【美容師のカラー技術】PEEK-A-BOO 阿藤俊也さん流 フェイスフレーミングの極意とは #1
デザインカラーのバリエーションが増えるなか、昨年から人気が急上昇し、定番デザインになりつつあるのが、「フェイスフレーミングハイライト」です。そこで今回は、フェイスフレーミングに定評のある、『PEEK-A-BOO』の阿藤俊也さんにフォーカス。阿藤さん流のフェイスフレーミングの作り方を教えていただきます。
前編では、技術力アップのためのアドバイスや、フェイスフレーミングを作る時のこだわりについてお聞きします。
「PEEK-A-BOO」阿藤俊也さんにインタビュー
NEWoMan新宿店 副店長/トップスタイリスト。専門学校卒業後、PEEK-A-BOOに入社。高い技術力と丁寧なカウンセリングで、その人に似合うデザインを作り上げる。デザインカラーとカットを組み合わせた提案が得意。
Instagram:@toshiyaato
大切なのは、目指すものを持ち、効率よく練習すること
―技術力アップのために、若手時代にしていたことは何ですか?
アシスタント時代は、ひたすら練習していました。PEEK-A-BOOでは、カリキュラムを終えて、テストに受からないとスタイリストになれないんですが、その基準がなかなか厳しくて。夜の1時とか2時とかまで練習していましたね。今は絶対ダメなんですけど(笑)。
休みの日には、原宿や渋谷でモデル探しをして、営業終わり間際くらいからモデルさんを呼んで練習して…。毎日のように切っていました。
―スタイリストになってからは、いかがですか?
スタイリストになってからも、ずっと練習です。社内で行っているスタイリスト向けのカット講習や、先輩の講習について行ったりして、それを元にウィッグを切ったり。あと、美容業界誌は毎月すべて読んで、いいなと思ったスタイルは、カットの展開図を見て切ってみたり。
―若手の方へアドバイスをお願いします。やっぱり練習は大切?
そうですね。でも僕がしていた時みたいに、ただ時間をかけるんじゃなくて、効率のいい練習をしっかりしたほうがいいかなと思います。ピンポイントで、これっていうものを決めて、頭を使って練習する。かけるべきところに、時間をかけるというか。
あとは、うちの店の話になりますが、技術をきちっと教えてくれる分、そこに固執しちゃいがちというか、固くなってしまうことがあるんです。でも、この店にいるからって、正統派のスタイルが好きである必要はない。いろんなスタイルを好きな子がいていいし、どんなスタイルでもちゃんと全部できるようにするための技術だと思うので。
その上で、自分の好きなスタイルというのを、雑誌とか写真とか、ビジュアルとして持っていたほうがいいと思います。自分が目指すところを持っておくことは大切ですよね。
定番になってきたカラー技術「フェイスフレーミング」
―阿藤さんはフェイスフレーミングを推してらっしゃいます。注目したきっかけは?
Instagramの検索ワードで、「フェイスフレーミング」がグッと伸びたのは、去年の7月くらいからですね。デザインとしては、もっと前から取り入れていたものではあるんです。自分の頭でもしていたんですが、それが2年くらい前。海外セレブがし始めた、前髪のハイライトから火がついて、急激に流行って一回落ち着いた印象でした。
でも去年の緊急事態宣言明けくらいに、お客さんから「フェイスフレームがしたい」とオーダーがあって。それでInstagramにアップしたら、すごく反響があったんですよね。
マスクをするのが当たり前になって、顔周りのポイントくらいでしか遊べなくなっちゃったからですかね。その後は、一時的な流行から、だんだん定番っぽくなってきている印象です。いろんなデザインカラーのうちの選択肢のひとつになったというか。
―デザインカラーの需要は高いですか?
そうですね。とくに若い方は、Instagramを見て来てくださるのもあると思いますが、カラーのオーダーは多いです。今の若い子たちって、けっこう派手な髪に抵抗がないじゃないですか。美容業界誌に載っているようなデザインが、リアルでも当たり前にいる。
グラデーションカラー、バレイヤージュ、インナーカラーと、だんだん派手になってきて、今はもう全頭ブリーチのブロンドとか、そこに超派手な色を入れたり、根元だけ色を入れるルーツカラーとか…。その中から、好きなデザインを選んだらいい。そのうちのひとつが、フェイスフレーミングなんですよね。
ポイントはフレーム幅の作り方と、色の組み合わせ方
―フェイスフレーミングを作る上で、大切なことは何でしょうか?
一番大切なのは、どんなデザインを望んでいるのかを、カウンセリングの時に見極めることです。フレーム部分のデザインでガラッと印象が変わるので、そこの擦り合わせは重要だと思います。
どのくらいフレーム部分を出したいか、派手にしたいのか控えめなのか、明るさ、色味。そこを間違わなければ、そんなに失敗することはないかな。なので、極端な例を画像で見せてカウンセリングしますね。フレーム幅が太いのと、すごく細いのを見せて、どっちがいい? とか。色味なら、ホワイト系とゴールド系とか。
あとは、ブリーチ後にフロアで鏡を見ると、大体みんなびっくりしちゃうんですよね(笑)。なので、オンカラーはシャンプー台でした方が良いと思います。
―阿藤さん的こだわりポイントは?
ひとつめは、ハイライトとベースカラーの色の組み合わせ方です。ハイライトがホワイトやグレージュ系なら、ベースカラーもグレー系に合わせてあげたり。ここが合っていないと、仕上がりがイマイチになりやすいと思います。
ふたつめが、その人に合わせた幅でフレームを作ること。一番見ているのは雰囲気ですが、生え際の生え方を見るのも重要です。生え際に合わせて幅を決めてあげると、バランスが取りやすいですよ。
阿藤俊也さんが作る『フェイスフレーミングカラー』
顔周りを囲うようにハイライトを施したデザインカラー。その人に合わせたハイライトのフレーム幅と、ベースカラーとフレームカラーの色選びがポイント。今回は、オーダー数も多いという、人気のホワイト系フレームカラーをピックアップ。ダークグレーのベースカラーと、ホワイトグレーのハイライトで、コントラスト強めのデザインに。
阿藤さん流『フェイスフレーミングカラー』のいいところ
1. 顔周りが明るく見える
2. デザインによって個性が出せる
3. オンカラーを変えれば2度楽しめる
マスク需要から、人気が再燃したというフェイスフレーミング。デザインカラーを楽しむ、10代・20代からのオーダーに応えるためには、必須の技術になりそうです。後編では、阿藤さん流フェイスフレーミングの作り方を詳しく教えていただきます。
▽後編はこちら▽
【美容師のカラー技術】PEEK-A-BOO 阿藤俊也さん流 フェイスフレーミングの作り方 #2>>
取材・文:山本二季
撮影:高嶋佳代
ヘア:阿藤俊也(PEEK-A-BOO NEWoMan新宿)
メイク:茂田井あずさ(PEEK-A-BOO 銀座 並木通り)
モデル:髙松ゆり香