フリーランス・個人事業主の美容師は保険を選べる?社会保険や国民健康保険について解説

美容師が加入できる保険には多くの種類がありますが、そのなかでも、現在の職場を辞めたとき、自分でサロンを開業したときなどに手続きに悩む保険がきっとあるはず。保険に関する用語はたくさんあるため、混乱しそうな言葉の意味や内容を理解しておくことが大切です。

そこで今回は、とくに「社会保険」と「国民健康保険」に焦点を当て、フリーランスや個人サロン経営者の美容師が加入できる保険についてくわしく解説します。

「社会保険」「健康保険」とは?

フリーランスや個人事業主の美容師が入れる保険について解説する前に、まずは「保険」のうち「社会保険」と「健康保険」について説明します。

広義での「社会保険」の意味

広い意味でいうと、「社会保険」とは、国民や被保険者が病気・けが・障害・失業などで困った際に給付を受けられるもので、健康保険(医療保険)・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つをまとめたものを指します。

種類

内容

健康保険(医療保険)

病気やケガなどの際の医療費の負担を軽減する

年金保険

老後の生活や障害・死亡の際の援助をする

介護保険

介護が必要な際のサービス利用料などを援助する

雇用保険

失業後の金銭面での援助や再就職の支援などを行う

労災保険

業務において負傷した際の治療費などを援助する

このように、広義の「社会保険」には、さまざまな種類・内容の保険が含まれています。

「健康保険」と狭義での「社会保険」とは

健康保険とは、国民が必要な医療を受けるための費用(医療費)の一部を保障する「公的医療保険制度」です。

大きく分けて国民健康保険(国保)と社会健康保険(社保)の2種類があり、国保では市区町村など、社保では協会けんぽ(全国健康保険協会)や健康保険組合などが保険者です。

加入者(被保険者)から保険料を集め、被保険者が医療機関を受診した際の費用の一部を保険料でまかないます。

基本的にすべての国民が健康保険に加入しており、現役世代では医療費の7割を負担してもらえるため、自分で支払うのは残りの3割です。

なお、狭義での「社会保険」とは、健康保険・年金保険・介護保険の3つをまとめたものです。特に健康保険のみを指して言うこともあり、今記事では以後その意味で「社会保険」という言葉を使用します。

フリーランス・個人事業主の美容師が加入できる健康保険

前章の内容をふまえたうえで、いよいよ今記事の本題です。

それまで美容室に勤務していた人は、被保険者として何らかの健康保険に加入していたことでしょう。

では、美容師として独立開業する場合、健康保険はどうしたらよいのでしょうか。ここでは、フリーランス・個人事業主の美容師が加入できる健康保険について紹介します。

1. 国民健康保険

国民健康保険は、企業などの社会保険に加入していない人を対象とした健康保険です。フリーランスや個人事業主、学生や年金受給者などが加入できます。

国民健康保険は、「市町村国保」と「職域国保」に分かれます。市町村国保は、都道府県あるいは市区町村が保険者となる国民健康保険です。一方、職域国保は、地域の同業者が設立した国民健康保険組合が保険者となる国民健康保険です。

保険料は前年の収入で決まり、収入が増えるほど保険料は高額になるのが特徴です。ただし、保険者となっている自治体によって料率が異なるので、住民票のある市区町村のホームページで計算方法を確認することをおすすめします。

なお、国民健康保険は加入者の半数近くが年金所得者を含めた無職者、残りが農林水産業者や個人事業主とその家族などです。そのため、加入者の所得の平均が低く、中間所得層であっても保険料の負担が大きくなりがちです。

2. 社会保険の任意継続

社会保険のある職場を辞めてフリーランス・個人事業主となる場合は、退職後2年間に限り、職場で入っていた社会保険を任意継続することが可能です。

任意継続の条件は、退職日までに2カ月以上その保険に加入していることと、退職日の翌日から20日以内にそれまで加入していた保険の窓口などで手続きを行うことです。

協会けんぽに加入していた場合、住んでいる地域の協会けんぽ支部で手続きをします。それ以外の社保の場合は、保険者に問い合わせて必要な手続きを行いましょう。

退職前までは雇用主が保険料を半分出してくれていましたが、任意継続の期間は全額自己負担になるため、保険料は原則2倍になります。しかし、国民健康保険の計算方法と異なるため、自治体の科率によっては任意継続のほうが安く済むかもしれません。

引用元
全国健康保険協会:退職後の健康保険について | よくあるご質問
全国健康保険協会:任意継続の加入条件について | よくあるご質問
全国健康保険協会:任意継続の加入手続きについて | よくあるご質問
全国健康保険協会:加入期間について | よくあるご質問

3. 美容健康保険組合

引き続き美容室やサロンで働く人は、以下のような理美容健康保険組合に加入できることがあります。

名称

対象者

フリーランスの加入の可否

個人でサロンを経営する美容師の加入の可否

全日本理美容健康保険組合

全国の美容関連業全般の法人

×

東京美容国民健康保険組合

東京都内の事業所で美容の業務に従事している人

大阪府整容国民健康保険組合

大阪府の事業所で理美容(ヘアサロン)業務に従事している人

×

このように、全日本理美容健康保険組合と大阪府整容国民健康保険組合には、フリーランスは加入できません。

また、東京美容国民健康保険組合に入りたい場合は、都内で美容業に就いているだけでなく、東京または周辺の県(神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・山梨県)に在住していることが条件です。

引用元
全日本理美容健康保険組合:こんなときは?/入社したとき
東京美容国民健康保険組合:加入資格について
大阪府整容国民健康保険組合:私たちの組合に加入できる人

4. 家族の社会保険の扶養に入る

フリーランス・個人事業主として開業したばかりでまだ収入が少ない期間は、社会保険に加入している家族の「被扶養者(扶養家族)」として、企業などの健康保険に加入する選択肢もあります。

