【鬼滅ネイルの作り方】NAILs GUSH 小池りさこさん流 アクリル絵の具で作る「痛ネイル」 #1
アニメや漫画のキャラクターをネイルに描く「痛ネイル」。「推しキャラといつも一緒にいられる」と、二次元好きに広がっているネイルデザインです。今回は、そんな痛ネイルを得意とするネイルサロン「NAILs GUSH」の横浜西口店で店長を務める小池リサコさんにインタビュー。
前編では、小池さんが痛ネイルを始めたきっかけや、技術力を高めるためにしていることについて教えていただきます。
「NAILs GUSH」小池りさこさんにインタビュー
横浜西口店 店長ネイリスト。ネイリスト歴6年。2店舗を経て「NAILs GUSH」に入社。キャラクターの模写やイメージカラーを取り入れたネイルデザインを得意とし、色の再現にも定評あり。
Instagram:@lisaco.nail
アニメと模写。好きなことで差別化をはかる
―まず、ネイリストを目指したきっかけを教えてください。
爪を飾ることが楽しいと初めて感じたのは、幼稚園の年長さんのころ。100円のラメ入り糊を爪に塗って遊んでいたんですが、爪がキラキラになると、すごく楽しかった。その記憶が、すごく残っていて。
最初は、幼稚園の先生になろうと思っていたんです。でも、学び始めてから、「今やりたいのはこっちじゃないな」と気づいて。美容に関わる技術を身につけられる仕事がしたいと思ったなかで、幼稚園のころの楽しかった記憶を思い出して、ネイリストを目指すことにしました。
ネイル学校卒業後は、地元・千葉のネイルサロン2店舗を経て、「痛ネイル」つながりでNAILs GUSHに入社しました。
―「痛ネイル」を始めたきっかけは?
ネイリスト1年目のころ、「他の人と違うネイルがしたいな」と思って、他のネイリストとの差別化というか。当時は、爪にキャラクターを描く施術をしている人が、まだ少なかったんです。これなら自分の好きなキャラクターとずっと一緒にいられるし、他の人ともかぶらないし、最高じゃん! って思って(笑)。それから、ずっと独学で続けてきました。
昔からよく漫画のキャラクターの模写をしていたので、それも活かせそうかなと。
―模写をしていた、というと?
小学生のころ、習字の教室に通っていたんですが、ちょっと習いごとが面倒になっちゃった時があって。そのときに先生が、墨と半紙を使って、当時好きだったキャラクターの絵を一発書きしなさいって言ったんです。その代わり、失敗できないから集中して書くんだよって。子どもだから「それならやる!」って、みんなが漢字を書いているなか、私だけ絵を描いて、提出したら褒めてもらえて。習字は見本通りに書くことが最初の練習なんですけど、絵も一緒なんですよね。そこから習字も楽しく続けられたし、模写の楽しさにも気づいたんです。
だから、そのころからコツコツ描いていましたね。漫画ももちろんですけど、原画集とかも買ったりして。真似して描くのが、すごく楽しかったんです。
―それがネイルとつながったんですね。「痛ネイル」は、どんな風に勉強したんですか?
SNSを見たり、セミナーを受けたりして、いろんな人のやり方を吸収しながら、自分のやり方に落とし込んでいきました。とにかくやってみて、意外といいなとか、自分には合わないなとか。失敗を繰り返しながら、今のかたちになりました。
―小池さんはアクリル絵の具を使われますよね。そこに行き着いたのは?
使いだしたのは、ここ1・2年ですね。アクリル絵の具って、ネイル検定で最初に当たる壁で…。苦手意識があったので、ずっとジェルでやっていたんです。でも、いろんな人の作品を見ていく中で、アクリル絵の具で描かれた作品を魅力的だなと感じることが多くて。それで、挑戦してみようと思って始めました。
―アクリル絵の具のいいところは何ですか?
一番は、絵に迫力が出るところです。ジェルと違って輪郭がボケず、はっきり伝えられるんですよね。ジェルネイルのなかにアクリル絵の具でワンポイント入れるだけで、ちょっと浮き上がったように見えたり。あと、テクスチャーの操作がしやすいこと。ジェルでは、テクスチャーを硬めにするっていうは難しいんですが、それが絵の具ならできるので、自分の塗りやすい硬さに調整しやすいんです。
あとは、手を出している人が少ないので、差別化にもなります。私もそうでしたけど、苦手意識が強い人は多いので。やってみたら、楽しいんですけどね。
―ジェルとアクリル絵の具、練習法に違いはありますか?
どちらも、とにかくたくさん描いてみることが大切だと思うので、練習法としてはあまり変わらないと思います。絵の具はとくに、水の量とか色の混ぜ方とか、実際にやってみないとわからないので。この順番で描いたパターンと、この順番、どっちがやりやすいかなとか。ひたすら何回も描くことが、一番大切だと思います。
お客様の「好き」を爪に落とし込み、さらに高まるポイントをプラス
―サロンワークのなかで大切にしていることは何ですか?
一番大切にしているのは、お客様との会話ですね。お客様が、そのアニメや漫画のどういうところが好きなのかっていうのを聞いて、それをデザインに落とし込みたいと思っているんです。好きなことの話だから楽しくお話ししてくださるし、私自身も知識が増えて楽しいです。
―お客様のお話から、デザインも考えていくんですね。
そうなんです。「このピアスは絶対につけてないとダメなんです」とか、そういうこだわりがあったりするので。「衣装のこの色が好き」という話があれば、じゃあその色を使ってみましょう! とか。キャラクターの特徴や性格とかもあるので、それとズレが起きないようにしたいんです。暗いイメージのキャラクターなら、全体的に落ち着いたトーンでまとめたり。だから、お客様に語っていただくことが大切だと思っています。
―他に、デザインを考えるときに意識していることはありますか?
お客様に見せられたものを、そのままするっていうよりは、少しアレンジを加えるようにはしています。同じ趣味同士の人に「ここ入れるか~」って言われるような、ちょっと熱くなるポイントを、デザインに入れ込みたいというか。オタクにしかできないアレンジができたらなと思っています。
―では、今回のデザインについて教えてください。
今回は人気の『鬼滅の刃』をテーマに、味方のキャラクターのモチーフで揃えました。この作品は、作者の先生がキャラクターに対して柄や色をしっかり決めているので、パッと見て誰かわかる柄をピックアップしています。また、大正がテーマなので、ポイントで金箔を入れて和の要素を加えています。あとは、自分の中で楽しめるポイントなんですけど、どのキャラをどの指に描くかっていうのは、キャラクター同士の関係を考えながら配置しました!
小池りさこさんが作る『鬼滅ネイル ~水の呼吸エフェクト~』
メインアートとして取り入れたのは、主人公の攻撃「水の呼吸」のアニメ版のエフェクト。柄モチーフは、カラーベースで二次元的に表現し、メインアートだけベースをクリアにして躍動感を演出している。アクリル絵の具で描いた水の柄が、ベースから浮き上がって見え、奥行きのある立体的なデザインに。
小池さん流『鬼滅ネイル ~水の呼吸エフェクト~』のいいところ
1. アクリル絵の具で迫力のあるデザインに
2. 爪のフォルムがキレイに見える
3. 好きなキャラクターたちといつでも一緒に!
お客様がそのキャラクターのどんなところを好きなのかまで、デザインに落とし込んでいる小池さん。アクリル絵の具によるアートは、コントラストが強く迫力あり! 後編では、ご紹介いただいたデザインから、メインアートの詳しい作り方を教えていただきます。
▽後編はこちら▽
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取材・文:山本二季
撮影:高嶋佳代