SNS採用を強化!入社前後のギャップを減らす採用活動とは/株式会社Lond #1
美容師を目指す学生、新天地を目指すスタイリストさんにとって、避けては通れない就職活動。晴れて採用を勝ち取るためには、どんな準備が必要? 心がまえは? そんな疑問を、実際のサロン採用担当者にインタビュー!
今回は「従業員第一主義」を経営の軸に、スタッフが幅広く活躍できる場を広げ続けている株式会社Londにフォーカス。リクルーターを務めるゼネラルマネージャーの関根孝文さんにお話をお聞きしました。
#1は、株式会社Londの採用事情について。採用フロー、求めている人材など、採用全般についてお聞きします。
お話を伺ったのは…
株式会社Lond ゼネラルマネージャー/リクルーター 関根孝文さん
都内1社を経て、2014年Londに入社。創業期メンバーとして、店舗立ち上げや店長などを務める。現在は採用をメインにさまざまな分野で活動中。Instagramからの求人獲得に尽力している。
SNSでの採用を強化して
ウェブに慣れた若手世代を獲得
――まずは関根さんが採用担当になった経緯を教えてください。
銀座3店舗の統轄店長を経験後、キャリアアップにあたりプレイヤーから本部運営に参加して欲しいと代表から相談されました。そのときは運営で何をして欲しいのかは言われていなかったので、最初はスタッフの悩みのヒアリングや現場の技術力アップにフォーカスして、各店舗を回っていたんです。そのなかで、当時のLondに足りていないのは人材だと感じました。ちょうど店舗をどんどん出店していた時期で、出店ペースに対して人員の増えるペースに差があったんです。
そこで2018年から、自分で勝手に個人のInstagramでリクルーターの活動を始めました。求人についての発信を繰り返しながら、どんな投稿にアクションがあるかを検証してブラッシュアップしていき、ある程度の成果がでてきたタイミングで本格的にリクルーターになることを代表にも伝えました。
――求人に力を入れ始めてから5年、採用の媒体はInstagramがメインでしょうか?
そうですね。Londの場合、いろいろな採用媒体にも登録はしていますが、申し込みの比率は僕が運用しているInstagramが大きいです。とくに新卒採用に関しては、外部の採用媒体には掲載しておらず、Instagramと美容学校からの紹介からしか取っていません。
――昨今の美容室採用の傾向としても、SNSが中心になってきていますね。
とくに学生だと、専門学校に置かれている求人票などのいわゆる紙媒体は、あまり見ていない印象があります。その学校の風土にもよると思いますが、紙の求人票をファイリングして置いてある学校もあるんです。でも、やっぱり見ないですよね。紙よりもウェブになれている世代ですから、求人票よりもSNSの投稿の方が親しみやすいのかなという感触はあります。中途の場合も、SNSと採用エージェントからの申し込みが半々くらいの印象ですね。
本応募前に理想とのギャップを解消して
業界屈指の離職率の低さを実現
――Londを志望する方の傾向を教えてください。
美容学生の志望動機としてよく聞くのは、「デビューの早さ」です。また、Londは基本的に正社員雇用で、売上の給与への還元率も高い方なので、その点は中途・新卒を含めて挙げられることが多いですね。
あとLondでは出勤日に練習ができたり、SNSの発信についてのカリキュラムがあったりといったアカデミーという教育制度があります。そういった教育面に力を入れているのも強みであり、求職者の求めていることでもあると思います。
そういった点も踏まえると、志望者の傾向としては技術面、収入面ともに向上心の高い方が多い印象です。美容師としてバリバリやっていきたい学生、もっと頑張りたいのに頑張れない環境にある転職希望者などが、Londの門を叩いてくれています。
――では実際の採用の流れについて教えてください。
新卒・中途ともに基本的には面接のみで、書類審査や技術試験などは行っていません。ただ面接に進む条件として、サロン見学または会社説明会への参加をお願いしています。
面接では、新卒は幹部全員と全店舗の店長、中途は希望エリアや配属予定店舗の店長と、採用に関わる幹部が面接官を担当します。希望エリアが複数ある場合は、各エリアから面接官を呼ぶので、日程が合わない場合は別日に分けることも稀にあります。
――Londさんは離職率の低さも特徴かと思いますが、面接1回で可能なものでしょうか。
離職につながる原因の多くは、入社前と後のギャップにあると思います。そういったものが生まれないように、サロン見学では1時間以上をかけて雇用形態や社風、さまざまな制度について細かく説明しているんです。会社をしっかり理解したうえで、面接に参加するか決めていただくので、入社後も離職につながるような大きな齟齬は少ないんだと思います。
また面接には、働き出してから教育に携わり最も接する立場のスタッフが参加します。僕たち幹部が採用したいと思っても、現場のスタッフが難しいと判断すれば、その意志を尊重するんです。逆に幹部が難しいと判断しても、現場のスタッフが「大丈夫」と言えば採用することもあります。現場で接するスタッフの影響はとても大きいので、その点も入社後に働き続けられるかに関わっているんじゃないでしょうか。
だから、どの店舗で採用するかというのも、とても重要なことだと考えています。サロン見学の際には個別に細かく話を聞いて、こちらから合いそうな店舗を提案することも多いです。
人気美容師を目指す美容室だからこそ
ハードワークであることはきちんと伝える
――採用の際の独自の取り組みがあれば教えてください。
面接1回というのが、まず特徴的だと思います。面接のみで技術試験をしないというのも理由があるんです。Londは教育にとても自信を持っているので、やる気がある方ならまずは採用します。技術に関しては、入社後にこちらが教えるというスタンスで採用活動は行っています。
――採用にあたり気をつけていることはありますか?
サロン見学や会社説明会など会社のPRをするときには、いいことだけを言い過ぎないように意識しています。Londはお給料が高くてお客さんもたくさん来る人気の美容室を目指しているんですが、逆に言うと、かなりハードワークな美容室なんです。お客さんがたくさん来るので、仕事量的には他社さんに比べると1.5~2倍くらいあるんじゃないかと思います。
本当に頑張りたい人にとっては、うちはいい会社だと思います。ただ、時間をかけてお客様一人ひとりに対応する美容師を目指している方にとっては、美容師像が違ってくる。離職率にもつながる部分だと思うので、なんでも「うちがいいですよ」とは言わないようにしています。
次回は、面接応募前のサロン見学についてと、採用される履歴書についてお聞きします。
取材・文:山本二季