「被扶養者」とは、公的医療保険のような社会保険上で扶養を受ける人のこと。以下の3条件をみたせば、被扶養者として健康保険に加入できます。

・三親等以内の家族
・年収が130万円未満
・年収が被保険者の年収の半分未満

ただし、年収が130万円を超えた場合は、自分で国民健康保険に加入しなければなりません。

国民健康保険のメリットと注意点

フリーランスや個人事業主になった美容師が健康保険に加入する方法には、国民健康保険に加入する・加入していた社会保険を任意継続する・社会保険被保険者である家族の扶養に入るなどがありました。このうち、誰もが加入できるのが国民健康保険(国保)です。

そこで、国保に加入するメリットと注意点について紹介します。

国保のメリット

国民健康保険は、会社などに所属していなくても加入できる健康保険です。社会保険は給与によって保険料が算出されるのに対し、国民健康保険では必要経費や各種控除を差し引いた所得に対して保険料が算出されます。

国民健康保険の保険料には上限がありますので、上限を大幅に上回るほどの高所得になれば、所得に対する保険料の負担が軽くなる点がメリットです。

国保の注意点

国民健康保険は市区町村で運営されているため、加入者の構成や、医療費の状況などによって、保険料率が異なります。保険料は前の年の所得によって決まるため、退職した翌年の年収が退職前の年収を下回った場合は、収入に対する保険料の負担が重くなるでしょう。

また、国民健康保険には「被扶養者」という考え方がありません。そのため、家族のなかで国民健康保険に加入している人は、それぞれ保険料がかかります。さらに、同一世帯において、市町村国保と職域国保の混在は認められていない点にも注意が必要です。

ほかにも、職域の健康保険組合や協会けんぽでは「傷病手当」や「出産手当金」の給付がありますが、国民健康保険で受けられるのは「出産育児一時金」のみです。

社会保険のメリットと注意点

フリーランスや個人事業主の美容師が加入できる社会保険は限られていますが、前述のように、独立する前の職場で社会保険(社保)に入っていた場合は、任意継続することが可能です。そこで、社保のメリットと注意点も押さえましょう。

社保のメリット

社会保険には協会けんぽと健康保険組合があり、在職中は保険料の半分を会社が負担するため、保険料の支払い額を軽減できる点が大きなメリットです。

任意継続をする場合の保険料は原則2倍と前述していますが、上限額があり、退職時点での給与によっては保険料が安くなることもあります。

社会保険に加入していると被扶養者の健康保険料が免除されるため、扶養家族が多い人にとっては大きなメリットになるでしょう。

また、被保険者の状況によっては、傷病手当や出産手当金の給付を受けられる可能性もあります。

社保の注意点

社会保険を退職後も任意継続する場合には、退職後20日以内に、各都道府県の協会けんぽ、または、各健康保険組合で手続きを完了しなければなりません。

さらに、任意継続の加入期間は2年間に限定されている点や、会社が負担していた保険料も自分で負担しなければならない点、任意継続の保険料は2年間変わらない点に注意が必要です。

2年目の収入が退職時の収入を大きく下回りそうなら、収入によって保険料が決まる国民健康保険のほうが安くなる場合があります。

国民健康保険に加入する方法

開業したばかりのころは、環境が変わりバタバタしがちなため、「いつの間にか手続きの期限が過ぎていた」ということにもなりかねません。

フリーランスや個人事業主になった美容師が国民健康保険に加入するには、いつまでにどのような手続きが必要なのでしょうか。

ここでは、国民健康保険への切り替え手続きの期限と窓口、必要書類などについて紹介します。

どんな手続きをいつまでにすればいい?

社会保険から国民健康保険へ切り替える際には、退職や任意継続期間終了から14日以内に市区町村の窓口で国民健康保険への加入手続きを行わなければなりません。

必要書類を揃えて本人または世帯主が窓口に出向き、必要書類を提出すれば、切り替え手続きは完了です。なお、手続きが遅れた場合でも、遡って未加入期間分の保険料を請求されます。

国保の加入に必要な書類

国民健康保険の加入手続きでは、それ以前に加入していた健康保険の資格喪失日がわかる書類と、本人確認ができる書類を、それぞれひとつ準備します。

資格喪失日がわかる書類
・健康保険資格喪失証明書(社会保険事務所で交付可)
・退職証明書
・雇用保険被保険者離職票

本人確認ができる書類
・マイナンバーカード
・運転免許証
・パスポート
・在留カード

加入手続きの注意点

国保には「扶養」という概念がないため、自分が加入していた社会保険の被扶養者だった人(家族)も健康保険の切り替えが必要です。

なお、被扶養者がいた場合、退職証明書や雇用被保険者離職票では、国保への切り替え手続きができません。社会保険事務所で、健康保険資格喪失証明書や扶養削除証明書を交付してもらう必要があります。

さらに、同居家族のなかですでに国民健康保険に加入している人がいる場合には、世帯主の保険証やマイナンバーを確認できる書類が必要です。

引用元
神戸市:【国保】退職後、新しい健康保険に入る予定ですが、国保に加入しないといけないですか?

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フリーランスや個人事業主の美容師にも健康保険の選択肢がある!

今回は、フリーランスや個人事業主の美容師が加入できる健康保険についてくわしく見てきました。退職後の健康保険の選択肢には、国民健康保険以外にも、社会保険の任意継続や家族の社会保険の被扶養者になる方法、美容業界の健康保険に加入する方法があります。

すぐには収入が多く見込めない場合や、扶養家族がいる場合には、国保以外の保険のほうが保険料の負担を減らせる場合があるので、よく比較検討してから決めましょう。

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