マイペース経営×低コストオープン!「COCOKARA 〜R〜」内海ゆきさんの自宅サロン経営術
「COCOKARA 〜R〜」は、自宅兼お店として展開している東京都立川市のエステサロン。コンセプトに掲げているのは「ココロとカラダの再生」です。心地よいアロマの香りで満たされた店内にて、良質な施術を提供して幅広い年齢層の支持を集めています。
「自分自身が行きたいと思えるサロンづくりが大切です」と話すのは、オーナーエステティシャンの内海ゆきさん。生活感を極力抑える環境を意識することや「1日2名限定」にするなどの工夫があるようです。さっそく前編では、お客さまから愛される自宅サロン経営術に迫ります!
今回お話を伺ったのは…
内海ゆきさん
「COCOKARA 〜R〜」オーナーエステティシャン/ ビューティーセラピスト
全国に店舗を展開するエステティックサロンにて3年間勤務。その後、トータルエステティックサロンにてエステティシャン兼サロン講師として12年ほど活躍しながら腕を磨く。エステティシャンとしての知識と自身の過去の経験から、ココロとカラダの繋がりに着目し、2019年3月「COCOKARA 〜R〜」をオープン。
Instagram:@cocokara.r
「自分自身が行きたいサロンを作る」のがお客さまのハートを掴む第一歩
――まず「ココロとカラダの再生」というコンセプトについて教えてください。
噛みくだいて説明すると「カラダだけでなく、心身ともに要らないものを出して芯から軽くなっていただき本来の状態へと導く」というテーマです。エステサロンといえば、どちらかというと「与える=プラスする」ケアが主流かと思いますが、当サロンは「引く=抜く」ケアを大事にしています。
「不順なものを取り除き、そこに良質なものを加えることで、本当に美しい心身が作られるもの」ではないでしょうか。当店では、そのファーストステップにあたる心身のリセットをご提供しています。
――なぜ、このコンセプトを掲げているのでしょうか?
かつての自分が求めていた施術だからです。出産を経験した10年ほど前、私は長期に渡り謎の不調が続く期間がありました。当時は、自律神経失調症やパニック障害を発症してしまい本当に辛かったです。
仕事をセーブしたり、生活習慣を整えたりして体調がよくなった頃に、なにが不調の原因だったのか自分を改めて振り返ってみました。その原因は「物事はこうでなくてはいけないという、自分を抑え込んでしまう思考」がありました。そうした要らないものでいっぱいの心身に、化粧品やオイルなどの商材を無理やり足している自分がいたのです。
私は「綺麗になる前に、まずリセットが必要だったんだ」と気が付きました。そして「同じ状態の方々を救うサロンを作りたい」と思い「COCOKARA 〜R〜」をオープンさせたのです。
マイペース経営×低コストオープン。さまざまな魅力がある自宅サロン
――続いて、自宅サロンというスタイルの理由について教えてください。
自分の生活リズムを崩したくなかったからです。オープンした頃には、まだ子育て中心の生活だったので「自分の好きな時間に、好きなように働きたい」と思って現在のスタイルに至りました。
初期費用を抑えられることも、自宅サロンを選んだ理由のひとつでした。サロンをオープンするために私が揃えたものは、ベッド、テーブル、ソファ、タオルを温めるウォーマーぐらいです。独立したときにはお客さまがゼロの状態でしたが、低コストでのオープンなので心の余裕につながりましたね。
――自宅をサロンにするうえで大変なことはありますか?
とくにありません(笑)。しいて上げるとすれば、生活感を抑えるために工夫が必要なことくらいでしょうか。「COCOKARA 〜R〜」では、玄関を整えたり、階段にアロマを炊いたり、小まめに換気をしたり、生活感が出ないよう気を配っています。とくに香りの印象は大きいですから、きれいに片付いていても生活感が出てしまうものです。
現在は自宅サロンのスタイルですが、子どもが大きくなればマンションの一室などを借りて経営をするかもしれません。自分のライフスタイルに合わせて臨機応変に対応していけるのも個人サロンのメリットですよね。
お客さまの情報をしっかりキャッチするため1日2名限定に
――オイルなど商材のこだわりがあれば教えてください。
サロンでは、アーユルヴェーダをもとに作られた「Srotas(スロータス)オイル」というアイテムを取り入れています。ちなみにアーユルヴェーダは5,000年の歴史を誇る伝承医学であり、WHO(世界保健機構)が世界3大医学として正式に奨励している代替医療の1つでもあります。「Srotas(スロータス)オイル」には、体内の要らないものを出してくれる効果があるので、サロンのコンセプトにマッチすると思って取り入れました。お客さまからも好評ですよ。
――「COCOKARA 〜R〜」は1日に2名限定とのことですが、なぜここまで人数を絞っているのでしょう?
お客さまとの時間を大切にしたいからですね。サロン勤務時代には1日に5名ほど担当していましたが、準備時間が限られてしまうので常に慌ただしさがあり、良質な環境とはいえませんでした。ヒアリングにも十分な時間が取れなかったので、お客さまの心身をリセットするための情報をしっかりキャッチすることが難しい状況だったんです。
そこで「COCOKARA 〜R〜」では、施術時間の前後に30分の余白を作り、予約枠をたっぷり取ることに決めました。現在、お客さまおひとりに対して確保している時間は、だいたい3時間~3時間半ほどです。それだけ時間があれば、しっかりとお客さまの心身のリセットするためのサービスを提供できます。マンツーマンのスタイルは想像以上に気を配りますので、自分自身が疲弊しないためにも2名が限界だと感じていますね。
自宅サロン経営術3POINT
「COCOKARA 〜R〜」内海ゆきさんから聞いた、自宅サロン経営術をまとめると以下の3つでした。
1.自分が通いたいサロンを思い描いてコンセプトを設定
2.こまめに生活感を抑えて、お客さまにとって居心地のよい空間を作る
3.良質な施術を実現するために担当するお客さまを絞る
後編では、メニュー作りのこだわりにフォーカス。また再来を生む接客術についても伺いました。後編もぜひチェックしてください!