『パワプロ経営』で成果を上げる!『IJK OMOTESANDO』のスタッフにやさしいサロン作りの極意に迫る
2016年にオープンした美容室、『IJK OMOTESANDO』。今年の5月には拡張移転を果たし、いま勢いに乗っている注目のヘアサロンです。代表の芝原さん、店長の釼持さんは29歳、副店長の川井さんが27歳と若いスタイリストで構成されており、それぞれが同年代のおよそ倍の年収を稼ぎ出す人気ぶり。またオープン当初から完全週休2日制を導入し、スタッフが働きやすい環境が整っています。
そんな『IJK OMOTESANDO』が成果を上げ続けている背景には、自分が不得意なことは積極的にスタッフに任せる経営術や、スタッフが落ち着けるスペースを広くとった快適な空間作りがありました。今回は代表の芝原俊輔さんにインタビュー。スタッフにやさしいサロン作りの極意を伺いました。
自分の指示通りにできあがったサロンは、おもしろくない
————まず、芝原さんがサロン経営で常に心掛けていることを教えてください。
「キーワードは『パワプロ経営』です(笑)。『パワプロ』とは『実況パワフルプロ野球』という野球ゲームのことで、そのなかではパワーA、走力B、守備力Cなど選手の能力がアルファベットでランクつけされているんです。僕はスキルを細かく分けて考えるこの方法は、美容師にも当てはまると考えています。
カットA、接客力B、発信力Cなど1人ひとりに得意、不得意があり大切なのは、経営者が『自分はすべての能力において、スタッフよりもレベルが高い』と勘違いしないことです。僕は自分の知識が足りないと感じている分野は『分からないから頼んだ』と言って、積極的にスタッフにお願いしています。センスあるスタッフが担当したほうが質は上がりますし、任せることで責任感も芽生えますからね。
たとえば、おしゃれの感度が僕よりも高いスタッフはたくさんいますから、移転した際の内装作りはほとんど任せました。壁の大きな絵、棚のレイアウト、ドライフラワーの設置などは、全てスタッフが考えた案が採用されています。僕はすべて自分の指示通りにできあがったサロンよりも、全く考えもつかないアイデアが組み合わさった美容室のほうが、絶対におもしろいと思いますね」
働いても働いてもスタッフが幸せにならない美容室は、なくなったほうがいい
————なぜサロンを移転したのでしょうか?
「スタッフが椅子に座り食事ができるよう、バックヤードを広くしたかったからです。時折『忙しくてご飯が食べられない』という美容師の声を聞きますが、その環境はどう考えてもおかしいと思います。僕は移転前、アシスタントが電子レンジで温めるタイプのご飯に、唐揚げを乗せて食べている姿を見て、『このままではダメだな』と感じたんです。
今の休憩室は広々とした空間に椅子がきちんと並んでおり、炊飯器も置いてあります。お米もサロンで買って、炊き込みご飯の素なども用意しているんです。そのご飯でおにぎりを作り晩御飯用に持ち帰るアシスタントもいて、『本当に遠慮しないなぁ』と(笑)」
————なぜ、そこまで休憩室を充実させたかったのでしょうか?
「職場でのストレスを減らし、美容師という職業を好きでいてほしいからです。お客さまは楽しそうに働いているスタイリストが担当になったほうが、絶対にうれしいと思いますからね。スタッフがいきいきと働くために僕に求められているのは、十分な給与・休暇・席数を与えること、福利厚生を整えること、お客さまにご迷惑をかけない数のアシスタントを確保することです。これを満たすことができればスタッフの売上は伸びて、その人のこれからの人生もより豊かになると思います。
自分の働きに見合った待遇がなければ、スタッフのモチベーションが下がるのは当たり前で、将来をイメージした時に『結婚ができていない自分』、『親孝行ができていない自分』が見えてしまったら、美容師を辞めてしまうかもしれません。僕は、働いても働いても、そのスタッフが幸せにならない環境はおかしいと思います。ビジネスモデルとして破綻していますから、そんな美容室はなくなったほうがいい。最近、ブラック企業の報道を見て改めてスタッフの労働環境を整えることの大切さを感じました」
お客さまは「スタッフに冷たい会社」のサービスは受けたくない
————ブラック企業の報道から、どのようなことを感じたのでしょうか?
「その報道では『ブラック企業として名前が上がったお店は、軒並み売上が下がっている』と伝えていました。しかしよく考えると、これは不思議なことだと思います。なぜならブラック企業の被害を受けているのはスタッフであり、消費者ではないからです。つまりお客さまはまったく損をしていないにもかかわらず、足が遠のいてしまう。理由はおそらく『そんな会社のサービスは受けたくない』というシンプルな感情からだと思います。これはどの業界でも同じで、まずはスタッフの環境を整えることが会社の成長につながると思っています」
スタッフにやさしいサロン作りの極意
独立を積極的に後押しする体制も整っている『IJK OMOTESANDO』。スタッフにやさしいサロン作りの極意をまとめると下記の3つでした。
1.自分が不得意なことは、積極的にスタッフに任せる
2.スタッフが落ち着けるスペースを広くとる
3.給与、休暇などの雇用環境を充実させる
後編では、サロンのファンを獲得するための極意に迫ります。
▽後編はこちら▽
縮毛矯正を武器に人気サロンに!『IJK OMOTESANDO』のファンを獲得するための極意に迫る>>
Salon Data
IJK OMOTESANDO
住所:東京都渋谷区神宮前5-46-16 IL CENTRO CERENO 2階
TEL:03-6438-9882
URL:http://ijk-hair.com/