有名タレント、モデルから圧倒的支持を得る人気店『air』の信頼を獲得するブランディング術とは?
ファッション誌最盛期に人気モデルたちがこぞって指名するヘアメイクとして注目を集めた『air』。10年以上経つ今もサロン業はもちろん、広告、CMなどのヘアメイクでも第一線を走り続けています。
現在は関東のほかにも、関西、九州でサロンを展開。前編では、これまでどのようなブランディングを行い、お客さまからの支持を獲得してきたのかを『air』ディレクターの金丸佳右さんに伺いました。
業界で重宝された、美容師によるヘアメイク
――――雑誌や広告などのヘアメイク業でも支持される『air』ですが、メディアで活躍するきっかけはなんだったのでしょうか。
「僕たちがヘアメイクを担当するようになった10数年前は、蛯原友里さんや押切もえさん、山田優さんなど雑誌のモデルたちがファッショントレンドを作り上げている時期でした。airチームは人気モデルたちに呼ばれてヘアメイクを担当するようになったんですが、それまで雑誌でヘアメイクをする美容師はいなかったんです。だから、僕たちはすごく重宝されて、彼女たちや事務所のつながりをきっかけに、メディアの仕事を増やしていきました。だいたい、月に100本以上の撮影をこなしていましたよ」
――――重宝された理由はなんでしょうか?
「ヘアメイクさんが担当するのは、あくまでもセットのみ。そしてサロンのようなスペースは持っていません。でも美容師なら髪をカットできるし、場所も持っている。だから、撮影後にモデルと一緒にサロンに戻ってヘアメンテナンスをしたり、通常は編集部のオフィスやスタジオで仕込むところをうちのサロンで済ませたりしたので、周りからは『安定感、安心感がある』と評価をいただいていました」
――――なるほど。美容師のヘアメイクに需要がある事を感じ、そこに戦略を見出したのですね。
「そうですね。僕たちはただ単純にこの仕事がすごく好きなので、向上心を持って努力し続けた結果、依頼も自然と舞い込んでくるようになりました。また、当時はモデルがすごくフューチャーされていましたから、雑誌でヘアアレンジ特集が組まれると反響はすごく大きかったです。さらに爆発的なブログブームがあったこともあり、モデルたちが記事に書いてくれることで認知度も上がっていきました。僕たちが『美容師はヘアメイクをしない』という概念を打ち破ったことで、うちだけでなくいろんなサロンのスタイリストたちがヘアメイクの世界で活躍する機会が増えていったように思います」
自分たちでやり遂げるからこそ得られる成果
――――サロンの出店や商品のプロデュースをするうえでのこだわりがあれば、教えてください。
「とにかく妥協しないで、全力で取り組むことです。『air』はサロンの内観や作り上げるスタイルから派手なイメージを持たれるかもしれませんが、中身はゴリゴリの体育会系なんです(笑)。だから、どんなに忙しくても新たに出店するとなれば、幹部はみんなで集まり納得いくまで話し合います。深夜0時に集まって明け方までミーティングをすることもよくありますよ。社長が全員の意見を聞こうとしてくれるので、その分スタッフも本気で意見を出し合う。そういったことを繰り返しているので、1つひとつの出店や商品作りにすごく想いが詰まっています」
金丸さんが以前に4人チームでプロデュースした、シザー3種類。使いやすさはもちろん、色や素材にまでこだわり抜いた逸品
――――金丸さんも新商品をプロデュース中だと伺いました。
「はい。airプロデュースのワックスを11月に発売予定で、それにまつわる業務は僕がすべて担当しています。カメラマンと撮影イメージの打ち合わせ、関係者とのスケジュール確認など、細かな業務も全部サロンワークの合間にやっています。一般的に幹部クラスはこういった雑務をやらないことが多いと思いますが、全部自分でやるのがairスタイル。決して楽はしません。むしろ自分でやらないと気が済まないし、すごく大変ですが、楽しさもあるんですよ。そしてこれだけの経験を積めることがありがたいと思っています。外注したほうが、クオリティが上がって時間もかからずにできあがると思うこともありますよ。『それでも自分たちでやることに意味がある』というのが、なんだかairっぽいんですよね(笑)」
大切なのはお客さまへの姿勢と組織力
――――『air』がメディアやお客さまから支持される理由はどのようなポイントにあると思いますか?
「どんな時でもお客さまと一対一で向き合う姿勢を最優先してきたからだと思います。実は最近、以前ほどヘアメイクの仕事を受けていないんですよ。というのもありがたいことにサロンの名が知れ渡り、どんどんとお店が忙しくなっているんです。なので、サロンワークを中心にシフトチェンジしながら、ヘアメイク業のバランスを調整しています。お客さまにひたむきに向き合うことが『air』の信念ですから」
――――全員がこの信念を貫いているからこそ得られる評価ですね。
「そうですね。そして、『air』の最大の強みである団結した組織力も支持をいただく大きな理由だと思っています。マネージャーからアシスタントまで、スタッフはいつでもアクセル全開で動いています。それは、先ほどお話ししたように僕たち幹部は常に全力で駆け抜けていて、それを見ている後輩たちにとってもそれが当たり前になっているから。全員が同じ方向を向いて走っているからこそ、『air』のパワーはどんどん大きくなっているんです」
信頼を獲得するブランディングの極意
これまで数多くの有名人やメディア関係者、お客さまからの信頼を得てきた『air』。ブランディングの極意は下記の3つでした。
1.美容師の強みを生かしたヘアメイク
2.一切妥協せず、手抜きのないプロデュース
3.お客さまと一対一で向き合う姿勢と組織の団結力
後編では、スタッフが全力で働くための集客術と教育論について伺います。
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