業能力開発促進法による技能検定試験に「着付け」が加わり、その指定試験機関として、厚生労働大臣から指定されたのが、全日本着付け技能センター。検定試験は学科試験と実技試験で、2級と1級があります。
学科試験では、着物の知識や名称・歴史・着方やたたみ方・関係法規などを問われ、実技試験では指定の着物を制限時間内に着付けなければなりません。
3. ネイリスト技能検定
ネイリストへの転身を考えている方におすすめなのが、ネイリスト技能検定の資格です。
いくつかあるネイルの資格のなかでも有名で、国際的にも通用する正しいネイルの技術と知識が得られます。
3~1級までがあり、3級ではネイルの基礎的な知識や技術を、2級ではサロンワークに必要なネイルケアやアートなどの知識と技術、1級ではトップレベルのネイリストとしての総合的な知識と技術が必要です。
試験は筆記と実技。3級の合格率は84.98%と高いですが、1級になると39.22%と一気に難易度が上がります。
公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター:ネイリスト技能検定
美容師 + αでキャリアを築くのもおすすめ
セカンドキャリアを考えるのが、美容師の仕事は好きだけど、給料に満足できないという理由であれば、美容師を続けながら副業でスキルを活かすという選択肢もあります。
個人で発信する手段が多い現代では、アイデア次第で可能性は無限大です。ここからは美容師をしながら、美容師の知識や経験を活かしてできる仕事にはどんなものがあるのかを見ていきましょう。
美容師 + カメラマン
もし趣味で写真を撮っていたり、カメラに興味があったりするのであれば、休日にカメラマンをするという方法があります。
ヘアメイクの技術で花嫁や新郎の容姿を整え、ウェディングフォトを撮ったり、モデルを使って自分の技術を写真に収め、Instagramなどで発信するのも手です。
モアリジョブでは、美容師を本業としながら副業で写真撮影や映像制作を手掛けるミウラケイスケさんのインタビュー記事を掲載しています。
- 「それぞれ自分の仕事を楽しみながら続けていくのはもちろん、若い世代の方にとって美容師以外の働き方もできるというロールモデルになっていけたらと思っています。美容師の仕事だけを極めることもすてきですが、それだけでは息が詰まってしまう人には僕のようにもうひとつ好きなことを仕事にできるということを知ってほしいんです。」
インスタを駆使し写真展も実現。美容師とカメラマンどちらも極めるミウラケイスケさん
美容師 + YouTuber
美容師の仕事はYouTubeと相性がいいと言えます。美容情報をYouTubeやInstagramなどSNSで収集している層に向けて、ヘアケアやヘアアレンジの方法、髪の困りごとへの対処法など、プロの視点で発信するのがおすすめ。
YouTubeの広告収入やアフィリエイト収入だけでなく、YouTubeを見てファンになってくれた方がお店に来てくれる可能性も高まるため、集客にもつながります。
美容師 + 福祉
美容師の仕事を福祉に活かしたい方は、介護美容師・福祉美容師がおすすめです。
訪問美容師と言われることもあるこの仕事は、病気やケガ、障害や妊娠などの理由で美容室に行けない方を対象に施術をおこないます。
美容師免許があればすぐにでもはじめられ、本業との両立やフリーランスとしての活躍も可能です。
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美容師 + マーケター
マーケターとは、企業のマーケティングをおもに担う仕事です。ひらたく言えば、商品やサービスが売れる仕組みを考えたり、宣伝広告の施策をおこなう仕事。
美容師の知見を活かすなら、美容室のマーケティング担当をしたり店舗開発に関わったり、コンサルタント業務を担ったりと、さまざまな方法で活躍することができます。
またヘアショーやコンテストなどのイベント企画では、自身の経験を活かすことができるでしょう。
希望の条件に合う美容室を探す方法は?
勤めている美容室の待遇面に不満があるけれど、美容師の仕事を続けたいという場合は、福利厚生や給与の面で満足できる美容室に転職するのがおすすめです。
よりよい待遇の美容室を見つけるには、転職エージェントを利用したり職業紹介のサービスを利用したりする方法があります。しかしエージェントなどを利用すると、登録に出向かなければならなかったりエージェントとの面談ややりとりなどの手間が発生してしまったりするため、仕事をしながらの転職活動には向かないかもしれません。
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今のサロンで働き続けるか迷ったらセカンドキャリアについて考えてみよう
美容師として行き詰ったように思える状況でも、よく見渡してみれば業界自体を辞める必要はないかもしれません。「自分自身」ではなく「職場」に問題がある場合もあるからです。あるいは、職場との相性が極端に悪く、実力が発揮できずに苦労しているだけかもしれません。
美容師の資格を活かせる仕事は数多くあるため、選択肢は豊富です。しかし美容師の仕事が好きで続けたいと思うなら、条件のいい美容室への転職を考えてみるといいでしょう。
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